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いざ、市場へ!【2】

 店から出ると、リナさんとフィーナさんしかいなかった。


「あら、おかえり。欲しいものは買えた?」


「はい。あの…ギルさんたちは?」


「あの2人なら武器を見に行ったわ。深淵の森で壊れちゃった武器を新調しにね」


「そうですか」


 私も武器はみたいけど、多分普通の武器じゃ私の身体能力に合わないだろうし…やっぱり自分で作るしかないかな?


『その方がいいかと』


 やっぱりか。となると鉄鉱石とかいるな…まぁそれは今後探してみよ。今は刀があるし。


「この後はどうする?」


「そうですね…調味料とかみたいです」


「調味料ね…ならあの店がいいわね。ついてきて」


「はーい」


 リナさんたちの後を、周りのお店を眺めながらついていく。お店の前に並べられている商品で、気になったものをちょくちょく買いながら足を進めた。


「ここね」


 リナさんが立ち止まり、目の前のお店を指さした。調味料というより、スパイス類が多い感じだね。早速お店に入り、商品を見ていく。


「あ、これ…」


 商品を眺めていると、ある物が目に付いた。1センチくらいのキューブで、色が黄土色っぽい。もしかして…


 名前:コンソメ


 やっぱりコンソメだ!でもキューブで売ってるなんて…


「あ、それはコンソメね。コンソメの木にできる、細長い実の中に入ってるのよ」


「え、そうなんですか?」


「ええ」


 なんというか…さすが異世界って感じだね。コンソメが木の実なんて…まぁ味は変わらないし、気にしないけどね。


「お、胡椒みたいなのもある」


 名前:コショウ


 どうやら、調味料の名前は地球とほとんど変わらないみたいだね。見つけたのは黒胡椒。しかも実が乾燥しただけの状態のやつ。ミルとかあるのかな?


「あの、この胡椒を粉々にする道具ってありますか?」


 店主のおばあさんに聞いてみる。


「粉々にする?コショウはこのまま使うんだよ」


 …どうやらこのまま使っているらしい。そら食文化発展しないよね…確かにこのままでも使えるけど、砕いた方が香りもいいしね。とりあえず、ミルの代用品を探してみますか。無かったら作ってみよう。作り方分かんないけど、まぁなんとかなる…と思う。


「あー、カレーのスパイスは無理っぽいな…」


 スパイスからカレーを作ったことはあるから、作れないことはないけど、ここにあるスパイスじゃ足りない。


「それにお米もないや」


 そもそもカレーライスのスパイスと、カレーのスパイスは少し違う。私が知っているのはカレーライスのほう。だからお米も探さないとね。


『米は、この世界で[グリアーノ]と呼ばれています』


 あ、そうなんだ。


『グリアーノは基本、家畜の飼料として使われます』


 え、そうなの?


『米を()()という技術がないので』


 なるほど…確かに、食文化が進んでないなら調理法もないだろうしね。納得。私は土鍋派だったから、水の量とかは分かる。肝心の土鍋はないけど、土魔法で作れそうだから問題ないね。よし!後でお米…グリアーノを買おう!


()()()()、これ下さい」


 女性の呼び方は気をつけないとね…


「はいよ。これ全部かい?」


 私が買ったのは塩と胡椒、コンソメにスパイス各種など。かなりの量だ。


「はい。いくらですか?」


「そうだね…1000リシアにしとくよ」


 おお!だいぶ安くなっちゃった。2000くらいはあったんだけど…


「いいんですか?」


「ああ。こんなもん買ってくれるのは嬢ちゃんくらいだからね」


 塩胡椒は買ってくれるだろうけど、スパイスは買わないだろうね。でもならなんで置いてるんだろうか?


「スパイスってどんな人が買うんです?」


「大抵が冒険者だね。目潰しとかに使うらしいよ」


 な、なるほど…確かに目に入ったら激痛だわ。


「じゃあカードで払えますか?」


「ああ。ここに当てておくれ」


 さっきの八百屋さんと同じような水晶にカードを当てて、会計を済ました。そして買ったものを無限収納庫(インベントリ)に入れる。おばあさんは少し驚いていたけど、何も言うことなく落ち着きを取り戻した。恐るべし、商人魂。


「ありがとうございました」


「また来ておくれ」


 おばあさんは手を振って送ってくれた。いい人だね!


「そんなスパイス買ってどうするの?」


「料理に使うんですよ」


「料理に?!あのスパイスを?!」


 だいぶ驚かれちゃった。これは是非食べてもらわないと!って言っても、まだ足りないんだけどね。


「まぁ楽しみにしててください」


「そ、そう(ほんとにマリーナちゃんって料理できるかしら?でも洞窟のスープは美味しかったし…)」


 私の料理のセンスを疑われちゃったよ…まぁ仕方ないのかな?文化だって違う訳だし。


「あ、グリアーノってどこで売ってます?」


「グリアーノ?あの馬のエサ?」


「はい、そうです」


「こっちだけど…何に使うの?」


「それは…ヒミツです」


 スパイスを料理に使うってだけで、あんなに驚かれたんだから、今は言わない方がいいよね。食べてもらって、美味しいって言って貰えたら教えよう。


「ヒミツって…まぁいいわ。グリアーノはこの通りの外れの店で買えるわ」


「外れですか?」


「ええ。馬車とかを使って大量に運ぶからね。通りから外れてたほうがいいのよ。だからそれは後にしましょ?」


「はい。じゃあ小麦粉とかはどこですか?」


「小麦粉はこっちの店よ」


 そう言って指さしたのは、スパイスのお店の向かいのお店でした。近づいてみると、パンの焼ける匂いがした。


「ここはパン屋さんですか?」


「うーん…まぁパン()売ってるわ」


「も?」


「言ったでしょ?パンは非常食みたいなものだって。だからあんまり売れないのよ。大抵の店が他の食べ物を扱っているわ」


 なるほど。早速お店に入ってみる。どうやらここは干し肉とか、冒険者がよく旅で食べる食べ物を主に扱っているみたい。干し肉は出汁が出るし、買っとかないとね。

 小麦粉は隅っこの方に大袋で3つほどあった。


「これ、中見てもいいですか?」


 店主の男の人に尋ねる。


「ああ。構わないよ」


 了承を得たので、袋の口を開けて、中を覗く。


 中に入っていた粉に、チラホラとふすまが入っていた。それに、真っ白というより黄色っぽい。全粒粉みたいな感じかな?


「そっちは高い方の小麦粉だ。こっちが安いほうだ」


 そう言って見せてきたのは、多分ライ麦粉。ライ麦って小麦とは少し違うんだけどね。こっちでは混同されているらしい。


「うーん…じゃあこっちとこっち、両方とも1袋ずつ下さい」


「安いのは1000リシアだが、高い方は3000リシアだぞ?払えるか?」


 わぁお。まさか倍以上するとは思わなかったよ。でも問題ないね。


「大丈夫です。カードで払えますか?」


「ああ。これに当ててくれ」


 水晶にカードを当てて、支払いを済ませる。


「よし。だが、嬢ちゃん。これ運べるのか?」


 少なくとも1袋20キロはありそう。心配するのは無理ないよね。


「大丈夫です」


 私は2つの袋を無限収納庫(インベントリ)に収納した。


「収納持ちか…羨ましいぜ」


 使えたらとても楽だもんね。


「ありがとうございました」


「おう。また来てくれや」


 男の人に手を振って、お店を後にした。


「欲しいものは大体買えた?」


「はい!ばっちり!」


「じゃあ次は服を見に行きましょ」


 あ、忘れてた…


「その顔、忘れてたでしょ?」


「は、はい…すいません」


 思わず夢中になって忘れてたよ…


「ふふふっ。大丈夫よ。さ、行きましょ?」


「はーい」


 私はリナさんの後をついて行き、服屋さんへと向かった。まずは仕立て済みの服を見てみようかな?














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