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五人の魔法使いと見習い青年  作者: 維申
第二章/最終試験の結末、星の馴れ初め
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幕間/星の子と星のような子

ずっと昔、魔法使いが言いました。力を持つ者はより優秀な跡継ぎのために、多くの人間を夫とする、または妻とする必要があると。

そんな古い考えに逆らったのが、月見家です。当代の夫婦は頭が固かったのですが、次代の息子と後に引き取った娘の影響で、彼らも同じ考えを持つようになりました。

次代の息子。彼こそが最初に反感を持った人間であり、後に皇帝と呼ばれた者。名を月見幻永といいます。

彼が見たのは、人としてありえない光景でした。ある一家の館にて、生まれも名も忘れたという監禁された女性がいました。その女性は他者より優れていたというだけで、一人の男に毎晩のように犯され、監禁部屋で望まない出産を強いられたのです。


「可哀想だ。」


死を望む女性に対し、少年は望みを叶えました。合法的に人に暴力を振るえるという願いが叶えれる、ということもあったのでしょう。何の躊躇もなく、少年は女性を焼き殺しました。

当時女性の持ち主だった当主はご立腹です。それももちろん殺し、両親からは何故こんなことをしたと叱られました。


「お父様はお母様を泣かせた人、殺したいでしょう?それと一緒です。帰る場所も分からなくなった人を解放してあげたかった。彼女の負の歴史も、今から全部焼き払います。」


当時から少年は人として欠落した状態で完成されていましたが、誰かの涙には同情できる子でもありました。

彼女が出産した子供は皆、同じ館で事情も知らない人間によって育てられていました。中には人殺しを強いられた、感情のない機械のような子供まで。それら全てを解放すると宣言し、少年は考える暇もなく館ごと焼き払ったのです。

簡単にそんなことができてしまうような少年が、月見幻永という存在でした。そんな彼が暴力に訴えず、役立たずの魔法で人を幸せにしたいと願ってしまったのは、ある少女との出会いが始まりです。ある日の夜、夫婦に連れられ、少年はこれから長い付き合いになるであろう一家を訪ねました。

一家はドがつくほどの田舎、その山奥に住んでおり、一応は魔法使いのためか、田舎とは思えない都会にもあるような一軒家に住んでいます。月見家を迎え入れたのは、魔法使いとは思えないほど優しい夫婦です。妻は退院したばかりだからと、少し歩きづらそうにしていました。


「こんな山奥までご苦労様です。こんばんは、幻永くん。ご両親からあなたのことは聞いているわ。七歳でこんなに立派な子になって............よかったら私たちの子にも会ってみる?」

「子供ですか。」

「うん。この前出産したばかりで、誰にでも懐く子なの。将来はきっと、お父さんみたいに優しい女の子になるわね♡」

「そんな............お前みたいな可愛い子に育ってくれるなら、僕はどんな性格でも気にしないよ♡」

「では失礼します。」


客人を放って惚気始める魔法使いの傍を通り過ぎ、微かに魔力を感じる部屋を訪れます。

部屋の中心には静かに揺れるゆりかご。その中に、それはもう小さな赤ちゃんが眠っていました。ビー玉のような丸い瞳、まだこの世界の穢れを知らないような幼さ、それはまるで星空の象徴のようです。

少年が子供に触れると、子供はきゃっきゃっと嬉しそうに少年の手をぺちぺちと叩きます。か弱いその姿に思わず見惚れてしまった少年は、誰もいない部屋で、静かに言いました。


「お星さまだ。」


お星さま。それは彼女と出会う前から、少年が唯一美しいと称したものです。星は穢れを知らず、ぷかぷかと夜空で浮かびながら寝ているだけ。何者にも干渉せず、干渉を許さずの姿は、少年にとっても憧れの対象でした。

そんな少年にとって、彼女は唯一触れることのできるお星様そのものだったのです。なので、これは彼にとっても人生最高の出会いと言えるものでした。


「あら、幻永くん。りーちゃんと遊んでくれていたの?」

「りーちゃん?」

「そう、りーちゃん!あっ、本当は理愛子っていうの。」

「りいこ。........................この子、僕のお嫁さんにしたい。こんなにも美しい子を、手放したくないです。どうやったらくれますか?」

「幻永くん!?!?!?」


それが、とあるお星さまと少年の出会いです。

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