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ランク

 訓練場から出て、また受付に戻ってきた。


「じゃあ今からギルドカード作っちゃうから、待っててね」


「はーい」


 作るって言ったけど、魔法の適性とか見てないし、模擬戦もしてないけど、大丈夫なのかな?


「はい、出来たわよ」


「はや?!」


「ふふふっ。ここのギルドにはこれがあるからね」


 そう言って指さしたのは、四角い箱みたいなの。


「これに必要な情報を書いた紙をいれると、すぐに作ってくれるのよ」


 コピー機みたいな感じかな?


「じゃあこれがマリーナちゃんのギルドカードよ。無くさないようにね」


「はい!でも、もし無くしたらどうするんですか?」


「その時は再発行できるわ。ただし、金貨1枚かかるけどね」


 ふむふむ。要するに罰金みたいな感じかな。貰ったギルドカードは、免許証くらいのサイズ。だけど何も書かれていない。


「自分の魔力を流すと、文字が出てくるわ」


 そう言うので、魔力を流してみる。するとギルドカードが一瞬光り、文字が表れた。そこには名前、魔法適性、クラス…そして、Cランクと書かれていた。どれくらいなんだろ?


『Cランクは、上から4番目にあたります』


 え、高くない?!


『ランクは高い方から順に、S.A.B.C.D.E.Fまであります。なのでCは丁度真ん中のランクです』


 それは…どうなの?


「うん、大丈夫そうね。ランクに関しては、一気にそこまでしか上げることができないの。ごめんなさいね」


「え?!とんでもないです!むしろ高すぎるくらいです!」


「そう?マリーナちゃんの魔法を見る限り、BどころかAはありそうなんだけど…」


「そんなにないですよ」


『Sオーバーくらいですね』

 

 それもないわ!!


「うーん…まぁマリーナちゃんがそういうのなら、そういうことにしとくわ」


 しとくって…もう、訂正するのもめんどくさくなってきた…それでいっか。


「あ、ギルさんたちは?」


「ギルたちなら今ギルマスと話してるはずよ。それまでそこのソファで待つ?」


「はい、そうします」


 ギルさんたち、早くこないかなぁ〜。


 ーーーーーーー


 俺たちはマリーナと別れ、ギルマスの部屋に向かっている。


「ねぇ?あれ、どう思った?」


「あれってなんだ?」


「マリーナちゃんの親のことよ。マリーナちゃん、目が覚めたら森にいたって言ってたでしょ?」


 そういえばそんなことも言ってたな。


「それがどうしたんだ?」


「もう!気づかないの?マリーナちゃんが、実はもう…って言ったのよ?つまり、親が亡くなっていることを知っているってことでしょ?」


「いや、マリーナはそれだけしか言ってないぞ?親が亡くなったとかは一言も言ってないじゃないか」


「あれ?そういえば…」


 そう、マリーナは一言も親が亡くなっているとは言っていない。数日過ごして分かったが、マリーナは5歳とは思えないほど頭がいい。知らないと答えるより、思わせぶりな言動をすることで紛らわしたんだろうな。


「その話は後にするぞ。今は報告だ」


 そう言って俺は、ギルマスのいる部屋のドアを開けた。


「おお、ギル!よく帰ってきたな!」


 出迎えたのはいつもみる、髭もじゃのじじぃだ。今はヨボヨボに見えるが、かつてSランクに上り詰めたこともある、凄腕の冒険者だ。


「して、報告とな?」


「ああ、とりあえず座っていいか?」


「おお、そうじゃった!ほれ、座れ座れ。今茶を出す」


 このギルマスとはよく酒を飲む仲だ。だからいつもこんな感じだ。


「報告となると…深淵の森に関してかの?」


「ああ、そうだ。俺たちの受けた依頼は、フォレストラビットだったろ?」


「そうじゃったの。それがどうかしたのか?」


「それがなぁ…全然出会わなかったんだよ」


「出会わなかったじゃと?そこまでレアな魔物ではあるまい?」


 深淵の森には、数多くの魔物が生息している。フォレストラビットのその内の一体だ。だから、深淵の森に入ったら、必ずと言っていいほど遭遇する。それなのに、遭遇することが出来なかったんだ。


「ああ。代わりにバレットラビットに遭遇した」


「バレットラビットじゃと!?一体どこまで行ったんじゃ?」


「そこまで深いところじゃない。本来バレットラビットは生息していなかったとこだ」


「なんじゃと?!」


 驚くのも無理はない。バレットラビットが生息するのは、深淵の森の最奥。最も魔素が濃く、強力な魔物がいる場所だ。そこに入るには、それこそSランクの実力が必要と言われるほどに。


「もしそれが本当なら…大変なことになるぞい…」


 本来弱い魔物が生息しているところに強い魔物が出てくると、無論弱い者は蹂躙される。そして、弱い魔物を求めてきた冒険者もだ。


「できる限り早く、情報を集めたほうが良いと思うぜ」


「ああ…分かった。じゃあ報告感謝する」


「またな」


 そう言って俺たちは、ギルマスの部屋を後にした。


 ーーーーーーー


 ソファでボケェ〜ってしてると、ギルさんたちが受付のカウンターから出てきた。


「おかえりなさい!」


 私は満面の笑みで迎えた。


「おう、待ったか?」


「あんまり待ってないよ!」


「そうか。で、どうだった?」


 どうだった…模擬戦のことかな?


「模擬戦はしなかったよ」


「は?!ちょ、それどういうことだ?!」


 いや、そんなに詰め寄られても困るんだけど!?


「ギル、顔怖いわよ。マリーナちゃん、どういうこと?」


「なんか魔法適性を見るって言われて、水魔法使ったら、もういいって言われた」


「それ本当?」


「うん」


 そう言って頷くと、リナさんはカリナさんがいる受付に行ってしまった。なんかまずいこと言ったかな?


「その顔、なにも理解してないね〜」


 バケットさんがそう言うけど…なんのことかさっぱりわかんない。


「どういうことなんです?」


「実はね、登録の時の模擬戦とかは、絶対にしないといけないって、決まりがギルドにはあるんだよ」


 え、まじですか?それならカリナさん職務怠慢みたいな感じになってるってこと?


「やっと分かったみたいだね〜」


「そんなこと知りませんでした…あ!カリナさんは大丈夫なんでしょうか?」


「こんな時でも相手のことを考えるなんてお人好しだねぇ〜。まぁ大丈夫だと思うよ。ほら」


 バケットさんが指さした先には、呆れた顔のリーナさんと苦笑するカリナさんがいた。あれ?あ、帰ってきた。


「マリーナちゃん…的を壊したみたいね?」


「うん、なんか壊れちゃって」


「はぁ…なら、カリナの模擬戦をしないっていうのは正しい選択だったかしらね」


「え?どういうことですか?」


「あの的はね?本来魔法の魔力を吸収する仕掛けがあるの。だから、魔法で壊れることはない…はずなのよ」


 ま、まじですか?!


「…やっちゃいましたか?」


「まぁそれだけで、マリーナちゃんが凄いってことが分かったのよ。だから模擬戦をしなかったのね」


 それは…なんかやだな。そんなに注目されたくないのに…


「今回のカリナの対応は理解できるわ(下手したらカリナが…)。だから、マリーナちゃんはなにも心配しなくていいからね?」


「…なんか私のせいでごめんなさい」


「マリーナちゃんのせいじゃないわ」


 そう言われてもなんか責任感じるなぁ…


「てことは、マリーナはDランクくらいか?」


「いえ、Cランクです」


「Cランクだと?!そんなことあるのか?」


 疑われたので、ギルドカードを出した。それを見てようやく納得したみたい。


「ほんとにCランクなんだな…」


「まぁ良かったじゃない!じゃあお祝いで食べに行きましょ!」


 ということで食事を食べに、ギルドを後にした。











 …その後ギルマスが組織した調査隊は、深淵の森で何も異常を見つけることができなかったらしい。元凶だった存在が森を去っていたので、生態系が戻っていたのだ。しかし、そのことに気づいた者は誰一人いなかった…本人を含めて。

フィーナが全然でてきませんが、口数が少ないという設定です。本文に書くのを忘れてました...。

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