表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/78

無用の用

いらっしゃい。




「彼の国を滅する方法…」

「かつ、費用を抑えたい」

「あと、可能なら儲けを」

「直接的な攻撃は駄目だ」

…そんな都合のいい方法なんて。

「長期的でもいいよ」

「バレてもそれが戦争の理由にならないようにね」

「我が国民を可能な限り巻き込みたくないからさ」

「自国では流行らなくて、敵国には流行るような」

…そんな方法ないよ。


…。

……。

………。

「ということで、攻撃手段が一つあります。」


「我々は考え付きました。費用を抑えつつ、稼げる方法を」

「そんな方法が…文化侵略か?」


「いえ、文化の面では彼の国にはどう頑張っても勝てません」

「なら…どうするのだ?」

「我々の産業廃棄物や処理に莫大な費用の掛かる危険物をばら撒きます」

「それは、バレた場合、戦争の引き金になるのではないか?」

「いえ、我々がばら撒くのは処理するのに莫大な資金を投入する必要のある、危険なゴミです。」


「だから…それがバレたら…「えぇ、そのままばら撒いたら大変ですよ。」…なら!」


「ですから、危険物を材料に加工品を作ります。デザインに全振りした加工品です。彼の国は現在、不景気です。」

「不景気…?現在も随分と稼いでいると思うが…」

「焦点をあたるべきは彼らの国民。彼らは娯楽産業に金を落とし、日用品や生活必需品の費用を節約する傾向があります。目先の娯楽に走る傾向が非常に強い、短絡的な連中です。情報の吟味すら怠る連中です。見た目で釣れば食い付いてきますよ」


「しかし、我らの商品は…彼の国では評判が悪い…いくら短絡的であると仮定してもそこまで判断力が鈍っているとは到底思えない」

「確かに、そうでしょう。しかしこんなデータもある。古着屋さんに赴けば質の高い服を購入できる。品質を担保している中古屋さんは非常に多い。が、調べでは彼らは中古屋さんに対して良いイメージをもっていない。今の若者は時代遅れなどという古臭い考えに囚われて、流行の最先端などという無個性の喘ぎに振り回されている。」


「ふむ、しかし、流行の最先端にどうやって食い込むつもりだ?曲がりなりにも国民の意識は高いぞ」

「えぇ、ですから不景気な今が好期です。」

「わからんな…」

「薄利多売ですよ…産業廃棄物は処分に金が掛かるが、加工して売り出すなら費用も抑えられる。売れさえすれば加工された産業廃棄物や危険物の処分を押し付けられる。相手の財政をさらに圧迫しながら金を稼ぎ、国民は遅効性の毒に侵される。」


「しかし、問題もあるんじゃないのか?」

「問題…?」

「安いというのにはそれなりの理由がある。今回は元がゴミで、処分に金が掛かるから、比較的安価に加工して相手に押し付ける。それが叶えば目的は達成できるわけだが、で?そんなあからさまに怪しい商品を購入する愚者はどうやって作るのだ?洗脳でもするのか?」


そんな愚かな人達を作れるなら左翼にもっと簡単に傾倒するはずだ。


「そんな危険なことはしない。真っ当に売り出す。不景気ですから、安ければそれだけで買い手は居るはずです。日常を捨てて娯楽に走る予想以上の愚鈍さに我々は驚くはずです。短絡的な思考回路と刹那主義もびっくりな思考回路で爆発的な流行り方をします。しっかり流行れば購入頻度は安ければ安いだけ増えますよ。」


「それが全て真実であるとしても、しかし…彼の国の政治家が規制に走るのではないか?」

「お忘れですか?彼らも人間です。酒と女と金で波状攻撃を仕掛ければ必ず陥落します。薬物を多少混ぜて女で誘惑すれば必ず陥落します。彼らは特殊で、キッパリ拒絶している場面を写真に納めて脅しても、有効に作用しますよ。それで幾人か傀儡にしたでしょう」


「…残る問題点は…」

「えぇ、お察しの通り…厄介ですよね」

「そうだ、彼の国にも警鐘を鳴らす一般人があるはずだ」


「そこは…左翼団体と喧嘩させれば、有識者を陰謀論者に仕立て上げることができるでしょう。それに割引券の重複を認め、オマケを増やせばお得に感じてリピートしてくれるさ。どうせ直ぐには健康被害は出ない。明確に痛い目に会うまで購入をやめない輩も出てくるはずだ」


「異様に安いと流石に目が覚めたり警戒するんじゃないか?」

「そこは手を打つ。有名人や報道陣に金を掴ませて『これは安くてすごい商品だ』と絶賛してもらおう。」


「それで騙されるやつは気でも狂ってるんじゃ…?」

「なに、それは我々の意見だよ。何も知らない人が見たら騙されるに違いない」


「そこまでいうんじゃ…試験的に行おうか」


ーーー


「さて、この中に奴は何者か心当たりのある者はいるか?」

見たことも無い服装に聞いたことも無い言語。

極め付けは、その特徴的な黒髪である。

一般的な白や金とは真逆の黒色ははじめて見た。

この髪色を見ると灰色の髪も明るく見てくる。


「拘束具と猿轡は取るなよ。どんな魔語を使うかわからんからな。指の骨は全部折ってあるな?」

拷問官が徐に頷く。


自らの血を用いて魔術など使われても厄介である。

「それで?得られた情報は?」

「…呪いの類いを施された形跡はありませんでした」

「所持品の中に有益な物は?」

「身包みはとても良質ですね。隠し武器などもありませんでした。あぁ、それと気になる点が一つ、なんの効力もない謎の言語で書かれた特殊な布が身包みに縫い合わせてありました。推察するに、一式全てなんらかの目的のために作られた支給品である可能性があります」


「ふむ、他に留意することは?」

「はい、拘束時に一つ。一応に抵抗の意思を示しました。思うに抵抗したという体裁を保つためだったのではないかと。叫んだり手足を一応に動かしはしましたが、拘束時の現状を鑑みれば従順だったとも言えます。魔力の使用は現在感知しておりません。目的も不明です」


男は侵入者の服を見て訝しむ。

「汚れは無しか、森の中を歩いてきたのではないのか?」

「人為的に運ばれてきた可能性もあるか」


「この服を管理していたのは誰だ?洗ったか?」

すっと前に現れた侍女が「私が管理しましたが、汚れを落とすような行為はしていません」と答えてその場で直立不動を維持する。

「よい、下がれ」


処分するべきか否か。

恐ろしく身分の高い者だった場合、これは困る。

何より配下全員が侵入者の存在を認知している。

そもそもこの男が何故この地に赴いたか。

口減しついでに捨てられただけならまだいい。

戦争の引き金の可能性があったら?

どっかの戦争屋が独自言語で教育している場合は非常に不味い。時を見計らって、ニマニマと笑みを携えて迎えにくるはずだ。「ここに我が子がきたはずだ、返せ」と。


戦争の引き金になるくらいなら、一ヶ月くらい幽閉するか。

配下にはもう始末したということにして。


実に面倒だ。服が奇抜であることを除いて、素材は良質。

こんな服を着れるのは位の高い存在か、工作員か。

人為的に運ばれてきた可能性が高いから…こんなに情報をチラつかせやがって。


本当に面倒だ。虫食いでもさせてやろうか。


ーーー

「森の中に転生させるというのは、未開の地ゆえ」

「森の中は開拓が終わってないため、未確認の民族であるように偽れる。」 


「広大な森。エルフ等の亜人が存在するならば未知の言語を話す転生者が森から出てきても不思議ではない。」

「むしろ、そんな未開拓の民族が一般流通している言語を流暢に話せるのか。という問題も浮上する」


どちらにせよ疑われるなら、謎多き地からやって来たという方が現地人にとって納得できる材料となる。


「森の中で目覚めるのは、現地人の希望となるわけです」

肥沃な大地がある証左となる。


神々は転生者の多くを森に転移させる。

お疲れ様でした。


以下独り言。

産業廃棄物や危険物も見た目が良ければ買い手がいるし金になる。

以下独り言。

情報漏洩を防ぐ一番簡単な手は架空言語で教育することである。俗に言う方言である。言葉が通じなければ、それだけで聞き手が困惑する。発音が似ていれば知識による補正が邪魔をして理解が遅れる場合もある。

情報が漏れる一番の理由が、意思の疎通が可能なことに起因する。口頭による意思表明が不可能となれば、行動によって示すしかないが、今回の場合は『相手が何をするか不明瞭』であってはならないので行動を制限するしかない。よって、情報は漏洩しない。


自分にもし決定権があるのなら、敵対勢力の動向から男の処遇を考えるしか手はない。安易に殺すことも、無駄に生かすことも厄介である。客室に見える檻に閉じ込めるのは客人として招いたという体裁を保つためである。(不適格



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ