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色の無い世界
私にとって世の中とは、あまり美しいものには映らなかった
すべてがセピア色に見えるのだ
人もモノも、すべてがセピア
美しくとも愛おしくともない、寂しさすら感じる…
そんな時、それは現れるのだ
すこし古い、
まるでおとぎ話に登場するような…
やさしい雰囲気の
木の扉が、
色の無い世界に、
不思議なほどやわらかな色をまとって現れたそれは、私の心の唯一の逃げ場所なのだ
私はいつものようにそっとノブに手を掛ける
この瞬間、私はいつも、トキメキとも緊張ともわからない、『ドキドキ』を感じる
キィ…
なかは、たくさんの植物に飾られ、淹れたてのハーブティーの香りがひろがっている
いつもと同じ、
セピアのなかにあらわれる
一瞬のカラフル、
まるでどこかの猫型ロボットが出してくれる魔法のドアのように、
この扉は私を連れ出してくれる、魔法の扉なのだ