再会
第二章一 「一夜の夢」
『極楽も 地獄も先は 有明の 月の心に 懸かる雲なし』
「・・・・おかえりなさいませ」
「・・・影家」
「・・・謙信様・・どうなされたのですか? ご気分が悪いのですか? 」
「・・私たちが謙信様をお助けしましたのよ。お怪我はしていないようだけど・・少し頭を打たれているようなので、今日はゆっくりお休みになられると良いわ」
「・・・そうでしたか。絶様、ふえ様・・ありがとうございました」
「・・・じゃ・・私たちは先を急ぐので今日のところは失礼しますわ。」
「・・・そうそう。謙信様・・今週末の鹿鳴館でのパーティーは、謙信様がエスコートしてくださる約束をしてくださったと父(直江)から聞いております。私・・今から楽しみにしておりますのよ」
「・・・・まっ。ふえさん・・お父様に頼むなんて・・ずるいわよ」
「私も、兄(近衛)と一緒にパーティに出席しますのよ。謙信様・・私ともぜひ一曲踊っていただきたいわ」
「・・だめよ。絶さん。謙信様は私をエスコートしてくださるの」
「まっ・・ふえさん・・私も兄に頼みますわ・・」
ゴホッ・・ゴホッ・・
影家が二人を見かねて咳をする。
「あら・・はずかしいわ。それでは・・・謙信様、早く良くなってくださいね。それでは・・ごきげんよう」
二人が去った後には、静けさが漂う。




