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(´・ω・`)


 無限むげんに引き延ばされた時が、収束しゅうそくを始める。物理法則を無視して、空間を闊歩かっぽしていたアイコンが泡のように消失する。意味不明な状況の中で捕まえた、手の中でピチピチと跳ねていた電話のアイコンを、獲得した。視界が、明るくなり、ホワイトアウト。何も見えない。


 つまりは、異世界に転移した。


 人生負け組おじさんは、少年の異世界転生イベントに不完全な形で巻き込まれた。

 転生では無く、適当な位置に転移しただけなので、若返りが無い。神様にも会ってないので、ギフトも貰えずチート能力も無い。


 これは、おじさんが、おじさんのまま異世界で努力し、人生をやり直す物語である。



 視力がだんだんと回復してきた。異世界の転移先は、ベッドの上だった。シーツからは、甘いとても良い匂いがする。なんだ、この部屋は?


 ビーカー、フラスコ、錬金釜れんきんがま。用途が想像出来ない器具。作業台。無数の引き出しのある棚があり、どうやら今いるこの部屋は、錬金術師れんきんじゅつしの工房のようで、少し広い。

 しかしながら生活感がある。自宅と兼用しているといったところか?そして、なぜか、多数のぬいぐるみがある。ファンシーな家具もある。もしかして、ここの家主は、少女なのか?だとすると、知らない少女のベッドの上に座っている可能性が出てきた。そう考えると、背徳感はいとくかんすごい。



 うっ!人がいた。


 見えたのは、小さい後姿。大きめの白衣を着た、銀髪の耳が長い、おそらくエルフの少女が、部屋の中央に座り込んで、床に魔法陣サークレットの細かな紋様(もんよう)を、集中して()いていた。よほど、集中しているのか、こちらにはまだ気づいていない。


 なんて場所に出た。

 少女のベッドの上!?これなら転移先がダンジョンの方がマシだ。だって生き残れる可能性は、はるかに高いだろう。


 一人暮らししている少女の部屋に、押し入って、ベッドに座ったおじさんは、性犯罪者と間違われても、仕方が無い。というか現行犯逮捕されない未来が見えない。はっきりとは見えないが美少女っぽいところも罪状が重くなりそうで気が重い。

 このあと衛兵えいへい捕縛ほばくされるなら、まだいい。村人達の私刑しけいエンドまである。


 嫌だ、嫌だ。おじさんが、何をしたというんだ。巻き込まれただけなんだ。神に誓って下心なんてない。



 少女は、まだ気付いていません。

 どうしますか?


 1.隠れる?

 確かに小学生の頃は隠れんぼが得意だった。しかし、この太ったお腹ではベッドの下にはもう潜り込めんよ。当然、人が入れる大きさのダンボール箱も無い。


 2.説得する?

 異世界転移に巻き込まれただけなんです、信じてください。それで信じて貰えるなら詐欺師になってる。


 3.逃げる?

 おい、おい。自分の運動能力を考えろ。


 4.押し倒す?

 それやったら、性犯罪者だからな。これだけは、ねーよ。

 


 どうする?どうしたらいい。何も思い浮かばねー。ついに、少女が振り返る。少女と目が合った。


 発見された!


 少女は、無言で震えている。


 この状況を切り抜けれなければ、人生終了だ。どうすればいい?どうすればいいんだよ。そうだ!テンパったおじさんは、にっこりと、不器用(ぶきよう)微笑ほほえんだ。



「きゃあああ」


 少女が感情を爆発させ叫ぶ。


 やっぱり、駄目っ。はい、すいませんね。怖がらせてごめん。おじさんの笑顔なんて求めて無いですよね。死んだよ、これ死んだよー。文明レベルが低かったら、人権とか無さそう。


 ちなみに、正解の対応は、なんだったの?イケメンだったら良かったの?残念。転生してないから、その選択肢は、出てこないんだ。


 ここは異世界だ。外の状況が分からない上に、服装も目立つだろう。逃げ切れる自信は無い。せめて、無害アピールで、窃盗未遂(せっとう みすい)ぐらいに、減刑を。


 はぁ、死にたくないし、痛いのも嫌だ。衛兵を呼ばれて、尋問じんもん。そして簡単に、ゴミを捨てるかのように(しょ)される。人の命なんて軽い可能性は、割とある。お願いだ。減刑をお願いします。何もやってないので。

 憂鬱ゆううつな気分で、神頼みしてると、少女が理解出来ない事を言い出した。



「せ、成功した。」


「ん?」


 なんだ?様子が変だ。相変あいかわらず少女は、ふるえているが、よく観察すると恐怖とは違うようにも見える。ガッツポーズしている。成功って何だ?


「私、天才。」


「そ、そうだね。」


 よく分からないが同意だ。この少女に、おじさんのちっぽけな命は、握られている。否定してはいけない。ご機嫌をとるのだ。

 良く見ると、ダブついた白衣を着た背の低いエルフの少女は、美少女だ。白衣が膝下まであるので、ワンピースのようにも見える。こんな状況なのに見惚れてしまう。これが異世界クオリティか、ゲームの世界から出てきたようだ。しかも、その美少女が、笑ってるから、破壊力抜群だ。ちくしょー、可愛い。守りたいこの笑顔。

 どうやら、少女は、喜んでいる。恐怖では無く、歓喜かんきで震えていたらしい。

 ならば、先程のは、負けイベントか。ここからの対応で、犯罪者にならないで、すむかもしれない。針に糸を通すような選択肢の先に活路がある。


「しかも、人語を話す従魔じゅうまとか。私、やはり天才。錬金術師の身で、大召喚まで出来るとは、まだ魔法陣も完成していないのに。自分の才能が怖い。」


「そ、そうだね。」


 よく分からないがこれも同意だ。全力で乗っかろう。死にたくないのだ。従魔?


 部屋の中央には()きかけ魔法陣がある。そうか、何となく理解したが、その魔法陣で何か強烈な悪魔を召還しようとしていたらしい。


 うん。違うね。魔法の知識は、ゼロだけど、悪魔が魔法陣の中に出てくるのだけは、分かる。おじさん、悪魔違う。だって、ベッドの上に出て来たんだよ。とゆーか、魔法陣が完成していないなら、召還の可能性は、無いよ。

 この残念少女からは、ダメな匂いが、ぷんぷんする。


 どうやらこの少女は、おじさんの事を、召喚した悪魔だと誤解している。若い子の考えは、おじさんには理解が出来ない。


 従魔では無いと説明し誤解(ごかい)()こう。待て、そうすると、どうなる?晴れて誤解が解けて、衛兵呼ばれて人生終了エンドだ。


 説明(せつめい)ダメ、誤解ごかいいては、いけない。



 よし!おじさんは、今から従魔だ。



「フフフ、名前をつけてあげる。」


「いや、名前は、ありますけど。」


「・・・。」


 え?


 少女が、じわっと泣きそうな顔で、無言で見つめてきた。お願いだから、その反応は、やめてくれませんか。


 従魔になりきれず、反射的に否定したおじさんが悪いんだけど、イエスマンなんて出来てたら、出世してる。おじさんにだって、名前ぐらいあるのだ。


 従魔の名前を決めてたんだろうか?だけど思い通りにいかないからって、涙目で見てくるのはやめて欲しい。だから、やめて。駄目だ、この圧力に耐えられない。


 いいさ、名前なんていらない。この子が笑顔になるなら安いもんだ。もう好きにしてくれ。


「もしかして、名前を頂けるのですか?マイロード。」


 それっぽい事が言えたか?世界よ、震撼しんかんせよ。全く強くないおじさん従魔が、今日ここに、誕生するかもしれない。

 うわっ、いい笑顔に戻ったわ。期待させて、ごめんなー。大召喚は、されていない。目の前にいるのは、ただのおじさんなんだ。


 ばさっと白衣をひるがえし、格好いいポーズで、右手をかざす少女。おじさんは、それっぽく、ひざまずく。


「フフフ。私、赤の森のハーフエルフ。天才錬金術師マーシャル、レイ、ヴィクトリアが名を授ける。君の名前は、マーシャル、ゼル、ラプラス。」


がたしあせ。」


 少女の右手から光があふれゼルは最強の悪魔に覚醒かくせい、なんて展開を期待したが、何も起こらない。ここは異世界だし、奇跡きせきが起きて従魔契約され強い力に目覚める展開を少しだけ期待したけど、何も変わらなかった。

 やはり、魔法陣は完成していない。


 おじさんは、何一つ変わらなかった。ぽっこり出たお腹。肉体強度は、低い。チートも無い。

 変わったのは、名前だけ。おじさんは、異世界で、今日から、ゼルと名乗る。


早速さっそくだけど、ゼル。私に力をして。」


「な、なんなりと。」


「私の故郷、赤の森を、卑劣ひれつな大商人チュワークから、買い戻すの。だから、その為に、一獲千金当てなければいけない。」


「ふむ。」


 ハーフエルフの少女レイが、められた顔で、真剣に懇願こんがんしてきた。いったい、何を求めているのだ?こうなったのも何かのえんだ。おじさんに、出来る事なら、やってあげたい。


「赤の森を買い戻す金策きんさくだけど、天才の私に、いい考えがある。とりあえず、ドラゴンを狩ってきて。なるべく強くて大きいの。厄災やくさいクラスがいいと思うの。きっとゼルの力なら楽勝でしょ。」


「ん?」


「赤の森の買い戻しには、大金がいるから、なるべく傷は、少なく討伐してね。一獲千金だよ。人の身では生存困難な秘境にいるけど、ゼルならやれるの。たぶん。」


「んん?」


「あと、ドラゴンのお宝があれば、それも持って帰って欲しいかな。」


「んんん?」


「対価は、私の命。赤の森を買い戻せたら、好きにしていい。」


「無理!ムリムリムリ。」


「…え?」


 ハーフエルフの美少女は、期待を裏切られた。すごく絶望した顔に変わった。


 美少女だから、攻撃力が、すごい。


 だけど、期待されても、目の前にいるのは、召喚された最強の悪魔じゃなくて、巻き込まれた、ただのおじさんだから。

 ドラゴンは無理だし、最弱ゴブリンですら、勝てるかどうか微妙だ。負けるまである。なんで出来ると思ったのか分からないし、分かりたくもない。お断りだよ。すごく断わりたい。


 だけど、レイのかなしそうな顔が心にくる。

 泣かないで欲しい。一獲千金で一発逆転狙ってる辺りも、すごい共感する。しかも、おじさんより、まともな理由だ。


 くそっ、くそっ、断れない。


 断れないよ。


「娘よ、誤解があるようだ。今、我は完全体では無い。本来のチカラを1%も出せない状態では、少しきびしい。」


「そうなんだ。」


 完全体って何だよ!おじさんだし、のびしろなんて無いよ。弱くても、今がMAX。むしろ減少していくだけだし。なんで悪魔っぽい口調で、期待させた?

 期待に満ちた目が、心にくる。痛い、マジで痛い。耐えかねて、嘘を重ねてしまう。


「そうだな、知恵を貸すことなら、可能かもしれない。」


「もしかして、古代こだい叡智えいち。」


「そうだ、知っていたか。」


 はー?何だそれ?聞いた事無いし、古代の叡智って何だ?むしろ、おじさんが、教えて欲しい。


 その時、突如、リンリンと頭の中に音が鳴った!

 魔法を使いますか?とナビゲートしてくる。魔法名:脳内電話案内(テレフォン)。どうやら、転移の時に、つかんでいたアプリのアイコンが、魔法として習得できたようだ。偶然、捕まえておいて良かった。早速、聞いてみよう。


 テレフォン:古代の叡智とは?

 (転生者が遺したオーバーテクノロジー。魔神剣まじん けん魔導母艦まどう ぼかんが有名です。)


 ナビみたいな魔法だな。脳内でこっそり確認できて、ありがたい。そういえばクイズ番組で、分からなかった時に電話で友人にヒントが貰えるのが、テレフォンってアイテムだった。


「ゼル?」


「問題ない。テレフォンを使っていただけだ。」


「ええ?あの有名な?」


「そうだ。」


 もしや、この魔法は、レアな魔法なのか?それなら、魔法チートが出来るかもしれんのう。

 尊敬の眼差しで美少女レイは話す。


「たしか、ゴミ魔法ランキング1位。こんな使えない魔法まで覚えているのは強者きょうじゃあかし


「ん?娘よ、しばし待て」


 ゴミだと?


 テレフォン:テレフォンは、ゴミ魔法?

 (この世界について回答するナビゲート魔法です。住人にとっては、ほとんど知り得ている知識なので、ゴミ魔法とあやまって認識されていますが、転生者にとっては、とてもありがたい神魔法です。最もゼルは、他に魔法が使えないので、ゴミな存在かもしれませんが。)


 うおっ凄い勢いで話してきた。オコなのか?ディスってきたし。しかし、参ったな。こんな事なら他のアイコンも捕まえておけば良かった。

 おじさんは、巻き込まれ転移だから、チート能力なんてないんだ。あるのは知識チートぐらい。地道に、ラノベで有名な甘味や紙を開発しますかな。それなら一獲千金出来て、赤の森を買い戻せるかも。


 いや、待てよ、嫌な予感がする。聞きたくないなあ。


 テレフォン:知識チートは有効か?

 (甘味、紙、しょうゆ、米といった有名な知識チートは、過去の転生者により、すでに流布されています。より、高度な知識チートなら有効です。)


 なら、無理じゃん。高度な知識って何だよ!


「ゼル、もういい?」


「待たせたな、膨大ぼうだいな知識が押し寄せてきた。」


「ゼル、お願い。どうしたら完全体になれるの?私に出来る事を言って。錬金術では、頑張ったけど、赤の森の、買い戻しは絶望的。もう私には悪魔に頼るしか道は無いの!」


「落ち着け、腹が減ってはいくさは出来ぬ。まずは、にえを所望する。」


「わ、分かった。契約者の努め。」


 悲壮ひそうな覚悟を決めた顔で、レイは、ナイフを取った。ぷるぷると震える手付きで、自分の太腿ふとももに突き立てようとした。


「待て、待てーい。何を。」


「乙女の血液、悪魔のにえ。」


「早まるな。我は、弱っておる。血や魂は、吸収出来ない。普通の食事で良い。」


「そ、そうなんだ。良かった。作るので、待ってて。」


 ふーっ、迂闊うかつな事は、言えないな。

 ただ、話を()らすついでに、飯をたかろうとしただけなのに、あやうく流血沙汰りゅうけつざただ。


 しかし、成り行きとはいえ、美少女エルフの手料理をご馳走ちそうになる事になった。グッジョブ、俺。

 女性の手料理ですよ、期待が高まる。食べられる日が来るなんてな。うっ、涙が。もう死んでもいいかもしれない。


 レイは、手慣れた手付きで、米を掴み、錬金釜に入れた。おそらく普段ポーションを作ってるのと同じ釜だ。ゴリゴリと調味料のような素材をすりばちり、重さを図ってグツグツ煮立つ釜に、入れる。よく分からない液体を数種類、追加し、おかゆみたいな料理は、完成した。

 期待を裏切られた。手料理じゃなくて調合だった。銀色の味気ない皿に入れて、提供された。


 そして、問題は、まだある。

 スプーンが無い。もしや、犬のように食べろという事か?なにそれ、プレイレベルが高すぎる。やだ、新たな性癖せいへきに目覚めそう。

 いや、忘れているだけかもしれない、頼む、そうであって欲しい。


「マスターレイよ、何か忘れていないか?」


「レイって呼んで。その変な呼び方、禁止!あっ隠し味の期限切れポーション忘れてた。」


 そう言って、小さい透明なポーションびんから、淡く緑に光るトロトロとした液体を、入れてかき混ぜた。


「えっと、期限内のものは、無いのか?」


「だめ、商品。」


「いや、規格外品きかくがい ひん。期限切れてないけど、商品にならないものは、無いのか?」


「あるけど、ホントに食べるの?」


「あぁ、食べてみたいな。なんて。」


 少女は、ゴソゴソとたなを調べだした。

 あるなら、出して欲しい。そう、色が悪いとか、少し薄いとか、そういうのでいいんだ。期限切れは、ちょっと。

 あきれた顔で、見つけた箱を渡された。


「失敗作、どうぞ。」


「ありがとう。」


 箱の中には、緑の飴玉が、入っていた。どうやらこれは、固形物らしい。1つつまんで口の中に、入れてコロコロとめる。その油断がいけなかった。異世界で油断するバカは痛い目にあう。


 あばばば。

 言葉にならない不味まずさが口の中を支配する。くっそ、不味い。要求した手前、捨てるわけにもいかない。飲み込もうにも少し大きい。くだき、どうにか飲み込んだが、想像をぜっする不味さ。すでに涙目なみだめだ。


 飲み込むと、身体が光りに包まれ、回復した。初めて味わう急激に回復する感覚。身体が羽のように軽い。病気が治った直後のような湧き上がる力、今ならフルマラソンでも余裕で走れそう。

 日本での負け犬生活は、ダメージを受けていたのか、知りたくなかった事実を知ってしまい震える。

 だけど、良薬口に苦しというが、この緑の飴玉は、後味も最悪だ。もう食べたくは無い。水が、水が欲しい。のどが、イガイガする。


「だから、激マズだって言った。んん!美味しい、さすが、私、天才。」


 悶絶もんぜつするゼルを尻目に、レイは、期限切れポーション入りおかゆを、美味しそうに、スプーンで食べていた。


「ん!ん!ん!」


 言葉にならない抗議こうぎをするゼル。欲しい身振りで欲しいと伝えると、仕方なさそうに渡された。


 慌てて、スプーンでお粥をかき込む。


 アハーン。

 美味(うま)いっ!なんだ、めちゃくちゃ美味いぞ。()き上がる力を感じる。先程のおままごとのような調合からは、想像出来ない味だ。緑の飴玉の喉に残るエグみを上書きするように、飲む。身体が求めている。


 思わず、全部食べてしまった。


 遅れて、身体が光りに包まれる。先程に比べ弱い回復。期限切れとは、回復効果半減のようだ。


 はらふくれると落ち着く。美味い物を食べると心が、満たされる。視野も広がる。


 エルフの少女が、小さきこぶしを握りしめて、ぷるぷると震えてるのに、やっと気付いた。ヤバイ、怒ってらっしゃる。めっちゃオコだ。


 ごめん。美味すぎて、1人で完食してしまった。

 不可抗力だ。緑の飴玉のせいなんだ。怒りを、怒りを鎮めなくては。


「私の、」


「は、話せば分かる。レイさん。」



「私の、マイスプーンを使わないで。」


「おぐっ」


 怒りに燃える美少女エルフの小さき拳は、正確に急所を撃ち抜く。ゼルおじさんは股間こかんを押さえながら、変な声を出して、撃沈げきちんした。


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