七話 調査
お待たせでーす。
「えっと…」
「私は納得していません。」
見ればわかる。
「探しているのって…」
「財布泥棒ですね。」
それは知ってる。
「今から行くのは…」
「中等部一年教室フロアです。」
それも知ってる。
「行く理由は…」
「そこが事件が最も多く起きている場所だからです。」
それも知ってる。
話が続かない。
そもそも自分のコミュニケーション能力は低い。
しかも相手に会話をする気がないとなると無理だ。
「…あれ?」
「…どうしました?」
ふと、気づいたことがあって立ち止まる。
「あまりにも状況が違いすぎますし、自分が引っかかった囮って意味ないんじ…痛いっ!?」
「…黙ってください。」
脇腹が痛い…
「あの…」
「…なんですか?」
周りを見ながら尋ねる。
「そっちではどう考えてるんですか?この事件。」
中庭にいた黒猫が小さく鳴いてどこかへ走る。
「この件で消えた財布はどれも鞄にしまっていたらしいです。」
聞いてない。
「こんなことができるのはつくも神ぐらいです。」
なるほど
「だから悪用している使用者がいると。」
「ええ。」
中庭を歩いているが、今のところ影も形もない。
「ニャー」
猫の声がして後ろを向く。
そこに猫などおらず、花壇で花が揺れているだけだった。
クイクイ
何かに鞄が引っ張られる。
「?」
その方向を見ても誰も何もない。
「どうされました?」
「いえ、今、猫が…?」
「猫でしたらあちらに…」
上を向くと、木の上で小さな白猫がこちらを見ている。
「…?」
確かな違和感があるのになんとも言えない感覚。
この日の調査では何も見つけられず、そのまま家に帰った。
この時、確かに閉じていた自分の鞄が空いていることには気づけなかった。
とてつもなく更新が遅いでーす。
ごめんなさーい。
…言い直させていただきます。
とてつもなく更新が遅くてごめんなさい。
次の話も書いているので半月ほどお待ちください。