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この恋は許されない!?

第1章六「溢れる想い」


謙信は、自分自身が信じられなかった。

俺は、伊勢姫をどうしたいのか?


春日山城に伊勢が到着したあの日からすでに一週間が過ぎている。


戦の後始末など忙しく、伊勢とはあの日以来、顔も合わせずにいる。侍女達の報告では、伊勢姫は誰にも心開かずに部屋にこもりきりだと聞いた。



伊勢は俺を恨んでいるのだろうか・・・


いったい、俺はなぜ伊勢をここへ呼んだのか・・


命を助けたとはいえ、たった一度会っただけの小娘ではないか・・




伊勢を助けた後、平井の村で聞こえて来た村人達の話が俺を狂わせたとでも言うのか・・




ー平井金山城下ー


「聞いたかい。伊勢姫様が誰かにさらわれたかも知れないって話・・・」

「あぁ。あの天女のように美しくて心優しい姫様。馬に乗って一人で村に現れ、子供達と遊んでくれたり、お城から持って来た甘味を病気のばばぁにくれたこともあったあの姫様だろう?」


「そうだよ。お美しいのは容姿だけじゃなくて、心まで綺麗なお方さ」

「千葉の殿様も伊勢姫だけは、嫁に出すのを渋ってるってぇのもわかるよな」


「武田信玄、伊達晴宗・・あの織田信長も伊勢姫の噂を聞いて所望しているって噂じゃないか・・」

「千葉の殿様は、誰に伊勢姫を渡すのかねぇー」



謙信は、村人達の会話を黙って聞いていたが、無性にイライラしていた。


「あの花冠の姫を武田や伊達などに渡すわけにはいかない」




ー春日山城ー


伊勢の部屋にはすべてのものが品良く設えられていた。部屋も陽のあたりの良い見晴らしの良い部屋。


ふくはもうここでの生活に慣れて来たようで、侍女達とも仲良く話している。人質とはとうてい思えない待遇だ。侍女達は毎日花を生けにくる。謙信様直々のお達しらしい。


でも・・謙信様自身はあれから一度も会いに来てはくれない。私は、なぜか謙信様が会いに来てくれるのを毎日待っている。


ふくは、私の気持ちなど気づかずに、侍女達が噂している事を囁いてくる。


「姫様・・謙信殿は、女人がお嫌いなんだそうですよ。以前、直江殿の娘・ふえ様が謙信殿のお世話係をしていたそうですが、謙信殿はふえ様にはお手一つ触れることがなかったそうな・・。ふえ様は謙信殿に恋心を抱いていたそうで、ある日、意を決して謙信殿を誘惑したんだそうです。ですが・・謙信殿はふえ殿にこのような事をしてはなりません。と断ったらしいですよ。その後、ふえ様は髪を丸めて仏門に入られたっていうではないですか・・なんとおいたわしい。」


「姫様・・ふくは今日こんな話も聞きましたよ。謙信殿はみなから軍神と呼ばれており、小さな時から戦が大好きだったそうですよ。笑うことなど滅多になく、侍女達に話しかけたこともないのですって。とにかくすごく怖いお方なんだとか・・姫様、油断禁物ですよ」



あの時会った謙信とはまるで別の謙信がここに住んでいるかのような噂話だった。






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