内部崩壊
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(ふぁんたじー)
人的資源。
人類が最も必要とする資源の一つである。
資源やエネルギー、果ては資金。
これら三要素が潤沢に存在したとしても、それを活用する人間こそ最も重要である。
担い手と謳われる彼等の“質”こそ“量”に勝る。
それは、専門職ひいては厳格で在らねばこなせぬ生業であれば尚のこと。
問題を引き起こす“質の低い”低俗な人間を人類は蔑視を込めて“お荷物”と形容する。
人類の歴史から鑑みて「無能な味方」によって瓦解し、「裏切り者」によって致命打を被ってきた。
優秀な人材。これは、「反乱分子」や「危険思想者」「規則及び原則の軽薄」「犯罪者」などでないことが最低条件である。
或いは、組織、その大元となる国家に貢献する存在であることが一つの絶対条件として挙げられる。
ボランティア経験などを求めるのはまさに、己が貢献可能な存在であると誇示するものである。
当たり前を当たり前に熟すという、社会の水準維持もまた社会貢献の一つに当てはまる。日々を犯罪者にならぬように行動するのもまた社会の維持に貢献する行為である。
年齢相応に求められる“普通”とは単に「年齢別に社会に貢献可能であることを示し続ける指標」とも言い換えることができる。
普通の人材であることを絶対条件とし、その上で「秀でた者」を“優秀な人材”と呼称している。
さて、多くの国々は滅んできた。何故か?
単純明快な理由が常に存在している。
ズバリ、“普通を維持可能な人材が著しく減った”からである。
そして、“優秀な人材”の質が低下し、経済は頭打ち。
移民政策、難民受け入れなどによって“外部から優秀な人材”の引き抜き作業が始まるのが常である。
歴史を振り返るまでもなく、「移民、難民の受け入れ」は必ず“失敗”している。或いは、内部崩壊しながら国家の名前が維持されているだけの場合もある。
生まれた国で、育った国で安定せず、お世辞でも“普通の人材”とは呼べない彼等が「難民、移民」として悠々自適に海を渡るわけである。
彼等を受け入れたくない国々は常に“受け入れ準備を開始する可能性のある国”へ圧力を掛ける。「人権ある国の者として“難民”や移民を受け入れるべきである」と声高に叫ぶ。
国家が国家たるにはその土地に棲む“人間”のその性質が全てである。移民政策、難民受け入れはその性質を歪める行為であり、急激な変化に伴って国家の基盤が崩れれば、人類が学び得た歴史の“失敗”として残ることになる。
「…ゆえに、我々の土地に踏み入る異教徒などは徹底して排斥するが国家の安寧たる唯一の法と知れ!」
ー〈人的資源の汚染による国家侵略を審判せよ〉ー。
ーーー
「ふぁああぁぁ」欠伸が抑え切れず、ならばいっそなこと大胆な欠伸をと決心したアカサタは、国王の長話に飽き飽きしていた。
「無礼であるぞ!」
国王の言葉を遮って家臣が声を荒げる。
(どちらが無礼か)アカサタの固有能力〈同心共鳴〉により、国王とアカサタの内面が一致したことで、徐々に国王の内面がアカサタと同化していく。
(大体、長いんだよな。話が。要するに多くの国民の思想を歪める危険分子だってことだろ?死刑か、投獄。よくて国外追放かな?或いは適当に仮想敵国に送りつけて内紛を狙うとか?もっと自由になりたいわ)
「国王!この者はやはり危険です!」
(さっきから有る事無い事言いたい放題言いやがってからに…誰も擁護しないのか?弁護士とかいるだろ!中世にはないのか?作れよ!誰か!即刻!そんで助けてください。お願いします)
「待て、吾輩に考えがある」
家臣たちが即座に跪き、近衛兵達が気合を入れ直して警備を強化する。「ははっ、何なりとお申し付けくだされば、このワタシ「“帝国に送り付ける”」はっ…?」
国王様の言葉に全ての者が耳を疑った。
家臣の言葉が嘘であっても、この場で、直接排除されるのが良いと判断された危険分子を敵国に手渡すのかと。
(そうだよなぁ、同調者が勝手に増えてく体質だからな…王様は俺の体質でも見破ったのか?でも俺自身は別に危険分子でもなんでもないからね…国と敵対するつもりなんて微塵もないし)
無害な筈なんだけどなぁ。
「で、では…その様に…よし、連れて行け!」
…
……
…………
その後、間も無く帝国は紛争地となった。
ーーーー
名すら後付けされた神が存在負荷で潰れ始めている。
「おかしいですね。転生者が異物として排除され始めていますね。加護が機能していないのですか?」
聞くまでもない様子。人類の知性を神が模倣したとて、何れは破綻する。人類の知性の不完全性を神が模倣したことで、完全なる存在であった神が内部崩壊するのはある種必然であった。
お疲れ様でした。
作り手の独り言
一カ国からすれば「“異物混入”案件なのに擁護する同調者が増える」というのは怖いね。能力のせいで同調者の神経がイカれちゃってるのもあるんだけどね。現実だと、ナニかしら異物混入してたら大問題なのにね。




