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依頼

 目を開けると、教会に戻ってきていた。


「ふぅ」


 前より長く神界にいたからか、少し倦怠感を感じた。多分こういうことがあるから、あまり長くいれないんだろうね。

 私は4神の石像に一礼してから、教会を出ていった。


「さってと。今日は何しようかな?」


 まだ日は高い。だけど、お昼にはまだ早い。


『でしたら依頼を受けてみては?』


 あ、そっか。私って冒険者だったね。

 じゃあとりあえず、ギルドに行ってみようかな。


 教会からギルドへと向かう……って、道わからん!


「えっとー…あ!すいません!」


 仕方ないので、近くを通りかかった人に声をかける。


「おう?どうした?」


 後ろ姿で話しかけたんだけど……けっこう強面の男の人だった。だけど口調から優しい人だっていうことは分かる。どこかで見たことあるような……ま、いっか。


「あの、ギルドってどう行くんですか?」


「ギルドってーと、冒険者ギルドか?」


「そうです」


「じゃあ俺も行くからついてこい」


「ありがとうございます!」


 強面の男の人の後をついて行く。あ、足速い!いや、普通に歩いてるんだろうけど、歩幅が違いすぎてどんどん離れていく。


「ま、待ってください!」


 止まってくれたので、トテトテと走ってなんとか追いついた。あ、本気で走れば普通に追いつけたと思うよ?でも、そんなに細かい調整ができないのよね……


「すまなかったな」


「いえ、大丈夫です…でも、もう少し遅く歩いてくれると助かります」


「分かった」


 息を整えて、また歩き出した。今度は追いつける。ほ…



「着いたぞ」


 追いつけるといってもギリギリだったから、着いたことに気づかなかった。


「あ、ありがとうございます」


「いいてことよ。だが、なんの用だ?依頼を出しにきたのか?」


「いえ、依頼を受けに来ました」


「なに?冒険者だったのか?こんなちっさいのに?」


「そうですよ。といっても成り立てですけどね」


「そうか…なら、ちょっと教えてやるよ。こっちこい」


 手招きされたので、ひとまず、向かう。


「これが依頼ボードだ。ここにある受けたいと思った依頼書を剥がして、受付に持っていけば受注完了だ」


 なるほど。だけどボードが少し高くて届かない……


「見えないのか?」


「はい…」


 私がそう言うと、男の人は私のことを抱っこしてボードまで持ち上げてくれた。


「わ!ありがとうございます!」


「いいってことよ。だが、今はもう依頼は少ないぞ?」


 そう言われてボードを見てみると、確かに紙はほとんど残っていなかった。


「確かにない…」


「まぁ初めての依頼なら、常時依頼がいいかもな」


「常時依頼?」


「これだ」


 男の人が顎で指し示したのは、薬草採取と書かれた紙だった。


「なるほど。じゃあこれにします」


「常時依頼は別に受注しなくていい。現物を受付に持っていけばそれで完了だ。薬草は基本10本で1束になる。買い取りの単位は束だ」


 私を床に下ろしながら、教えてくれた。


「分かりました。ありがとうございます!」


「おう。気ぃつけてな」


「はい!」


 男の人にぺこりと頭を下げて、私はギルドを後にした。


「あ、そういえば名前聞いてなかった」


 まぁ後でギルさんに聞いてみたらいいかな?知ってるか分からないけど。


 ギルドから門へと向かう。途中道に迷いながらも、なんとか門までたどり着いた。


「お!マリーナちゃんじゃないか!」


 いきなり門番の人から名前を呼ばれて、戸惑う。


「覚えてないか?」


 ということは前に会ったことあるんだよね。誰だっけ……


「…あ!クライヴ、さん?」


「ああ!そうだ。覚えていてくれたか」


 すっかり忘れてましたとは言えない……


「今日はどうしたんだい?」


「依頼です」


「依頼?冒険者になったのかい?」


「はい。そうです。通っていいですか?」


「あ、ああ。大丈夫だ。気をつけてな」


 どうやら出る時は水晶が要らないらしい。私はそのまま外へと足を踏み出した。


「あ、薬草採取って何処の森で出来ますか?」


「あー。薬草採取はここからしばらく道なりに進めば見えてくる森でできるよ」


「分かりました。ありがとうございます」


 言われた通り道なりに進んでいく。でも、今の私の小さな歩幅ではかなり時間がかかりそう……


「よし。身体強化してみよう!」


 という訳でよろしく!ハク!


『はい。無論です。身体強化は身体中に魔力を流し、筋力などを強化します。なので、そのイメージを付与した魔力を身体中に循環させることで発動可能です』


 となると、筋肉とかの細胞を強化するイメージみたいな?


『はい。それで大丈夫です。ただ、マリーナ様は元からの身体能力が高いので、正直要らないかと』


 ま、まじか……まぁカモフラージュだと思えばいいよね!


 筋肉の細胞一つ一つに魔力が浸透して強化するイメージを固める。そして魔力を循環させてみると、格段に体が軽くなったのが分かった。

 ……多分、今走ったらえげつない速さになるって本能が告げてくる。うん。これは使えないわ……


 とりあえず身体強化を解除して、走ってみる。


「……身体強化いらないね」


 一瞬で景色が置いていかれた。地面を抉らないように気をつけておいて良かったよ……

 まだまだ細かい力の制御が出来てないんだよね。これからの課題かな。


「ま、それは後ででいっか」


 ちょっと走っただけなのにもう森が見えてきた。多分目的の場所だと思う。


「よし!最初の依頼頑張ろっと!」


 私はその森に向かって、じゅーぶんに気をつけて速度を抑えながら走っていった。





















 マリーナは知らない。もう既に目的の森は過ぎ去っていたということを……









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― 新着の感想 ―
[一言] 「あの、ギルドってどう行くんですか?」 ハクに聞いたら、分かるのじゃなかった?
[一言] 道順は、ハクが覚えておくことになっていましたよね。ギルドへの道を通行人に尋ねる必要性は無かったのでは。
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