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エピソード00

2015/09/27 PM08:30 ウクラインカ基地付近上空


ロシアの領空を飛ぶ三機の軍用ヘリ。輸送ヘリ、多目的ヘリ、そして戦闘ヘリ。それはとてつもない異彩を放っていた。


この輸送ヘリと戦闘ヘリがロシア軍の所有物がならばなんら問題ない。それは正常だからだ。


しかし、この二機の輸送ヘリを所有する国家。それはアメリカ合衆国だった。


そして、この輸送ヘリの中もアメリカから見ても異彩を放っていた。


輸送ヘリに乗るのはグリーンベレー、SEALs、デルタフォース、海兵隊特殊部隊と言った陸海空、海兵と言ったまったく統一感を感じさせない特殊部隊の精鋭だった。多目的ヘリにもアメリカ軍の各特殊部隊が搭乗していた


ヘリの一機はUH-47チヌーク、もう一機がUH-60ブラックホーク、そして戦闘ヘリがAH-64アパッチ。


この異彩を放つ部隊がアメリカ最大の警戒対象国の国家、ロシアの領空を、しかもロシアの極東最大の基地上空を飛行する背景にはアメリカを、世界を揺るがす背景があった。




二ヶ月前2015/07/24 アメリカ大統領会議


この日、アメリカの脳であり未来であるこの場所である重要な会議が開かれていた。


会議に大統領、副大統領に続き国防総省長官、国土安全保障省長官、CIA長官などの各方面の最高権力者、10名が集まっていた。


今回の議題とは、ロシアにて潜伏中のCIA局員のある情報だった。


「大統領、CIA局員はすでに1年以上潜伏しておりました人間です。嘘とは思えません。」


CIA長官が会議始まって何度目になるか分からない言葉を発する。


今回の議題、それはロシア軍の派閥のうちの一つがウィルス兵器を開発したとの情報だった。


2013年以降の世界規模での強い財政不安。それによりロシア内でも二つの派閥が生まれ軍でもその二つに分離した。


そのうちの一つ、旧ソビエトの思想が強い派閥によるアメリカへのバイオアタックの危険性。


そししてその事へ対してのアメリカでの対応。それについての会議だった。


「大統領、場合によってはロシアへの核攻撃も提案します。これは国防長官との一致した提案です。」


CIA長官が少し息を強くして言う。


「しかし、まだロシアとの連絡は取れていない。極東方面での派閥が現ロシア思想の派閥と言え本当に我々に協力的とは思えん。」


大統領が悩むように言葉を発する。


「大統領、副大統領としての意見を申し立てします。私もCIA長官の意見に賛同します。」


副大統領までもが言う。


「大統領。」


「大統領。」


「・・・他の物はどう思う?賛同する物は手を。」


齢50での大統領就任。政治の道に進んですでに30年がたつこの男にとっても最大の警戒国に対しての核攻撃の準備と言う物はあまりにも重かった。


言うと次々に手の上がる多くの各方面のトップ。過半数での核攻撃の準備だった。


「大統領、核攻撃に賛同した私ですがよろしいですか?」


CIA長官と共に真っ先に核攻撃を計画したまだ40そこそこのこの会議では一番若い国防長官が手を挙げる。


「なんだ?」


「アメリカ本土へのバイオ攻撃ともなればそれなりの攻撃準備が要るでしょう。そして現在ロシアでは二つの派閥が出来ている。

そんな状況ですぐにでもアメリカへの攻撃は不可能だと私は考えるのです。」


「そんな!!!長官!!あなたが私に核攻撃の提案をしたのでしょう!!!!」


CIA長官が立ち上がり息を荒げ国防長官に怒鳴る。


「私が言ったのは最終手段としての提案です。何もロシアに最初から核を撃とうと言った訳では無い。

第一、派閥の中に核の様な油を注いだらロシアとの戦争は間違いなく全面核戦争になる。ベトナム戦争なんて非じゃない死者が出ますよ。兵士だけじゃない、民間人からもだ。」


「うっ・・・。」


「では続けます。そこで大統領、私の提案と言うのはですね、

 アメリカ軍特殊部隊の混合部隊一個小隊によるウィルス兵器の有無の確認、そしてウィルスの駆逐です。」


「ほほぅ。」


「ですがそれは大統領閣下のご決断、そして何より現ロシア思想派の派閥との協力が必要です。メンバーは私と部下が各軍より選りすぐりの兵を選びましょう。」


「勝算は?」


大統領は口に少しの笑みを浮かべつつそう問うた。


「敵は派閥と言えどロシアです。我々に並ぶ国力を持つロシアの二つのうちの一派閥。成功は五分五分です。場合によっては現ロシア思想派との共闘戦、アメリカ軍の出動もあり得ます。

しかし、やってみる価値はあると私は判断いたします。閣下、ご決断を。」


「・・・。」


大統領はこれからの国の未来を。そして戦地に向かう兵の事を考えた。


しかし、国家を守るのならば犠牲と言う物は居るのかもしれない。


「・・・よし、その提案を採用しよう。他のものも良いな?」


他の面々も次々に首を縦に振る。そして、CIA長官も『核発射の用意もお願いします。』と言いつつも首を縦に振った。


「これにて臨時会議を閉廷する。」


大統領の最後の一言によって会議が終了した。

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