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京都

燃え盛る建物と混乱の中で動き回る人々。画面にはそんな光景が映っていた。何が起きているのか、すぐには分からなかった。重大なことが起きているのは確かだ。でも、具体的な状況は掴めず、ただ画面を見つめていた。


アナウンサーの沈んだ声が、事の詳細を語り始める。「京都アニメーションの襲撃事件」という言葉が耳に届いた瞬間、全身が冷たくなった。言葉がじわじわと頭に広がっていく。しばらくの間、現実を受け入れられず、画面を見つめ続けた。


アナウンサーの声は続く。多くの命が無情にも奪われた事実を伝えた。その言葉は、夜の闇を切り裂く冷たい刃のように響いた。映し出される光景は残酷すぎて、目を背けたくなるほどだった。


無意識に手にしていたスマホを机の上に置いた。デバイスは静かにそこにあり、視線は画面に縛られたまま。世界はその瞬間、音を失い、無言の静寂が支配していた。画面を見つめることしかできなかった。


現実がじわじわと意識に染み込み、心の奥底に重くのしかかる。時間が止まったかのような静寂の中で、自分がどこにいるのかも分からなくなった。手が微かに震え、冷たい汗が額ににじむ。震える指先で椅子の背を掴み、力の入らない足を支えようとする。深い沈黙が広がり、生の儚さと失われた命の尊厳が胸に深く刻まれる。立ち尽くしていた。

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