荒神の抗議
いらっしゃい
「ー以上です」
「…はぁ」
「ふざけてるよなやっぱり」
「概念的存在と時空間的存在の差が出やがった」
「流石に荒神も、黙ってないんじゃねぇか?」
「アイツら堕ちず底辺を極めてやがるからタチが悪い」
「空間の安定と言う名目の監視兼鑑賞用だよなこれ」
今、邪神の大空間が安定している。
邪神の憩いの場であり、邪神の入口と名高いコロシアムが賑わっている。
「でもよぉ流石に魂持ってかれるのは痛いぜ?」
「これじァ神殺しが起きねぇじゃねえか!」
「今回はどの次元の聖者が来るんだ?」
「信託の神が介入しまくってる空間の聖者以外は要らねえ」
「虫も殺せない奴が殺人の快楽に飲まれて邪神を信仰する…」
「存在の否定までして楽しみたくはねぇな、信仰するまでは楽しいんだよ」
「ソイツは元信託の神だし、仕方ねぇ」
「邪神になってから神殺しされて初めて過去を払拭できるからな」
「俺らの存在を憎む事が邪神の正しい信仰行為、地上で根付かねぇかなー」
「憎むより漠然と盲信した方が楽だろ、質の悪い憎しみなんて腹の足しにもならんわ」
「その為のコロシアムだしな」
「誰か連れて来ないと始まらんなこれ」
「はぁ…つまらん」
ーーー
「お待たせ致しました。この空間が以下のルールに違反しない限りは邪の神の所有物であり続けます。1つ、死の魂を必ず無の水準を満たした状態で輪廻の神へ明け渡す事、1つ、神殺しを成した魂は死の神へ託す事、1つ、死の神の参加及び臨界の神の参加を常時許可し、邪神とその他の神々には三つの規定を設けること、1、堕落目的の参加及びその時、堕落する可能性の高い神々が合った場合は、それによって堕落しない事を誓いの神に誓いを建てること、2、コロシアム内にいる死の魂に加護を与えてはならない、3、如何なる理由又はやむを得ない状態であろうと空間の改変は禁止する、3つ、邪の神に求められる事項を全うすること。以上です」
ーーーーーー
「てめぇら、よく聞け、俺らの空間が盗まれた」
「寝言か?今此処に盗まれたはず空間が有るが?」
「んな事はわーってる!ンなんじゃねぇ!」
「あ?んなちったぁ黙ってろ」
「喧嘩すんじゃなぇよ、馬鹿共が」
「まだ餓鬼だから仕方ねぇだろ」
「あの中にドンだけ堕ちる奴が居るか掛けようぜ」
「ってめぇら、ちったァ話聞けや」
「真似された程度でキレんなよ」
「餓鬼だからって容赦して貰えると思ったら大間違いだぞ」
「荒神のアすら理解してねぇから餓鬼なんだよ」
「お前は昨日まで理解してなかったろ、昨日のお前だぞ?あれ」
「冗談きついなぁー」
「……」
「脅しってのは賛成だ、荒神をただの底辺だと思ってやがるからな」
「始祖に最も近かった神は荒神だ」
「底辺こそ頂点」
「……荒ぶる神、存在の起点は始祖にあり」
「畏怖され続ける限り存在は安定す」
「やればできるじゃねぇか」
「餓鬼にしてはな」
「……」
「とりあえずあの空間を用意したのが連中なだけあってかなり強固だぞ?」
「天界の均衡が壊れるなこれ」
「介入する前提で造られた様な空間配置」
「しかも、ご丁寧に邪神が勢力拡大の為にって提示した情報」
「全て予想通りなんだな、流石だ」
「今日攻め込むのは……やめておくか」
「灯りの神が起きたらって事で……」
お疲れ様でした。