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夢のごとし

第二章二十七「運命の再会」



「イセ、これをあげる。これはオジブワ族インディアンに伝わる魔法のお守り」


帰国船に乗り込もうとする伊勢にエミリーが手のひらに乗せた不思議な形のものを手渡す。

いらくさという草で丸くリングを作り、リングの中にクモの巣のように網がはられたこのお守りは、ドリームキャッチャーとも呼ばれている。



「アシビカーシっていうオジブワ族の美しい女性の伝説があって、これを持っていると悪い夢から守ってくれて、良い夢を届けてくれるんだよ」


「ありがとう、エミリー。このお守り、大切にするわ。また、いつか絶対に再会しましようね」


「いせ、また会う日まで・・・約束わすれないでね」


「うん。エミリーもね」


溢れる涙を頬に流しながら、姿が見えなくなるまで手を振り続けた。




甲板(デッキ)は風が強い。中へ入ろう」

伊勢の肩を抱き寄せ、中へとエスコートする信玄。


「伊勢、帰国したら忙しくなるぞ。婚約をしたと言っても、まだ結納も済ませていない。帰ったら結納をすぐに取りおこない、結婚もできるだけ早くしよう」


「えっと・・不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくおねがいします」

茶目っ気たっぷりに頭を下げる伊勢は、可愛らしい子供のようにみえる。


「今度こそ・・二人で夜の月をゆっくりと眺めたいものだ。じっくりと夜が明けるまでね」


意味もわからず、うつむきがちにコクンと頷く伊勢。


「みんなが、食堂で待っている。着替えて落ち着いたら俺の部屋をノックしてくれ」



荷物を持ち、伊勢の部屋へと送り届けるとそう言い残して信玄は自分の部屋へと消えて行く。

貿易商の一員として参加した今回の旅は、たくさんの成果をえて、大成功をおさめての日本帰国だ。







ー 謙信と絶も同じ船に乗り込んでいた。


絶を部屋へ送り届け、一人自室に向かう謙信。

手術が成功し、無事に帰国できることに、少しだけ責任を解放された心地がする。





着替えを終えた伊勢は、急いで信玄の部屋へと向かう。

「信玄さまの部屋は・・・301号室だから、この廊下の突き当たりだわ」


伊勢がキョロキョロと部屋を確かめながら廊下を歩いていると、前から見覚えのある顔がまっすぐに歩いてくる。

うそ!・・・謙信さま?・・どうしてここに?



謙信も伊勢の姿を見て驚きを隠せない。


「伊勢・・・どうしてここに?」


「謙信さまこそ・・」



「絶がアメリカで手術を受けた。無事に手術は成功した。いずれ歩けるようになるだろう」


「そうだったのですか。絶さん、よく頑張りましたね。謙信さまも大変だったでしょう」



「・・・伊勢。お前は大丈夫か」


「あっ、はい。私は、ぜんぜん大丈夫です。私、シルク貿易の仕事でアメリカに来たんですよ。エミリーとも会えたし・・・あっ・・・あと・・帰国したら信玄様と結婚することになっています」



しばらく沈黙が続いた後・・・謙信が問いかける。


「お前は・・・・幸せなのか?」


「・・・・・・・・」答えに苦しみながらも、言葉を選んで返答する。


「幸せになりたいと思います」


「そうか・・」


二人は、それ以上会話することなく、それぞれが待つ相手の元へと戻って行く。




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