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(二)-12
その左右に位置している真佐貴と中川は賽銭こそ投げ入れなかったが、上司の真似をして二回拍手し一礼した。
「しっかり神様にお願いしたか」
「ええ……」
祈り終えた上司の問いに、二人はそれ以上のことを言えなかった。まさか雨が降るように神様にお祈りしに来る日がくるとは、思ってもみなかったのだ。
約三〇分前、三人は会社の会議室にいた。そしてそれが終わったとき、上司は「二人ともついてこい」と二人を誘ったのだ。時計はあと十五分で正午という時刻だったので、二人はてっきりランチをごちそうしてもらえると考え、喜んで同行したのだった。
(続く)




