表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/130

昇格と師匠!?

 夜の人の往来が多い通りを抜け、ギルドに到着した。ギルドに入ると、中は朝より人でごった返していた。


「こっちだこっち。はぐれるな」


「はーい。プレナは入っててね」


 《うん…忘れないでね?》


 うっ!わ、分かってるって!

 プレナを影に入れて、人混みの中をギルさんと手を繋いで歩いていく。


「あー、並んでるな」


 よく分からないけど、どうやらカウンターが混んでるらしい。


「ふふっ。お困りのようね」


 その声は!?


「カリナさん!」


 声のする方を見ると、カリナさんが微笑んで立っていた。いやでもなぜ?


「ちょっと今日は団体でね。特別にギルマスから個室を借りるの許可されたから、こっちに来て?」


 ほうほう。団体さんだったのか。

 言われた通り、カリナさんについて行く。そして、決して広いとは言えない部屋へと入った。


「おい、カリナ。こんな待遇してもらったことないぞ?」


 ギルさんがカリナさんに怖い顔をして突っかかった。あ、あれ?そうなの?


「もう、マリーナちゃんが怖がってるじゃない」


「え、あぁ…すまん。だが!」


「はいはい。とにかく座る」


 完全にカリナさんのペースだわ。ギルさんも話が進まないと分かったのか、渋々といった感じで部屋のソファへと座った。


「さてと。今回の依頼は?」


「…スライムの討伐。完了した」


 淡々とギルさんが答える。


「うんうん。それで?マリーナちゃんはどうだった?」


「わ、私?」


 尋ねられるとは思ってなかったから、ちょっと混乱状態。


「えっとー…私は弓で」


「え?魔法は?」


「使おうかなって思ったんですけど、どうせなら別の武器でやりたくて」


「なるほどね…マリーナちゃんは弓も使ったことがあるのね」


「え?初めてですけど?」


 そう言うと、何故かギルさんとカリナさんが驚いた。なんで?


「は、初めてであれなのか?」


 あれとは?

 そう思って首を傾げる。


「あれだよ。3本打ちしてただろ?」


 あぁー…やってた。


「やってましたけど?」


「それで初めてか?」


 そう言われて初めて気づいた。あれ?私ってなんで弓があんなに上手く使えたんだ?


『オケアニス様が武器スキルをマリーナ様に付与しました』


 グランパパではなく、アニスお姉ちゃん?


『はい。少しでも気に入られたいと』


 ……うん。とりあえずありがと。アニスお姉ちゃん別に好きなんだけどなぁ?


「おい、大丈夫か?」


「あ、大丈夫です。でも、なんでそんなこと聞くんです?」


 いきなりそう言うからには理由があるんだよね?


「…そうね。言っておくべきだったわ。まず、私はこのギルドのサブギルマスなの」


 ……はい?


「えぇ?!カ、カリナさんが?」


「そうなの。で、今回マリーナちゃんの実力を知りたかったのよ」


「でもあの時…あ」


 そうだった。登録の時、模擬戦してないんだ。魔法しか見てなかった。


「気づいたようね。そう。今回の依頼はそれの代わりみたいなものなのよ」


 なるほど。実力を実戦で測った訳か。ギルさんも知ってたのかな?


「俺は知らなかったぞ?」


「言う訳ないじゃない。これはギルドの重要機密なんだから」


 そ、そうなんだ…


「で、どうなんです?」


「十分よ。ギルから聞いたし、報告も合ってるから」


 報告?


「まさか…監視してたのか?」


「やぁねぇ。付き添いって言って?」


 み、見られてたんだ…全然気が付かなかった。


「まぁ今回の結果から、マリーナちゃんのランクを上げたいのだけれど…」


 カリナさんが口ごもる。なに?


「依頼、これがはじめてなのよね?」


「あぁー、まぁそうですね」


「だったら足りないのよねぇ…達成件数が」


 なるほど。


「まぁ私はあまり目立ちたくないので、上げなくても…」


「「だめよ(だ)!」」


 いきなりギルさんとカリナさんがそう叫びながら立ち上がった。ビックリした…


「なんで?」


「なんでって…宝の持ち腐れじゃない」


 うーん…そうなのかなぁ?


「上がったらなにがあるんです?」


 メリット、デメリットを聞いておかないと。


「そうねぇ…まず受けられる依頼が増える。そして比例して報酬が上がる」


「その反面、危険が増す」


「あと、強制力はそこまで強くないけど、ギルドから依頼を持ちかけられるわね」


 ギルさんとカリナさんがそれぞれ説明してくれた。なるほどね。いっぱいお金が貰えるけど、その分危険と義務が発生するのか。


「分かりました。ひとまずその話はまた今度でいいですか?もう夜も遅いので」


「あ、そうね…えぇ。じゃあ今日の依頼の達成受理をするわね」


 カリナさんにギルドカードを渡して、達成受理してもらう。

 カリナさんは目の前でカチャカチャと四角い機械を操作して、再び私に返してくれた。ギルさんも同じ。


「はい。これで完了。とりあえず報酬金は明日でもいい?あの団体のせいでお金がないのよ」


 お、お金がないって…どんだけあの団体貰ったのよ。


「じゃあ魔石も明日のほうがいいか」


「ええ。そうしてちょうだい。その時、マリーナちゃんも来ておいてね?」


「分かりました」


 そう約束して、カリナさんと共に部屋から出る。すると、人はだいぶ少なくなっていた。


「あ、やっと来た!」


 リナさんがそう言って近づいてきた。かなり待たせてしまったみたい。


「すまんすまん。じゃあ行くか」


 ギルさん達とギルドを後にする。向かったのは勿論[宿り木亭]。そこで食事をとる。


「私は…スープで」


 流石に2日連続でロールハーキュは無理です…


「師匠!なんで食べてくれないんだ!」


 いきなり厨房から男の人、確か…ダリオさん?が叫びながら出てきた。てか師匠ってなに?!


「え、えっとー…ダリオさん?」


「あぁ。師匠!食べてくれ!会心の出来だ!」


 やっぱり師匠って私のことか……ダリオさんの右手には大きな、それは大きな……ロールハーキュ。


「ダ、ダリオさん…」


「なんだ?」


「……恥ずかしいわ!!」


 思わず声を荒らげる。だってまだ他にもお客さんいるのよ?恥ずかしいでしょうが!


「す、すまん…だが」


「はぁ…分かりました!食べますから師匠ってやめてください!!」


「いやむりだ」


 なぜだぁ!


 その時、ぽんぽんと肩をたたかれた。誰だと思って見てみると…宿のカウンターにいた女の人だった。


「ウチの夫がすまないねぇ」


 夫……


「あ、ダリオさんの奥さん?」


「あぁ。夫はこう言ったら聞かなくてねぇ…」


 そう言ってどこか遠くを見つめる奥さん…大変だったんだね。


「はぁ…」


 本日2回目?のため息をつく。


「食べますからもうそっとして…」


「あ、あぁ…」


 ダリオさんもちょっと冷静になったのか、静かに去っていった。

 ………特大ロールハーキュを置いて。


「マリーナ…まぁがんばれ」


 …ギルさんも手伝ってね?食べるの。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ