合同依頼
次の日、物凄い晴天でした。絶好の依頼日和ってやつ?
《おふぁよう、主様》
「ふふっ。おはよう、プレナ」
「ふぁー…おはよう。早いのね」
リナさんが起きてきた。だって楽しみだったんだもん!子どもじゃない!あ、いや、今は子どもか。
「フィーナさん。起きてください」
今まで過ごして分かってきたけと、フィーナさんは朝が苦手らしい。
フィーナさんの体を揺すって起こす。
「…あ、おはよう」
「おはようございます!」
気だるそうにフィーナさんが起き出したので、私も準備を始める。
服は…そのままでいっか。寝巻きを買いたいなぁ。
「よし。じゃあ降りま…フィーナ。早く準備しなさい」
「…ふぁい」
眠そうだなあー。ダラダラとフィーナさんが着替えるのを少し手伝う。
「…ん。マリーナ、ありがと」
「どういたしまして」
「ほら。行くわよ」
リナさんについて行って、下の食堂へ。
するとまたしてもギルさんたちは先に座っていた。いつ起きてるんだろう。
「おはようございます」
「おはよー」
「おはようさん。今日は行けそうか?」
「はい!迷惑かけないよう頑張ります!」
体の前でガッツポーズをしてみせる。
「そんなに気負わなくていいぞ」
ギルさんは苦笑しながらもそう言った。
「じゃあすぐ食べて行きましょうか」
「はーい」
さすがに朝も同じのは嫌だったので、スープとパンを頼んだ。
あ、パンも焼こうって思ってたのすっかり忘れてた。とりあえず後で天然酵母でも作っとこうかな。
そんなことを考えながら食事を食べ終えて、ギルさんの後をついて行って宿を後にした。
そしてギルドに着くと、中々に人が多かった。朝早いからなのかな。そう言えば私、こんな朝早くにギルドに来たことないや。
「あ。マリーナちゃん。従魔ははぐれないように影の中とかに入れといた方がいいわよ」
「影?」
「従魔は主の影の中に入れるのよ。名前を呼べば出てくるわ」
へー、そうなんだ。従魔ではないけど、大丈夫かな?
『問題ありません』
あらそう。
「じゃあ入ってくれる?」
《分かった…けど、直ぐに呼んでね!》
そう言ってプレナは私の影にするっと入っていった。おぉ、ふぁんたじー。ちゃんと後で呼び戻してあげないとね。だって寂しそうだもの。
「ほれ。こっちだ」
ギルさんに呼ばれてギルドに入る。ギルド内の人混みに飲まれながらも、なんとかギルさんについて行った。
ギルさんが向かったのはもちろん、依頼書が貼られたボード。
「マリーナは討伐依頼いけるか?」
ボードを見ながらギルさんが尋ねてきた。討伐依頼かぁ…
「うーん…魔法を使わない魔物なら」
だって私のせいでその討伐対象に逃げられちゃったら迷惑になっちゃうから。
「そうなのか?マリーナなら倒せそうだが…」
いやまぁ確かに倒せますよ?あっちが逃げなければね!
「それなら…この依頼なら安全だな」
ギルさんがボードから剥がした依頼書は、どうやらスライムの討伐。
ほ…それなら大丈夫そう。
「じゃあ一旦パーティ登録するぞ」
「しないとダメなんですか?」
「したほうが後の達成処理が楽なんだよ」
なるほど。多分報酬とかでかな。
「分かりました。どうしたらいいんですか?」
「とりあえずついてきてくれ」
カウンターに向かって歩き出したギルさんの後ろを、言われた通りついて行った。
「この依頼を受けたい。あと、一時的なパーティ登録も」
カウンターにいた綺麗なお姉さんに、ギルさんがそう言いながら依頼書とギルドカードを渡していた。
「分かったわ…あら、マリーナちゃん、久しぶりね」
「あ、えっとー…」
誰だっけ?確か…
「あぁ!カリナさん!」
「ええ、そうよ」
すっかり忘れてた。冒険者登録してくれた人だったよね。
「今日はギルと依頼を受けるの?」
「はい!」
「じゃあギルドカードを渡してくれる?」
カリナさんにギルドカードを手渡そうした…けど、届かない。うぅ。
「あ、すまねぇ」
その事に気づいたギルさんが受け取って渡してくれた。
いやジャンプしたら届くって思ったけど…天井に頭ぶつけそうだったんだもの。そんな目立つようなことはしたくない!
「はい。じゃあ受理するわね」
ガチャガチャという音が聞こえたと思ったら、直ぐにカードが返ってきた。
「これで完了。じゃあ気をつけてね」
「はい!」
カリナさんに手を振ってカウンターを離れた。
その後ギルドの入口で待っていたリナさんに達と合流した。
「で、どこに行くの?」
「霧の森だ」
なんか名前からして、どんな森なのか分かっちゃった気がする。
「霧の森ね…ちょっと遠いわね」
「ああ。だが馬車を借りる余裕はないぞ」
なるほど。遠い場所にいくなら馬車を借りたりするのね。ということは私が昨日行った魔の森より遠いのかな?
「なんかマリーナちゃんが勘違いしてそうだから言っとくけど、霧の森は魔の森より近いわよ」
「あれ?そうなんですか?」
「ええ。馬車を借りるっていうのは、その場所まで行くのに体力を消耗しない為でもあるの」
ほうほう。じゃあ馬車がなくても行けない距離ではないのね。ただ疲れるっていうだけで。
「マリーナは身体強化使えるだろ?」
「うぇ?!どうして分かったんですか?」
「そりゃ魔の森を半日で往復できるってとこで気づくだろ」
あ、そういうことね。
……身体強化をつかってないってことは言わないほうが良さそう。
「でもそれがどうしたんですか?」
「身体強化で走って向かうんだよ。だから身体強化が使えるか確認したかったんだよ」
ま、まじですか?走っていくんですか?
「安心してね。交代でおんぶしていくから」
いや、そこじゃない…
「とにかくいくか」
ギルさんの掛け声で私たちは霧の森へと向かった。
……まぁおんぶしてくれるなら、私がギルさんたちを置いていくっていう事態にはならなそうだね。そこは良かった?