(´・ω・`)
「ゼル、汚れてる。あ、魔力が。」
上級魔法を2つ唱えて魔力が底をついたレイは、しょんぼりする。というのも、完全洗浄は、中級魔法になるため、ゼルには使え無いからだ。というのは、すでに、過去の話。
「案ずるなレイよ。昨日、1つ封印の鎖が切れた。完全洗浄×2。」
シュワシュワと、浄化されていく二人。彼は、進歩していた。天才の傍らにいるせいで、自覚が無いが、成長している。
「んん。ゼルは私が綺麗にする。」
「ああ、また今度頼む。」
ダメンズ製造機のレイを、モフる。しかし、そんな心配は、不要だ。わたくし事、おじさんゼルは、真のダメンズだからだ。今朝も、お小遣いを貰った。
だって、受け取らないと、寂しそうな顔をするんだぞ。お前は、断われるのか?断われるのかよぉぉ。
はぁはぁ、済まない。えっと、なんの話をしていたんだったか、そう《メルカーナの卵》の採取だった。
「それは、何だ?」
「ん。捕獲瓶。」
見たところ、ガラス瓶に液体が、満たされており、上に蓋が付いている。終了。
「えっと、どうやって使うのだ?」
「ポムの木に吊るすの。」
「ポムの木。」
視線を追うと、幹が際立つ白色の他より太い大樹が生えていた。
白い?
そうだ!何か、この赤の森に、到着した時から、心のどこかで、ずっとひっかかる事があったんだが、それが分かってスッキリした。
この森の紅葉に似た葉をつける木は、幹が白い。白なのだ。当たり前のように、白。白樺のような白。あまりに、説得力が有り過ぎて、忘れてた。地球の紅葉の幹の色は、茶色だったと思う。今や、こちらが自分の常識となりつつあるので、自信が無いが。
駄目だ、茶色の枝とか思い出せない。ギシギシと、常識という名前の呪いの鎖が、音をたてる。
ポムの樹は、高い、見上げる大樹だ。
「見てて、とう。」
たたたっ、ぴょいん、ぴょん、ぴょぉおん。
レイが、駆け出し、弾むように、飛び跳ね、3m上の幹に、軽々と飛びのった。で、枝に引っ掛けて、しゅたっと降りてきて、捕獲瓶を渡してくる。
「ん。」
ね、簡単でしょ、次は、ゼルの番だよ?ガラスの捕獲瓶を渡してくる。震える手で、受け取るゼル。
「やっ、やってやらー。」
だだだっ、ぴょん、ぴょん、ばしん。木に突っ込み、ぶっ倒れる。
「ゼルぅぅ、大丈夫。」
「問題ない、我には着ぐるみラプラスの羽がある。どちらが、多く置けるか、勝負するぞ。」
「ん。」
結果は、やる前から分かっていたが、惨敗である。このポヨポヨとした不思議な大地で、跳ぶコツを教えて貰ったが、さっぱり分からない。たまにマグレで、ぴょぉおん。と跳べる時が、あり、めちゃくちゃ嬉しい。
勝負に圧勝して御満悦のレイと、ポムの樹の上で、アイテムバックから、サンドイッチを取り出して、少し遅いお昼にした。
「ん、圧勝。私、天才。」
「そうだな、勝者のレイには、メルルの濃厚ミルクシェイクをあげよう。」
「ん。ありがとう。」
俺の昼は、やはりスターバリスタンの珈琲だ。朝も飲んだ?良いじゃないか、ここ最近、ハマってる。指を一本突き立てて言うのだ。お姉さん、100本頂こうか?と。
熱々で好きな時に飲める。ジャンク屋に、白銀貨1枚(1億円)で、取寄せて貰ったアイテムバック最高である。
綺麗だ、木の上から絶景の景色を楽しむ。白い枝に揺れる赤い葉。風に、たなびくハーフエルフの銀の髪。
そして、おもむろに取り出すのは、ファイヤーバードの焼き鳥。花より団子だ。肉が食べたい、これだ、ジューシーな肉汁が口の中に溢れる。この鳥は時折、燃えるような魔味を感じる。レイに、くいくいと袖口を引っ張られた。
「あぁ、食べるか?ちょっと待ってろ。」
「んん。一口でいい。」
アイテムバックをゴソゴソしてたら、一口奪われた。
「また、口元汚れてるぞ、ほら。」
「んん。」
おじさんの食べかけの焼き鳥により汚れてしまった美少女の口元を、モフモフした着ぐるみで拭いてやる。ハンカチ?そんなものは不要だ。
汚れた着ぐるみは、無詠唱で、完全洗浄を唱える。そう、効果が凄く弱くなるが、無詠唱でも唱えられる事に、今気付いた。世紀の発見か?必要に迫られた時、人は進化する。
もくもくほっぺたを動かすレイちゃんが、食べ終わったのは、食事を無限アイテムバック(ゴミ箱)に入れ終えた後だった。まったりとした午後の時間を楽しむ。




