きっと何時かは消えてしまう君へ
以前短編として投稿していた作品第一段。
*元の作品は削除します。ありがとうございました。
ーー私は、ずっと生きていられる訳じゃないから。
そういって酷く儚く笑った君の言葉に、あの時の僕は、なんと返しただろうか。
そりゃあ、人間は誰だって、「ずっと生き続ける」なんて、無理に決まってるさ。
確か、そんなことを言った気がする。
あの時の僕の言葉に、何も言わずに静かに、そして何処か諦めの混じった微笑みを浮かべた君は。
何時かの日に突然、何も言わずに僕の元から、去っていってしまった。
あの時、君が僕に何を伝えたかったのか。
いまだに僕は、何も知らない。
あの時、酷く儚げに笑った君。
君の言った言葉の意味を、あの時の僕は、知らなかったんだ。
嗚呼、もしこの世に神という存在がいるのなら。
どうか彼女を、生きることのできなかった、憐れなひとつの命に。
新たな生を、お与えください。
生きることのできなかった君。
生き続ける僕。
交わる筈の無い、その二つの道は。
運命の悪戯によって、交差した。
あの時の僕は何も知らなくて。
酷く儚げに笑った君の心を、解るはずが、なかったんだ。
生きることができなかった君には、
当たり前のように生き続ける僕は。
…そう、きっととても残酷で。
交差した二つの道は、何時かの日に離れて。
もう二度と、交わることは、ない。
嗚呼、どうか。
君に新たな始まりが訪れますように。
生きることができなかった君に。
生き続ける僕は。
きっと何時かは、君と過ごした記憶も、欠片も遺さず消えるだろう。
それは、きっと。
僕が、生きることをやめた、その時に。
きっと何時かは消えてしまう君へ。
僕は、何が遺せるだろうか。
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