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大商人チュワークと、赤の森の買取交渉をする予定だが、この世界でのルールが分からない。バルカンに、紹介された情報屋に足を運ぶ。
占い師ルーカス。
歓楽街の薄暗い路地の奥に、その店はあった。店の中には、魔術師の格好が似合わない男がいた。
「何が知りたいのですか?」
「大商人チュワークから、買いたいものがある。注意事項について知りたい。」
「勇者の剣ですか?」
「いや、違う。詮索はやめて貰おうか。」
「それは失礼、赤の森でしたね。水晶に映りましたので知っています。料金は、小金貨1枚。」
ニコリと笑う男。占いで当てた雰囲気を出したいようだが、水晶にヒビが入っているので台無しだった。ただ、着ぐるみを見た瞬間から分かっていたようで、情報屋としては合格だ。
「あぁ、頼む。」
小金貨1枚(10万円)を置くと、水晶玉を触りだし、下手くそな演技を挟みつつ、男は答える。ヒビの入った水晶玉には何も映らないし、男はそれを見てもいない。
「方角は南西。ねじれた角を持つ男に会えます。きっと貴方を助けてくれるでしょう。キワードは、ぬるい水。」
土地勘が無いため、さっぱり分からない。なので、さらに、小金貨2枚を積む。それを見た男の喉が、ごくりっと鳴る。
「透視したお告げを書きましょう。」
占いのポーズすら諦めた男は、さらさらと地図を書いて渡してくれた。
「ありがとう。」
「またのお越しを。そうだ、彼は、ポーションが好きです。」
軽く手を挙げて礼を言い、店を後にした。とんだニセ占い師だった。
まったくバルカンめ、占い師では無く情報屋を紹介するなんてと怒りかけたが、情報屋の紹介を依頼していた事を思い出す。
☆
地図を頼りに歩くと、目的地は、小さな喫茶店だった。扉を開けるとカランカランとベルが鳴り、珈琲によく似た香りが鼻孔をくすぐる。カウンターの木の椅子に座ると、店のおばちゃんが手書きのメニューを出してくれた。
「いらっしゃい。あんた、珈琲飲んでみるかい?」
「いや、ぬるい水を頼む。」
「父さーん。ルーカスさんとこの客だよー!」
とたんに、おばちゃんはうんざりした顔になり、奥へ声をかける。
「待ってる間に、珈琲を頂こうか?」
「ふふ、あんた分かってるじゃないか。」
出された珈琲とやらは、珈琲牛乳に寄せた何かだった。嫌いではないが、これではない感がする。
ねじれた角の丸眼鏡をかけた神経質そうなヤギの年老いた獣人が店の奥から出て来た。
「なんだ、小僧、何が知りたい。」
「チュワークと取引にあたり、注意すべき事項が知りたい。」
「あんな、クソとは、まともな取引なんぞ出来んぞ。金の無駄だ、辞めておけ。」
「大事なモノを取られている。」
「付いて来い。」
嫌そうな顔をした老人の後ろをついていき、書斎に案内された。
「そこに座って待っておれ。」
案内されるまま、椅子に座る。本の湿気たニオイがする部屋は、昼間なのに薄暗く小さな明かりがゆらゆらと揺れていた。
状況を説明して、老人に、契約について指導を受ける。さらさらと擬似契約書を作成してくれた。
「例えば、この契約書を出されたらどうする?」
(赤の森を譲渡する。)
「期限、金額、面積が書かれてないな。」
「それだけか?」
「あとは、分からない。」
「関係性をハッキリさせとかないと、下手をしたら、逆に譲渡させられるぞ。証人もいない。確約金もない。女神印もない。出し抜かれないよう正確に、書くなら10枚は必要だ。」
「分かった、指導はもういい。こちらから、条件を突き付ける事にしよう。爺さん、契約書を作ってくれ。」
「ルーカスめ、こんな小僧を寄越しおって、ワシは引退したんだぞ。あぁ分かった、小金貨1枚だ。2枚もいらぬわ、値段にはプライドがある。」
「ありがとう、あと、これ好きらしいな。」
「くく、マーシャル印のポーションか、これは他のより美味い。最近、レーションとやらのせいで、流通量が減っておってな。分かってるではないか、有り難く頂こう。」
「今回の契約にしくじると、この製品は無くなる。」
「脅しか?」
「チュワークに脅されている依頼主が、それの製作者だ。」
「せいぜい、頑張るとするか。」
ポーションをチビチビ飲みながら、ねじれた角の老人は、不敵に笑った。
ピースがまた1つ揃う、全ては、順調だ。赤の森を奪還するぞ。




