一、転生者の苦悩
いらっしゃい。
金を払っているからと云う思考回路で、好き勝手をするべきではない。
金を払ってまでその対価たる商品を譲り受けようとする行為の何処に偉ぶれる要素が在るか。
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本来、通貨は何ら価値の無い代物である。
通貨で腹が満たせる訳でも、生活を直接豊かにしてくれる訳でも無い。
金は物品のやり取りに利用して初めて価値を見出せる代物である。
通貨に価値を齎すのは、万民が信用及び信頼し、世代を超えて疑いの余地もなく浸透しつつ誰もが通貨の利便性と幻想に心酔してなければならない。
(以下、白紙)
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異世界で生活が安定した時、改めて思う事。
「農民が強すぎる」
異世界系のテンプレを考えるならば、農民はいっそ殺されるだけの憐れな存在であろう。
しかし、現実は異なる。
人口の6〜8割が農民であり、更に山賊や海賊とうの賊。或いは徴兵されるなど二重生活が基本スタイルである。
国としては農民を粛清し生産量が低下するのは喜ばしくない為、海賊や盗賊も現行犯しか罰する事が出来ない。
また、食料を生産するにあたって、その技術の継承は必然的に血縁関係者になる。
それは、つまり武力も継承されることとなり、戦に赴く度に改良される代物である。
農民という化け物の存在が、農民への圧政を正当化し、そのために軍事国家であることを求められる。不作となれば、他の農地を襲う農民を、圧政で押さえ込む。
農業に専念させる為の必要事項であり、侵略者から農民とその成果物を守る行為は国力の増幅と帰属意識を高められる。農民の死亡率はそのまま国力の低迷と衰退を加速させる。
無論、一年中農民が農民として生活するわけではない。田畑をいじる必要のない期間で、農民は賊となり、商人等を襲う。これを殲滅しては農民は劇的に数を減らし、下手をすれば何処かの村が壊滅する。商人等にとって、賊は敵であり、お得意様である。
商人は賊を壊滅させても賊に物品を奪われても損をする。だからこそ、抑止力となる武力団体を雇い入れ、賊思考を強制的に農民思考へ威す一手を打つほかない。
農民が武装する。それは自衛策という一面から見れば歓迎させることであるが、不作を理由に他領へ武装した農民が攻め入る悪点もある。
しかも、農民は徴兵を経て戦争の心得を体得している。
刀狩令を発令し、農民の力を削いで統治を容易にする策は天下統一を果たしたからこその一手。徴兵される農民から武器を取り上げてしまったら生存率が酷く低下してしまう。
ーー 閑話休題
俺は次期当主として悩んでいる。
圧政で押さえ込むことは可能だが、一揆を鎮める策は思い浮かばない。
そもそも、自給自足可能な連中を縛る為の武力も、徴兵された農民には効き目が薄くなる。
だから、基本的に農民を物理的に閉じ込めつつ、外敵の侵入を防ぐ柵や堀などが必要になるのだが…それを作るのも農民。
関所を通らない抜け道を必ず用意される。
防げれば、賊は発生しないが、戯言に等しい。
私兵も農民出身であり“農民に理解ある”人々。
権力者として産まれた俺は“農民に理解の無い”人間。前世の知識も併せてなんとか庶民の目線に立てる偽善者。
言葉一つで、私兵が動き農民を使役する。という立場に立っているが、役に立つ知識なんてほぼ無い。農民である彼らは、害虫に対して各々対策しているし、連作障害も経験から避けている。病気に対してもすぐに間引いて、拡大を防ぐ。俺の聞き齧った知識よりも彼らは農業を良く知っている。俺には彼らの生活を一変させる案も知識もない。
あるとすれば才能の発掘。
まぁ、日本と違って農民の識字率は低い。日本が昔から人口と識字率が不釣り合いな異常値を叩き出してるだけで、読み書きできる農民の方が珍しいのだ。それを引き抜いたら農民に商人と交渉できる人がいなくなってしまう。結果引き抜けない。私兵にも読み書きできる人員がいるが、教師として割く余裕がない。
俺からすれば、異世界で領主となって土地を維持管理するなんて、ほぼ無理ゲーである。
俺が政策を打ち出しても、それが飛躍しすぎていて、それ以前の話であったり、他国との戦争で農民が駆り出された後、自国が負けて農民が例年より減れば、財源が減る。これだけでも悩みの種であるのに、不作になった日には悪夢である。出来ることとすれば、大枚叩いて領民を養ったり、密かに農民を支援して他領の物資を略奪させたり。本当に厄介事が多い。
そうでなくとも、外交は当主の仕事の一つであり、悩みの種であり、俺が最も嫌な仕事でもある。
高圧的な態度がマナーと言わんばかりの喧嘩腰な外交は前世の記憶が邪魔をして、何度も失敗している。殺しを仄めかし、実際に殺し合う領主は歴史上掃いて捨てるほどいる。
俺はそれだけは嫌なのだ。だって、怖いし。
私兵を使って無闇に領土を拡大しても、調教済みの領民を再教育する手間はストレスで禿げかける程に憤慨モノだし、領主として貴族と相対するストレスは吐くほどの暴飲暴食を引き起こす。かつて異世界モノを見てバカにしていた小汚い小太り貴族の風貌になっていく自分に言い様の無い苛立ちと虚しさを覚える。
俺はもう、権力者を辞めたいと思っている。
辞める意思を示したり、実際に辞めたら口封じに家内に抹殺されるけどね。領主に成るべくして育てられた俺の知識が流出するのは避けるべきことで、弱点や弱みが漏れる可能性を残すほど愚かではないのがまた、ストレス。
…お疲れ様でした。
(悪魔に勇む者の完成度に絶句してます。そのうち書き直します。




