1/2
プロローグ
「結城結城、…」
「ねぇねぇあかね、…」
-------
「…うん、‥うん、‥そっかぁ、
大丈夫、いいこともあるさ、‥だから、ね」
今日も同じクラスメイトの彼女の話を聞いてあげる
ことの始まりは泣いてるクラスメイトを見て、なんとなく可哀想に思えて、…それだけ
購買で買ってきたジュース缶をそっとおいて
「どした?」
そう話しかけたのが始まり
翌日から私は彼女達グループの『良き相談役』
私の意図しないところで彼女たちは私を『お姉ちゃん役』として、一風変わったキャラクターに仕立て上げたのだ
もともとあんまり友達っぽい友達はいない
気にしないと言えば気にしない
それでも、欲を言える物ならば、お姉ちゃんでなく同級生がよかったと思う
なるべく失敗しないように、なるべく嫌われないように
そうして来た結果が、今の八方美人な私に繋がってきたのだろう
別に間違ってなんかない、…今でもそう思ってる
ちょっとだけだ
ちょっとだけ、もったいない事をしたかもしれない学生時代を、
ほんの少しだけ、
惜しんでいる