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アルカリの蠅

作者: 黒実 音子

ああ、魚も住む事が出来きぬ

高濃度の塩分の

死水に住む蠅は、

この歪で、死滅的な湖に住む

不気味な甲殻類の死骸や、

ピコシスティス藻を食べる。


不機嫌な双翅目は

疎水性(ヒドロフォビシダード)の衣によって

水中に潜り、供物を漁る。


ヒドロフォビシダード!!

なんて優雅で自由な!!

この者達は恐ろしい

神の令による溺死を

避ける事が出来るのだ!!


ああ、それにしても

なんて悲惨な地獄だろう!!

水の肉体には穴が空けられ、

水底の石灰堆積物(トゥファ)には

大量の奇妙な蛆達が付着し、

蠢く!!


命の淘汰された水域には

歪な(カローニャ)達だけが取り残され・・・

悍ましい酒宴を繰り広げている。


なんて事!!

水辺も黒い蠅達で埋め尽くされ、

その大地が再び

元の色に戻る事はない・・

(この湖の蠅達は、

地上の天使の数よりも多いのだから!!)


ああ、エフィドラヒアンの(カルネ)よ・・

ああ、エフィドラヒアンの(カルネ)よ・・


限りなく隔絶(エルモ)や無に近づいた

音と色の無い領域でも

お前達は蠢くのか?


それとも・・・

獣と人が決して住めぬ

神の霊が這う

寂し気な水域にこそ

欲深(カシ)()達が探していた

決して自我と肉ある者には

辿り着き得ぬ

楽園があるのだろうか?

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