7 OOEYAMAに来た!
翌日。ぐっすりと寝て休んだ一行は、ハルの指示に従い、宝の在処、貸金庫に向かっていた。
財宝が眠る貸金庫―――通称〈OOEYAMA〉と呼ばれる施設は、都心から離れた場所にある。名の通り、山全体を改造し、山の中に大量の金庫を作るというピラミッドのようなぶっ飛んだ施設だった。その存在を知る者は限られ、秘匿性はとても高い。
昂大たちは、そんな〈OOEYAMA〉の対角に位置する高台にやってくる。
「では、作戦会議を始めまーす」
「御意!!」
「もうツッコまねえぞ」
「ツッコミの代わりにまず地図を見て」
美樹は昨晩仕入れた〈OOEYAMA〉の内部構造図を広げる。
「この地図に従って、最短距離で目的の金庫へ向かいます。危ないからハルちゃんはここで待機してて。私たち二人で行く」
それを聞いたハルは、不安そうに美樹を見つめる。
「大丈夫。んで、他にも色々と調べてみました。まずこの金庫、相当良い場所だった。運営している母体が、私たちのボス……裏社会を統括する集合体、〈蒼花幻想機関〉なの」
「〈蒼花幻想機関〉?」
昂大は美樹の口にした〈蒼花幻想機関〉というワードに、心当たりはあるものの、あまり実感がなかった。
「〈蒼花幻想機関〉は裏社会そのものといっていい。〈蒼花幻想機関〉が定めたルールは絶対。破れば厳しく粛清される。それは私たちも例外ではない」
美樹の声色は、珍しく真剣そのものだった。
羽流が首をかしげるのを見て、不安にさせまいと元の調子に戻る。
「〈蒼花幻想機関〉はルールを定めているって言ったわね。そのルールはとっても簡単。〈OOEYAMA〉の中では、何があっても略奪行為禁止。破った者は悉く抹殺。だから、敷地内での襲撃はまずありえない。敵は必ず〈OOEYAMA〉を出たところで襲撃してくるはず。だからハルちゃんにはここに残ってもらって、私たちで迎え撃ちます」
「おう。わかった」
「でもそれじゃ二人が……」
美樹はウインクして、ハルの頭を撫でた。
「大丈夫。私たち結構強いから」
ちゃちゃっと作戦が決まったところで、昂大と美樹はまっすぐ巨大金庫、〈OOEYAMA〉へ向かう。
見た目はただの山にしか見えないが、中腹に巨大な鉄の扉があり、開くにはハルから託された鍵を持っていることが必須となる。
扉の前に設置された台座に鍵をかざすと、重々しく扉が開く。中に入ると美しいロビーが現れ、ホログラムの噴水や色とりどりの照明が二人を出迎えた。
「すげえな……全然落ち着かね」
ロビーの奥から、白い筐体の人型ロボットが現れ、ウエルカムドリンクを運んでくれる。
「へえ、私みたいなイイ女にぴったりのゴージャスな金庫じゃない」
美樹はブルーのノンアルコールカクテル、昂大は大きなパイナップルの乗ったトロピカルジュースをトレイから取り、一口飲んだ。
「これ、毒とか入ってねえよな?」
「〈蒼花幻想機関〉の施設なんだから、大丈夫」
飲み物を飲んだ二人は、ロビーにある受付で金庫の番号を教えてもらい、〈OOEYAMA〉の内部へ進んでいく。
豪華なスーツやドレスを着た富豪とすれ違うたび、昂大は委縮した。
「なあ、おれたち場違いじゃね?」
「場違いなのはおこちゃまの昂大だけよ」
黄金に輝くエレベーターに乗り、目的の階で降りると、目の前に広い廊下が現れる。
壁にびっしりと金庫があり、上部にそれぞれ番号が表記されている。二人は受付から聞いた番号の金庫の前まで来ると、再び鍵を機械にかざした。
――――――金庫の封印が解かれる。
重々しく開いた扉の奥に広がっていたのは、鉄の箱だった。
何もない、ただ綺麗な銀色が、二人を出迎える。
「え、これって……」
「しまった。迂闊だったわ」
美樹は血相を変えて、来た道へ戻り始める。
「泥棒の世界によくあるの。ダミーを用意することで、宝を強奪しようとする者を嵌める」
「それじゃあ……!」
黄金のエレベーターからロビーに戻った二人は、急いで入り口に戻る。
しかし、扉が開いた先に待っていたのは――――――。
「待ってたぜ吉凶!!」
「死ねえええええ!!」
銃で武装したならず者集団だった。




