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四季の巫女  作者: 蛇来
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祖父から語られる祖母の話

詳しいことは何も教えてくれないが、あの後も祖母と氷道さんは連絡を取っているらしい。

そのせいか祖母は今まで以上に厳しくなったが、自分が「なんでもする」と宣言した手前拒否することはできないので言われたことは全てやった。


「ちょっといいかな?」


家の仕事がひと段落し、縁側で休んでいたら祖父に声をかけられた。

祖父は今まで通り優しく接してくれている。


「じいちゃん、どうしたの?」


祖父は微笑みながら僕の隣に座った。


「いやあ、一つ伝えておきたくてね。ばあさんのことだよ。」

「ばあちゃん?」


少し怪訝そうな顔をした僕に困ったような表情を見せながら祖父は続ける。


「そうさ、誤解したままでいてほしくなくてね・・・。ばあさんは春雪のことを嫌いなわけじゃないんだよ。少し不器用なだけなのさ。」

「僕はばあちゃんにきつく当たられてるし、じいちゃんみたく優しくしてくれないよ?」


今更そんなことを言われたって受け入れられるはずがなかった。

物心つく前から厳しかったと聞いている。

母にも当たりが強かったので、嫁姑関係の流れ弾を食らっているのだということにして今は心を落ち着かせている。


「あの態度には私も頭を抱えていてね。何度か注意したんだがそんなことはないと聞く耳を持たなかったよ。」

「じいちゃんも気にしてたんだ・・・」


祖父は今まで何も口出しをしてこなかったから何も思っていないのだと勘違いしていた。

ぼそっと呟いた僕を横目に祖父は続ける。


「目に見えていることが全てじゃない。ばあさんは春雪を危険な目に合わせたくない、立派な大人になるまでうちでしっかり面倒をみるといっていたよ。まあ、あの態度では先が思いやられるがな・・・。幼い頃から大人からの愛をあまり受けずに育ったからね。愛の受け取り方も渡し方も分からないんだよ。」


愛を受けずに育った?僕に厳しいのはそれが原因?じゃあ母に対するあの態度は?

頭の中でたくさんの疑問が湧き出てくる。


「愛を受けずに育ったって・・・」

「春雪、話があるからちょっと来なさい。」


祖父に疑問をぶつけようとしたがその声は祖母によって遮られた。

いつの間にか出先から帰ってきたらしい。


「行ってきなさい。話はまた後でできる。」


そう祖父に言われたので縁側を後に返事をしながら居間にいる祖母のところへ向かう。


「はーい。今行きます。」


説教でもされるのかと思ったが、声は怒っていない。

話とは何だろうか。

普段から2人で話すことは無いので緊張しながらも目の前の座布団に座った。

今までにないピリッとした空気に背筋が伸びる。

祖母はお茶の入った湯呑を静かに置きながら話し始めた。


「白山村へ行く条件についてだよ。」


ああついにこの話をきかなければいけない時がきた。

僕は真っ直ぐにこちらを見つめる祖母の言葉に耳を傾ける。

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