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あれ、私確かに殺されたはずなのに~幸せになってもいいの?~

作者: 紫桜

急に思い付いたので久しぶりに短編を書いてみました( ´∀`)σ

読んでいただけると嬉しいです♪

ん?やっぱりおかしい…。

私昨日確かに死んだはずよね?

だって…


―――私、確かに殺されたもの―――


◇◇◇

私の名前はマイナ・シルベーヌ。

公爵令息の婚約者がいること以外は至って平凡なシルベーヌ伯爵家の次女。

その婚約者も私のことは嫌っていたようで、最近は堂々と浮気をしていたけれど…。

最初は私も悲しかったし、やめてほしかったけど…

だんだんと疲れてきてしまって、最近は何も思わなくなってきてたのよね。

けれど、浮気相手の侯爵令嬢は違ったみたいで嫌がらせが止まらなかったわ。

些細なことだったから放置していたけど…でも、それがいけなかったのかな…

あんなことをしてくるなんて思ってもみなかったわ…


―――まさか、暗殺者を雇ってくるなんて―――


あの日は、侍女1人を連れて街へ出掛けてたのだけど、途中ではぐれてしまったのよね。

そして気が付いたら、なぜか人気のないところにいて、いつの間にか目の前に人がいてそいつに刺されていた、と…。

◇◇◇


そして、私は死んだはず…。

それなのに、私は今意識があって、目の前に天井らしきものが見えて、過去を振り返っているのだろう…?

刺されたあとの記憶が全くないから、ここがどこだか、今いつなのか、そして、なぜ私がここにいるのかさっぱりわからないわ…。


私1人でここに歩いてるくるわけがないし、なにより私はここを知らない。

…となれば、私以外にも誰かいるはずなのだけど…

すでに私が目を覚ましてから数時間はたっている気がするのよね。

どうしましょ?


――ガチャ。

「目を覚ましたか?」


『え?あ、はい…えっと、どちらさまですか?』

何だかすごくかっこいい人が来てしまった。


「あー、覚えてないか?

こうしたらどうだ?わかるか?」


そして、男が何やら取り出して後ろを向いてごそごそし始めた。

やがて、終わったのかこちらを向いたのだけど…


『あ、あなた!あのときのっ…!』

そこには、私を刺したあの暗殺者がいたのだ。


「思い出したか?

ほら、水持ってきたから飲みなよ。

もちろん毒なんてものは入ってないよ」


そう言って暗殺者は目の前でひとくち飲んでみせた。


まぁ、正直喉はかわいてたのでありがたく飲ませてもらうことにしましょう。


『あ、ありがとうございます…』


「体調はどうだ?

どこか痛かったりするか?」


何で、この人はこんなに私のこと心配してるのでしょうか?

私のこと刺したくせに…


『体調は悪くない…です。

まだ少し体が痛いですけど…何で手当てされているんですか?

私死ぬはずではなかったんですか!?

そもそも、ここはどこで、あなたは誰なんですか!?』


話し始めたら疑問を全てぶちまけないとすまなかった。


「悪かった。

手当ては俺がした。

倒れたときに傷だらけになっていたから。

だから、こっそり連れて帰って看病した。

ちなみに、お前は刺されていない。

刺す前にお前は気絶したんだ。

ここは、一応俺が住んでいる場所で、俺以外は誰も住んでいない。

悪いが、俺が誰かは言えない…」


『え、刺されてない?どうして…?』


「お前は覚えてないかもしれないが、刺されそうになる直前笑ったんだ。

涙を流しながら安心したように笑って俺にありがとうってお礼を言って倒れたんだ…」


『私が、そんなことを…?』


思い当たる節がないわけではなかった…。

私は今の生活に疲れていたから。


『あのっ、侍女は!

一緒に出掛けていた侍女はどうなったの?

あと、家族は?

私のこと死んだと思っているの!?』


「お前が生きているのがバレると危ない。

だが、家族に黙っているのよくないと判断した。

あのあと、お前を探していた侍女にはお前が狙われている。

死んだと見せかけて匿っている。と書いたメモを渡した。

もちろん、それだけでは納得していなかったが、一旦そのメモの内容を伝えるように帰した。

あとは、お前が目を覚ましてからと思って…」


『そう…』


「詳しい事情はお前が手紙でも書いて説明しな。

書いたら俺が渡してくるから。

お前は危ないから、まだしばらくはここで暮らしてもらう」


『わかったわ…』

落ち着くまではここで暮らすってことね。


『ねぇ、あなた名前は?』


「は?」


『だから、名前よ。

私ここで暮らすんでしょ?

それなら名前があったほうがいいと思うの。

私はマイナよ。』


「お前、やけにあっさりしてるが、俺が怖くないのか?お前のこと殺そうとしたんだぞ!?」 


『確かに怖いわ。

でも、私を助けてくれたのもあなた。

それに、家族と連絡させてくれるし、あなたそんなに悪い人じゃなさそうだもの』


「…………はぁぁ。

お前って変なやつ。

俺、お前のことどんな卑怯な手を使っても人の婚約者を取ろうとする奴って聞いてたんだけど、そんなふうには見えないな…」


『私のこと、そんなふうに聞いていたの!?

違うわよ?

私の婚約者が浮気をしていて、私がその浮気相手に嫌がらせを受けているのよ。

それで、あなたの名前は?』


「なるほど。

俺は騙されていたわけか…。

俺は、フィンだ」


『そう、フィンね。

これから、しばらくの間よろしくね?』


「あぁ」


まずは、お父様に経緯を説明したお手紙を書いてフィンに届けてもらうことに。


「それじゃぁ、この手紙を渡してくるから、お前は大人しく寝てろよ」


そう言ってフィンは家を出ていった。

私は起きて待っていようと思ったのだけど、やっぱりまだ疲れているみたいでいつの間にか眠っていた。


次に目を覚ましたときは、辺りが真っ暗だった。


『フィンはまだかしら?』


「起きたか」


『ひゃぁっ!』


「驚かせて悪かった。

お前の家に手紙届けてきたぞ」


『ありがとう。

あの、何か言っていた…?』


「そうだな…

とりあえず、怒ってた。

もちろんお前にじゃない。

俺と、お前の婚約者と浮気相手、そして自分自身に」


『えっ…?』


「そして、お前に伝言だ。

マイナ、今まで気付いてあげられず申し訳なかった。

そして、無事で何よりだ。

本当は今すぐ会いたい。が、しばらくそこにいてくれ。

なるべく早く終わらせる。

証拠は、お前を匿っている奴からもらった。

本当は、そんな奴に大事なマイナを預けるのは不安だが、今回は緊急事態だ。

マイナは、身体を休めることに集中しなさい。

ているよ。

だそうだ」


『お父様…』


「ちなみに、俺はお前のこと殺そうとしたと言ったら殴られた」


『言ったの!?』


「嘘は駄目だからな」


『……………。』


「お腹すいてないか?

お前の家から色々貰ってきたんだが、何か食べるか?」


『え、えぇ…』


そうして、私と暗殺者改め、フィンとの奇妙な生活が始まった。


フィンとの生活は思った以上に平和だった。

私がいくら平凡な伯爵令嬢でも、家事などはあまりしたことがなかった。

けれど、フィンは1人暮らしが長いようで家事を完璧にこなしていた。

まるで、料理人と執事と侍女を混ぜたかのように完璧な人物だった…。

居候として、さすがに駄目だと思ってフィンに教えてもらっていたら少しは出来るようになった、ような気がする…。


そんな生活を半月程送っているうちに、このままフィンと2人で暮らすのも悪くないかもと思っていた…

そんなある日、


「マイナ、そろそろ家に帰れるぞ」


別れは突然やってきた。


『えっ…?』


「マイナの父親からの伝言で、

婚約は向こうの有責で破棄。

浮気相手の侯爵令嬢はマイナを殺そうとした罪で投獄。

侯爵家は令嬢を切り捨てたそうだ。

そして、マイナの元婚約者は公爵家から廃嫡されたそうだ。

公爵家も侯爵家同様、令息を切り捨てたそうだ。

ということで、マイナの身の安全は保障された」


『そう、なのね…』


「明日の朝マイナを家まで送るよ」


『わかったわ…』


―――翌朝―――


「さぁ、マイナ行くぞ」


『えぇ…』


「どうした?

昨日から元気がないみたいだが…

まだ不安なのか?

大丈夫だ。

もうマイナに危害を加えるものはいない。

安心して家に帰れるぞ」


『えぇ…』

不安?いいえ、違う。

私は…



※※※


【マイナッ!】


『お父様、お母様っ…!』

家に着いた瞬間、私を呼ぶお父様とお母様がいた。

2人に駆けより思い切り抱き付いたら、2人も私のことを思い切り抱き締めてくれた。

安心する…。


[マイナ、よく帰ってきてくれた。

本当に無事でよかった…。

これからは、安心して暮らせるぞ]


『お父様、お母様…

ご心配をおかけしてすみませんでした』


[フィンくん、君のしたことは決して許されるわけではないが、今日までマイナを守ってくれてありがとう]


「こちらこそ、マイナ、いえ、お嬢様を危険な目に合わせてしまい申し訳ありませんでした。

俺の役目は終わったので、これで失礼させていただきます。

マイナ、よかったな。

これで、家族で安心して暮らせるぞ。

俺が言うのもおかしいが、もう変なやつには捕まるなよ。

じゃぁな」


そう言って私の前からいなくなろうとするフィンに私は慌てて声をかけた。


『待って、フィンっ…!』


「どうした?

何か忘れ物でもあったか?」


『フィン、もうこれで終わり…?

私達、また会える…?』


フィンは苦笑いしながら

「それは難しいな」


『嫌よ、私フィンにもう会えないなんて嫌…!

お父様お願いっ、私フィンと離れたくないの…』


【マイナ…】


「マイナ、俺とお前じゃ、住む世界が違うんだ。俺といてもいいことなんてない」


『どうして?

私はフィンといる間嫌な思いなんてしてないわ!』



[あー…フィンくん、とりあえずマイナを匿ってくれたお礼にこのあと一緒に食事でもどうだろうか?]


「いや、でも…」


『フィン、こっちよ!

行きましょう!』


※※※


〔あなた、あれ〕


[うーん…なんと言うかマイナはすっかりフィンくんに懐いてしまったな]


〔懐いただけかしら?〕


[……違うよな。はぁぁ…]


〔フフフ…〕


※※※


そして月日は流れ…


『フィン、ありがとう。

ずっと一緒にいてくれて。

私今とても幸せよ。

これからも、ずっと一緒にいてくれる?』


「マイナ、俺のほうこそありがとう。

こんな俺と一緒にいてくれて。

これから何があるかわからない。

ただ、どんなことがあっても俺がマイナを幸せにすると誓うよ」


『違うわ、フィン。

私達一緒に幸せになるのよ?』


「あぁ、そうだな」


『「一緒に幸せになろう』」


そんな幸せそうな2人を見守るかのように頭上には虹がかかっていた。



~end~


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― 新着の感想 ―
[良い点] 暗殺者の男の子が冒頭部を読んだイメージとはいって変わってめっちゃ健気で優しいですね! 何でこんな少年がこんな暗い仕事をしているのかが気になるところがありましたね。 そんな少年の優しい世話…
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