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懺悔の時間

いらっしゃいませ


言語の壁。

人間が群れる生き物である以上、越えなければならない壁である。言葉が理解できなければ情報収集も出来ない。

翻訳にも限界がある。情報収集が出来なければ情報の取捨選択も出来ない。現地で得る事ができる情報と、翻訳の際に意図的に情報が改竄されている可能性のある情報とで、雲泥の差がある。言葉は情報の具現化である。概念の具現化である。


原文主義者でないかぎり、原文を読もうとすらしないだろう。殆どが、誰かの思惑によって意訳された情報で満足する。

誰かが原文を読んで、意訳の際に“気に食わない”と情報の改竄をしていたとしても言語の壁がその真実を隠す。

情報の精査を怠る人間ほど原文を軽視する。

偏った情報を元に幻想し、確証バイアスに陥る。


リスク逃避をする場合も同様である。

直視出来ないリスクから目を背け、目先の欲に駆られる。言葉による危険信号は正常な理性に働き掛けるが、感情で意思決定をする個体には危険信号を危険信号として処理できない。


言語の理解は理性に依存する。ゆえ、理性に頼った危険信号は理性の弱い個体には効果が薄いのである。リスクの軽視もこれに当たる。


一方、経験則に基づいて危険性を理解するには野生動物やそれに類する動物並の理性が求められる。

言い換えれば、行為に及ぶ前に「リスクを経験した記憶(因果応報)」が「今回実行しようとしている行為と同一、或いは似通っている」と判断する知性が必要がある。

俗に言う「フラッシュバック」「トラウマ」である。

これは動物が持つ本能的な反応である。言語が不要な、理性に訴える必要のない危険信号である。


言葉の通じない個体の教育には行為に応じた"懲罰"や"褒美"を肉体に与えることが推奨されている。

しかし、『躾』は言葉で理解出来ない、理性の働かない動物が対象である。理性を持ち合わせていれば言葉の強制力が充分に働くはずであり、『言って聞かせる』ことも可能である。

『危ない』や『やめなさい』といった円滑に日常生活を送る上で必要な様々な言葉を理性が正常に処理できれば話し合いが可能となる。


言葉こそ、文化といっても差し支えないだろう。

様々な場面に適した言葉遣いや書き言葉などが文化的側面を色濃く反映しているのがわかるだろう。

或いは語彙の量からどれほど理性的であったかを察することが出来る。言葉というのは、それだけ求められる行動様式や感じるべき或いは形容すべき感情、定義付けるべき事柄が多いかを表し、意味する。つまり共有すべき情報量が多い社会であることが語彙から察することが可能である。言語一つとっても、その文化的な生活を送るのに、或いは社会に属するのに理性や知性を求められていることに他ならない。


本能、或いは感情といった欲求を満たすだけならば語彙はそれほど必要ではない。三代欲求を始めとした原始的な欲求は例えば極論、言葉にも人工物にも頼らずに満たせる。野生動物に育てられた実例からもわかるだろう。

…。

………

…脳内で並べ立てられた正当性は「言葉の強制力が有効に働かない相手には、肉体言語で本能に訴えかけるしかなかった」というだけの「言葉の通じない、マトモな人間として扱わなかった」という単純な話である。


ゆえに、頭を抱えて塞ぎんでしまった理性の弱い個体に罪悪感など沸くこともなかった。相手が言葉が通じるマトモな人であれば対等に話し合いができたはずである。


通常、話が通じる理性的な相手ならば大変面倒で、多大な労力と時間が必要な躾は必要なかっただろう。

ーーー



無能たる所以。

行動の結果が不利益である。

無能者ほど精神的弱者であることを棚上げし、ストレスフリーを望む。

これは、軟弱な肉体でありながら活発に活動するようなものである。満足に歩けないのに、砂利道を選び歩いて、転べば砂利道に責任を転化する。

自分自身に問題があるなどと微塵も考慮しない。


無能は成長の機会を蔑ろにする。

無能ほど、精神的苦痛を避ける。

それは、全て幼少期で成長を辞めた未成熟な甘えた精神、感情群に従って意思決定する固体であるからだ。言葉を覚えた児童とも表現できる。

無能は、肉体年齢を鑑みて求められる最低限の事柄を「不利益」と認識する。


よって無能は無条件に権利の享受を求めるだけの、肉塊である。自信が望ましいと判断した事柄が世間が求める行動でないと知っていても「バレなければいい」「バレても不利益を被らなければいい」「今が満たされればいい」と行為の歯止めをせずに、考え無しの行動を正当化してしまうのである。


理性が働けば働くほどに「ダメだ」と行動を制御することが可能である。無能には理性が欠けている。ゆえに望ましいと感じたことを、その感情を元に意思決定するのである。


我慢を知らない。待つことが出来ない。忍耐力がない。

無能ほど来たるべき時に備えることが出来ない。

リスクの軽視を、不利益を振りまくのである。


文化人に囲まれた無能の行動は悪目立ちしてしまう。

場違いであると判断されてしまう。そして精神が未熟ゆえに疎外感を感じ、他者への接触を求める。同調することを求める。

目立つことを理解した無能は一目置かれようと空回りする。

無能ゆえにその行動が「迷惑」であると気が付かない。

同調者を見つければそれを元手に調子に乗る。


無能の排除は文化の維持に必要不可欠である。

文化の理解が疎かな無能を放置することは有識者に「この存在がスタンダードとなる可能性を秘めた文化」を強制させてしまうからである。明確な共通認識が失われれば、話が通じない人間同士の諍いが、争いが、その歴史が終わらない。


ゆえに、人類は無能と確定した人物の排除を開始した。

ーーー



幼少期、人によっては今現在も、己の道楽に振り回されている。忍耐など知りもしない幼少期には『イヤイヤ期』が存在する。世の中の何もかもが気に食わず、快楽が妨げられれば泣き喚き、不平不満を撒き散らす。心理的負荷のその一切を『イヤイヤ』と拒絶する。

責任も、迷惑も考えない『イヤイヤ』が通る理由も何も知らないからこその暴走である。

通常、少年になる頃、学問を学び始また時には多少なりとも自他の都合を加味して自身の行動を一々変えることが可能となる。

青少年特有の"理不尽な欲求"を叶える為の不平不満や欲求不満は大人になる頃には身悶えする様な恥ずかしい叫びであったと気付く、世の中にはその身悶えに耐え、青少年の指示を得るために同調する大人も存在している。

ーーー

我々は教育機関として『今現在、社会に求められている人間』を育成する必要があります。

「各分野の模範人間の共通点を調べ上げ、最低限どの分野の人間になれるよう教育する必要があります」


「現在、各業界が求める人材と、現場の人材がもつ差異を改め、現場の求める人材が如何なる人間か再分析しています」


「倫理から一つ。他の教育機関の生徒による機材や設備の窃盗が相次いでいる。早急に『犯罪者に対する悪感情』を強化する教育法についての議論を提案します」


「法治国家たる所以、その遵法精神を育む教育は必要事項として貴族階級では標準授業が担っています。市民階級に普及する際、貴族階級は更なる水準を求める必要があります」


「感情と欲求の制御とその発散方法を選抜市民への教育の一環として行うための草案を提出します」


「市民の恋愛様式について、駆け落ちについての懸念点と危険性について議論のち、校則の一部変更と併せて検討したい」


ーーー

異世界に慣れた転生者は改めて現在の境遇に不満を漏らす。

「…正直、農薬欲しい…えぇ…無農薬?オーガニック?寝言かな?そうだよな?いいか?推進するべきは農薬だよ!生野菜?寄生虫の宝庫だよ!ナメクジ?寄生虫と害虫のハイブリッドだよ!手洗いうがい?なにそれ美味しいの状態だよ…え?野菜を洗えばいい?下茹ですればいい?生野菜を洗う水は誰が用意すんの?そもそも生野菜食う農家いないけど、下茹でってことはその水捨てるんだよね?もう一度火を通すのに誰が労働すんの?薪集め?他の家との競争、奪い合いだよ!そんな軽々しく使えねぇよ!冬の分もあるんだわ!俺がなまじ衛生面が許容できないせいで、ネズミの泳いだ後の水で顔洗えなくて毎朝毎朝水の取り返してるんだよ!なーにが『ネズミは美味いから綺麗』だよ!汚ねぇんだよ!少なくとも俺の知るネズミは伝染病の宝庫だよ!正直、人の死骸で数を増やしまくってるせいで取り放題食べ放題、そんな中、急死する親が1人…伝染病の予兆だろ、現状、俺が仕切ってるから被害が一で済んでるけどな!俺を面倒だと言った奴が朝には冷たくなってるの見て、前世を信じたよ!悪魔に取り憑かれたんじゃないかって内心思ってたんだよ!ありゃ、前世だわ…今や敬虔な転生者だよ!妄言妄想に囚われてるんじゃなくてよかったよ!なんだよ、クソが!転生する前の方が幸せだったじゃねぇか!なに?転生って『あぁ、前世の生活の方が自由だし快適だし、人間関係(切れたら死ぬから媚びるしかない)で疲れないし、村八分にも怯えなくていいし、事あるごとに信仰心を試されることはないし…前世は仕事内容自分で選べたし…前世ってなんて素晴らしかったんでしょう!ってなる為の壮大な罰ゲーム』ってこと?俺はなんてもんに夢見てたんだ…」


「せっかく俺が作った野菜も動物に取られるし…?野菜泥棒ふざけんなよ!盗人猛々しいな本当に!…そもそも中世って雑草と野菜の区別も曖昧だからね!農家によって野菜の定義違うし!だからなのかな?!泥棒しても犯罪じゃないんだ!…この世界の倫理!本当に中世だな!…野菜泥棒なんて単語、異世界人の俺以外使わないし、そもそも中世にはそんな概念存在しないし?なんなら、野生動物を捉える罠くらいの感覚で育ててる農家の方が多いし…。主要な農作物はそもそも野菜扱いしてないからね。ハーブも野菜じゃない扱いだし…。野菜=食える雑草。だよ認識!品種改良も何もないからね!異世界の飯、汚物かな?ゴミかな?に見えちゃうのは大体品種改良された食材を期待するからだし?薄味なうえに、そのスープに浮いた大量のタンパク質(虫)に舌鼓をうつのが当たり前の世界だし?…虫下しがあるのが唯一の救いかな…当然、虫下しにも種類があるし寄生虫の種類によっては早急に見捨てられるけどね。そうそう、聖堂にご遺体(薪燃料)持っていけば暖が取れるし、謎肉のスープも多少食べられるシステムだよ…教会が人気な理由が一つわかったね!どんな人でも暖が取れるし謎肉のスープが貰える。器は土となんかの葉っぱで作ってあるから自前の器を持っていくのをお勧めするよ、粗悪品を掴まされると飲んでる途中で崩壊するからね!言葉通じてないでしょうけどね!」


「すみません…感情的になって生まれ故郷の言葉を使ってしまいました」


「いえいえ、神様はどんな言葉でも聞き入れてくださいます。…懺悔は終わりましたか…?」


「はい…これがお布施です…」


「…確かに受け取りました。では、神のご加護がこの者に待たされますように…」


お疲れ様でした。


以下筆者の独り言…。

如何なる言葉も通じない人間など、"毛のない猿"である。

文化人として、法治国家であれば法に、宗教国家であれば教典に、権威国家であれば権威に…郷に入っては郷に従う程度の知性と理性と柔軟性や人間性を最低限は待ち合わせるべきである。問題が有れば歴史が証明するようにその国も必ず変わる。


技術の進歩が歴史を動かす。

チート能力を一つ手に入られるなら医療系(調合師になるのかな)欲しいよね、ダメだったら…魔法系統で病気に苦しまずに生きたい。(ついでに身元のはっきりしたそこそこ良さげな市民の家に…)(言語系統のチートは付属した状態で)


こんな貪欲だと奇形児に転生させられそうだよね。

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