街へ
お待たせしました!
でもまたお待たせするかも...なんとか頑張ります...。
私がギルさんたちと会ってから、早いもので7日が経った。寝ていたフィーナさんは、4日目で目を覚ました。
「え…ここどこ?」
そのときギルさんたちは洞穴を出かけていたので、説明するのが大変だった。
そして3日間は、感覚を取り戻すために特訓していた。
「フィーナも元気になったことだし、そろそろ行くか」
とうとうこの日がやってきた。
「このほら穴どうしよう?」
『全て無限収納庫に収納した方がいいと思います。この世界には存在しない物が多いので』
とハクが言うので、ベットやテーブル、キッチンなども全て収納した。
「全部入れちゃうの?」
「もしかしたら入られちゃうかもしれないので」
悪用はないだろうが、盗みなどはあるかもしれない。
「準備できたか?」
「はい!」
ギルさんと洞穴を出て、扉にロックを掛けた。あまり離れすぎると効果が無くなってしまうが、念の為に、だ。
「じゃあ行くか」
森を歩くギルさんたちの後をついて行く。歩調は私に合わせてくれているみたい。
「ねえねえ、マリーナちゃんは街にいってどうするの?」
そう聞いてきたのはバケットさんだ。この7日の間にかなり打ち解けた。
「うーん…詳しくは決まってないですね」
調味料などは欲しいが、今更ながらお金がないことに気づいた。
「あ、でもまずはお金を稼ぎたいです!」
「お金かぁー…それなら僕達と同じ冒険者になるのが1番簡単かな?」
「冒険者かぁ…」
正直、それも考えた。だけれど、私は今5歳なのだ。そう簡単に登録させて貰えるか分からない。
「大丈夫でしょうか?私、5歳ですし」
「あ、そういえばマリーナちゃん5歳か…すっかり忘れてたよ」
「確かに5歳に見えないものね」
会話に参加してきたのはリナさんだ。
「だけど、マリーナちゃんの実力は本物だし、大丈夫よ」
「うん?実力があったらいいんですか?」
「そうよ。冒険者として登録する時に模擬戦をするのよ。で、その戦いを見て初期のランクを確定するの」
ほうほう。ハクに聞けば分かっただろうけど、やっぱり現役の人に聞くほうが確証あるよね。
『申し訳ございません』
あ!ごめんね、ハク。別にハクが悪い訳じゃないからね?
『ありがとうございます。今後改善していきます』
いやいや、十分役に立ってるから!そんなに責めなくていいよ?
『私にとって、マリーナ様の役に立つことは責務なので』
いや、それでも…
『責務なので』
あ、はい…
「マリーナちゃん?どうしたの?」
ハクと会話していると、リナさんが話しかけてきた。どうやらボーッとしているように見えたらしい。
「なんでもないです。ちょっと考え事をしてて」
「そう、ところで、もう着いたわよ」
「え?!」
改めて前を見ると、高い壁がそびえ立っていた。
「こ、ここは…」
「ここはガドールっていう街よ」
リナさんがそう答えた。なんか街というか要塞みたい。周りを石?で出来た壁が守っている。
「とりあえず検問に並びましょうか」
検問っていうのは、街に入る前に逃走中の犯罪者じゃないかとか、危険なものを持ち込もうとしていないかとかを調べること。
「次!お、ギルじゃないか!無事だったのか!」
ギルさんに話しかけたのは、検問をしていた門番の人。知り合いかな?
「おう!見ての通りピンピンだぜ!」
「良かったぜ…てっきり死んだかと…」
確かに、私のところに来てから街には行ってないはずだから、かなり久しぶりだよね。
「じゃあギルドカードを確認するぞ」
「おう、これだ」
そう言ってギルさんは、金属で出来たようなカードを渡した。あれがギルドカードかな?
「よし、持ちもんは…って、誰だ?この子?」
「森で会ったんだよ。身元は俺が保証する」
「森で…?まさか、ギル、いつかするんじゃないかって思ってたが…」
「だー!何言ってやがる!そんなことしてないっつーの!」
ぎゃいぎゃいとギルさんが門番の人と言い合いをし始めた。仲良いねぇ…
「クライヴ、大丈夫よ。ギルは確かにそんなことしそうだけど、今回は違うわ」
「は、じゃねぇ!そんなことしねぇって!」
リナさんが場を収めようとしたみたいだけど、余計騒がしくなった。
「あの〜、そろそろ止めないと後ろの人達が…」
「「あ!」」
そう、こうやって言い合いになっている間にも、どんどん並ぶ人が増えているのだ。何人くらいいるだろ?
『37人です』
あ、そう…
「ゴホン。えー、とりあえずお嬢ちゃん。身分証持ってるかい?」
「持ってないです。持ってないと入れないんですか?」
「いや、大丈夫だ。じゃあこの水晶に手を触れてくれるか?」
そう言って出したのは、直径15センチくらいの水晶玉だった。
「これは?」
「これは犯罪歴を調べるものだよ」
『マリーナ様が触れても問題ないものです』
ハクからも大丈夫だと言われたので、水晶玉に触れる。すると青色に光った。
「うん、大丈夫だね」
大丈夫らしい。
「じゃあ次は税金を払ってくれるかい?」
「それは俺が出す。ほれ」
税金はギルさんが払ってくれた。そういえばお金なんて使ったことないから、価値がさっぱり分かんないや。
『説明しましょうか?』
あ、お願い。
『はい。まず、この世界のお金は硬貨だけで、どこでも共通です。額が小さい順に、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨、白金貨となっています。換金は銅貨10枚で銀貨1枚となっており、全ての硬貨で同じです。また、銅貨1枚は10リシアと呼ばれ、銀貨は100リシア、金貨は1000リシアと言った具合で数えます』
なるほど。つまり銅貨は十円玉、銀貨は百円玉って感じか。
「…お嬢ちゃん、ほんとにこんなやつ信用するのか?」
と心配そうにクライヴさん?が、聞いてきたけど、そんなにギルさんって信用ないのかな?
「大丈夫ですよ!いざとなったらはっ倒して逃げます!」
「そ、そうか…なら安心?か?」
「クライヴ、もういいだろ?こうやってマリーナも言ってるし」
「マリーナちゃんって言うのか…ああ、分かったよ。マリーナちゃん?なんかあったらおじさんを頼りな!」
「はい!そのときはよろしくお願いします!」
そう言って私は頭を下げた。
「おう!じゃあ改めて…ようこそ!ガドールへ!」
クライヴさんが道を開け、私はガドールに足を踏み入れた。