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情報集め…からの調査

祝100話!これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 治療を終えた次の日。とりあえず呪いの情報が欲しいので、冒険者ギルドへと向かうことにした。


「マリーナ様。具体的には、どういった情報が必要なのです?」


 道中サーニャさんがそう聞いてくる。正直に言うと……分からない。


「わ、分からない?」


「ええ。そもそもその情報がありませんから」


 だからなんでも怪しそうな情報を集めるしかない。


「が、頑張ります…」


 責任からなのか、サーニャさんの言動が固い。そんな様子に思わず苦笑する。


「そこまで気負わなくていいですよ。とにかくなんでも集めましょう」


「はいっ!」


 いい返事を聞いたところで、冒険者ギルドの中へと入る。

 一瞬だけ中の人の視線が集まったけれど、すぐに興味を失って視線を戻した。これはビクッてするね……。

 とりあえず依頼ボードへと向かう。あらゆる情報が張り出されているからだ。

 ……そう言えば最近依頼受けてないな。大丈夫なんだろうか?


『冒険者の規則通りならば、Cランク以下は1ヶ月の間に依頼をひとつでも達成していなければ、冒険者ギルドから除名されます』


 となると……私はBランクだから受けなくても除名されない?


『はい』


 なら、安心。正直レシピ登録だけでかなりのお金貰えてるからね……受けなくても問題は無い。


 さてと。情報は…………うん。見つけた。一瞬だったわ……。


「サーニャさん」


「はい?」


「……見つけたので行きましょう」


「え、もうですか?どれです?」


 わたしは1番上の方。しかも情報の紙ではなく、依頼の紙を指さした。


「…森の調査、ですか」


 そう。しかもこれ、Bランクからの依頼。環境調査がそこまで高い難易度な理由が知りたくて、続きを読んだんだけど……


「…木々の立ち枯れ。地面の変色の調査」


 そう。この言葉でピンと来たのは……聖域だ。呪詛に侵されていた時の聖域。

 木々の立ち枯れに地面の変色。それがピッタリと当てはまる。


「…受けますか?」


「………」


 解決できるかは不明だけど、解決できるのはおそらく私だけだろうしなぁ。

 ……どちらにしろ、やらなきゃいけないね。


「…いえ。受けないでおこうと思います」


 その森の変化の原因。それが報告できるものかどうか限らないからだ。

 ……解決前、もしく後にこの依頼を受けた人がいた場合、無駄足になるだろうけど、仕方ない。


「じゃあいきましょうか」


「はい」


 冒険者ギルドを後にして、依頼書に書かれていた森がある方向の門へと向かう。



「次!……ん?今日はここから出るのか?」


 門番をしていたのは、なんとザーズさんだった。凄い偶然。だって門番として働いてる人って、結構いるからね。


「はい。これギルドカードです」


「おう。大丈夫だな……にしても、ちっさい方がマリーナだったのか」


「そうですよ?逆だと思ってました?」


「そら冒険者ランクBだしな…普通思わんだろ」


 まぁ、ねぇ……


「おっと。すまねぇな。もう話す時間は無さそうだ」


「いえ。それでは」


 後ろに人が並び始めたので、話をやめて門の外へと出る。


「森は…こっちですね」


「じゃあいきましょうか」


 急いだ方がいいんだけど、日が昇ってからだいぶ時間が経っていて、道に人が多いんだよね。なので流石に走るのは自重する。



「そう言えば、呪いはどうやって広がったのでしょう?」


 確かにそれは疑問。だけど、呪いの原因が森にあるのなら、少しだけ心当たりがある。

 それは……冒険者だ。


「冒険者、ですか?」


「はい」


 それならば全て説明が付く。

 スーさんのお母さんが呪いを受けたのは、あの宿の食堂にきた冒険者からだと思うんだ。街の人も同様。

 治療院には冒険者の数は少なかったけれど、それはおそらく、冒険者が戦うことを生業にするからだと思う。

 だから街の人とかより呪いに抵抗でき、治療院にはほとんどいなかった。


「なるほど……あ。ならスーさん達は大丈夫なんですか…?」


「一応軽く神力を当てておきましたが……そう長く効果はないでしょうね」


 だから早く元凶を潰さないといけない。このタイプの呪いは、元凶さえ潰せば、そこから広まった呪いも消えるはずだから。


「…っ!魔物です」


 いきなり索敵に魔物が引っかかった。


「えっ!」


 サーニャさんを背後に庇うようにして立ち、無限収納庫(インベントリ)から刀を取り出す。


「…きた」


 森から魔物が現れた。その魔物は以前も私が倒した魔物。ビックボア。

 ……でも、


「な、なんですかこれ…」


 疑問に思うのも無理はない。何故なら……体が真っ黒に染まっていたからだ。いや、正確に言うなら…黒いモヤに覆われている。眼は真っ赤。明らかに様子がおかしい。


 ブモォォォォ!!


 雄叫びを上げて突っ込もうとしてくる。


「させないっ!」


 私はビックボアが駆け出す前に側へと近付き、その首をはね飛ばした。

 不死の存在になってるとかそんなことは無く、血飛沫をあげてビックボアが倒れる。それと同時に覆っていた黒いモヤが霧散する。

 霧散して現れたのは、見覚えのあるいつものビックボアの姿。


「……なんなんですか、これは」


「……ビックボアに、呪いがかかったものです」


 これは不味いな……魔物にまで呪いの影響がでているとなると、さらに呪いがばらまかれてしまう。


「一刻を争います。急ぎましょう」


「はいっ!」


 念の為サーニャさんに強固な結界を張っておく。

 ビックボアの亡骸を無限収納庫(インベントリ)にしまい、私たちは森へと足を踏み入れた。








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