表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/130

冒険者ギルド

「うわぁー…」


 門をくぐると、たくさんの人が忙しなく歩いていた。それに、恐らくレンガ造りの建物が所狭しと並んでいた。こうやって見ると外国みたい…確かに日本じゃないんだけどね。


「ふふふっ。驚いてるわね。凄いでしょ?」


「はい!こんなにも人がいるなんて!」


 ずっと森にいたからね。私以外の人とあったのは、ギルさんたちが初めてだったし。


「まずはギルドにいかねぇとな」


 ギルさんがそう言うので、ギルさんの後をついて行く。


 しばらくして、ギルドと思しき建物に到着した。扉は無くて、中は酒場とカウンターみたいなのがあった。ここも人がいっぱいいる。


「こっちだ。はぐれねぇようにな」


 確かに今は5歳の私は、大人の体格がいい男の人混みに埋もれちゃうもんね。


「じゃあ私と手を繋ぎましょ!」


 リナさんと手を繋ぎ、冒険者ギルドに足を踏み入れた。


「お!ギルじゃねぇか!無事だったのか!」


 なんかさっきも同じような事を言われたよね…そんなに心配されてたのかな?

 話しかけてきたのは、右目に傷跡がある、何故か上半身裸のムキムキの男の人だった。


「まぁな。その件でギルマスに報告しなきゃいけねぇことがあるんだよ」


「そうか、じゃあ後で話きかせてくれや」


「おう!じゃあ後でな」


 話しかけてきた男の人との会話が終わり、リナさんに手を引かれながらその場を後にした。


「ねぇ、ギルさん?」


「うん?どうした?」


「冒険者って、どうしたらなれるんですか?」


「ああ、それはあそこの受付で登録するんだよ。なんだ、なりたいのか?」


「はい!なりたいです!」


「そうか…じゃあ先に登録を済ませちまうか」


 先にって、後で何が…あ、なんかギルマスと話すとかなんとかって言ってたね。それのことかな?


「おーい。登録を頼むぜ」


 受付でギルさんがそう言うと、奥から女の人が出てきた。


「はいはい…あら、ギルじゃない。久しぶり。どうしたの?」


「ああ。今日はこいつの登録だ」


 そう言って私のことを指さした。


「え?!こんな小さな子?」


 まぁ否定はしない。


「初めまして!マリーナって言います!」


「え、ええ…私はカリナよ…ほんとに登録するの?」


「だめですか?」


「だめじゃないけど…親は?まさかギルなんて言わないわよね?」


 あ、そっか。親か。どうしようかなぁ…


「…実はもう…」


「あ!ご、ごめんなさい!辛いこと思い出させちゃったわね…」


 私は、親がいないとは一言も言ってないよー。まぁわざと勘違いさせるような表情でやったけどね。


「じゃ、じゃあこの紙に名前とか書いてくれる?」


 そう言って渡してきたのは、葉書くらいのサイズの紙。そこにこの世界の言葉で、名前、クラス、魔法適性、と書かれている。名前はそのままだろうし、魔法適性もまんまだろうけど…


「クラスってなんですか?」


 それが分からない。


「クラスっていうのは、剣士とか、魔術師、ヒーラーとかのことよ」


 なるほど。職業みたいなもんか。


「字は書ける?」


「はい!」


 どうやら、全言語理解は読み書きとかも含まれるらしいので、問題ない。


「じゃああっちのテーブルで書いてきて、書き終わったら、また持ってきてくれる?」


 そう言いながら指さした先には、洞穴で使っていたくらいの大きさのテーブルがあった。


「はい!」


 そこに羽根ペンもあったので、それで書く。


「うーん……書きづらい……」


 紙の質も関係してるのかもしんないけど、なんか引っかかって書きづらい。こんな時になって、ボールペンの有難みがよく分かるよ……


「じゃあ俺たちはギルマスのとこにいってくるから、分からないことあったらカリナに聞くんだぞ?」


「分かりました」


 私が頷くのを確認して、ギルさんたちは受付に行ってしまった。


「さてと…名前はマリーナだけでいっかな?」


『そのほうがいいと思います』


 だよね。でもそうなるとフルネームはいつ使うことになるんだか…


「クラスは…魔術師かな?」


 魔法適性は隠蔽してあるステータス通りにっと…できた!


 さっそく受付に持っていく。


「書けました!」


「あら、早かったわね。どれどれ…え?!こんなに適性あるの?」


 そこまでおかしかったかな?まぁ収納含め4つだから、多いといえば多いね。


「はい。それで大丈夫ですか?」


「え、ええ…ちょっと待っててね」


 そう言ってカリナさんは奥に消えていった。なんか不味かったかな?


『マリーナ様は今5歳ですので、その歳にしては多いと判断されたのだと思います』


 え、そうなの?まじかぁ…やっちゃったかな?


『そこまで気にしなくていいと思います。珍しいとはいえ、有り得ない訳ではありませんから』


 そう、なのかなぁ?


「お待たせ!じゃあ訓練場に向かいましょうか」


「訓練場…ですか?」


「ええ、そうよ。まずは魔法適性が本当かの確認ね。その後ランクを決めるための模擬戦をするわ」


「分かりました」


「じゃあ付いてきて?」


 カリナさんの後をついて行く。すると外ではなく、ギルドの地下に向かって行った。


「訓練場は地下にあるんですか?」


「ええ、そうよ」


 階段を降りていくと、しばらくして開けた場所にでた。


「うわぁー…」


 そこは簡単に言うなら、体育館みたい。でも、広さが桁違い。それに地面は土になっていた。こんな広い空間が地下にあるなんて…


「ここは空間魔法で広げてあるのよ」


 へー!そんなことできるんだ!


「じゃあまずは魔法適性の確認ね。あそこに的が見える?」


 カリナさんが指さした、距離にして10メートルくらい先には、木でできたような人形があった。


「あれに魔法を当ててね。弱くていいわ。マリーナちゃんは…

 水、風、火だったわね」


「はい」


「じゃあまず水からやってくれる?」


 水かぁ…あんまり威力高いとだめだろうし、ボール系でいいかな?

 私はイメージを固め、魔力を集中させる。


「ウォーターボール!」


 そう吹くと、目の前に直径1メートルほどの水球ができた。


「え?!そんなに?!」


 カリナさんがなんか言ってるけど…これってやらかしたかな?ま、いっか!


「いっけぇー!」


 ウォーターボールは真っ直ぐ的に向かっていき、命中した。


 …的を消滅させて。


「あれ?」


 ウォーターボールってそんなに威力あったっけ?


『恐らく、以前魔法を行使した時よりも、マリーナ様のステータスが上がっているからだと考えられます』


 あ、なるほど…って、それでもやばくない!?


「な、なんて威力なの…」


 カリナさんも驚いてる…けど、1番驚いてるのは私だったりする。


「…大丈夫ですかね?」


 3つほど的が並んでいたのだが、それら全てが消滅してしまったのだ。弁償しないといけないかなぁ…でもお金持ってないし…どうしよう?


「え、ええ…大丈夫よ。的は壊れるものだからね(普通は壊れないけど…)」


 ほ、良かった。なんか最後小声で聞こえ無かったけど、気にしないていいよね。


「あとは風と火ですよね」


「あ、もう、いいわ。それは」


 うん?そうなの?


「いいんですか?」


「ええ(これ以上やったら訓練場が壊れるわ!)」


「ごめんなさい。最後聞こえなかったんですけど…」


「な、なんでもないわ!」


 カリナさんがそう言うなら、別にいいか。


「じゃあ次は模擬戦…」


「そ、それもいいわ!(私が戦うつもりだったけど、これは私の命が危ないわ!)」


 ほんとにいいのだろうか?適性だって水しか見てないし。


「ほんとにいいんですか?」


「ええ。もう上にもどりましょう。ギルドカードを発行するわ」


 そう言われたので、カリナさんと一緒に訓練場を後にした。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かに、模擬戦の相手をしていたら命の危険がありましたね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ