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白紙の経由

いらっしゃいませ。


白紙だった空間が会議室と呼ぶに相応しい姿形を取り始める。

「それで、加護の方は順調かな?」

「えぇ、現地人から思想の差を疎まれ、排斥される流れは無くなりました」

「人格の変容も予測の範囲内に治っている」

「加護の作用も範囲内でしょう」

「それで、今の所は問題はないか?」


突如として空間の歪みと共に土地神の使いが顔を出す。

「伝言です」


『八百万の神々に土地を明け渡す』


その言葉が、空間に刻まれると使いは消失する。


「…問題ですが、人間の精神性が酷く脆くなっているようで、言語を与える過程で負荷に耐えられずに破滅する魂が年々増えているのです」

「人間の精神性は我々の干渉する事ではない」

「加護では限界があるのです」


「自殺者を利用した異世界転生は無理があると云う事だな?」

「さよう。己の生まれ落ちた世界ですら真っ当に生きられない無能では、更に厳しい人間関係や生活水準、法の下で生活するのは無理がある。」

開かれた会議室を見学する名もなき神々が、伝言を見て空間の歪みに飛び込んでゆく。

「現実に投石されて耐えられる肉体を手に入れても、その痛みに耐えられる精神性を待ち合わせなければ宝の持ち腐れだ」


「無垢なる魂を人に作り変え、人格を与えると云うのはどうだ」

「やめておけ、今以上に負荷が掛かってしまう」


開かれた会議室。それは天界の中で特に干渉が難しい空間と一時的に一体化しているからこそ、開かれている。


「ねぇ、僕は?宇宙の意思に従い続ける僕も信仰して欲しいな」

故に、存在しない絶大な存在を前に神々は言葉を失った。


ーーー


土地の信仰が失われ、土地神の力が衰える。

その土地への信仰は、環境の保守に繋がり、人間の介入によって生態系が必要以上に乱れるのを抑制する効果があった。

しかし、土地への信仰が失われつつある原因に人類贔屓の介入が増えたことが一つ。


「人類の壮大な勘違いは、人間が他生物に勝っていると本気で信じている事にある」


ーーー

「…そうか、これが異世界の…」

これが金である。

これがあれば、危険や苦労を顧みず成果物だけを頂ける。

これがあれば、生きる為の物資が手に入る。

金があれば、第一産業の人間と関係が構築できずとも食料が入手できる。


これがあれば、何の技術も習得できない無能でも人並みの生活が送れる。


金さえ有れば、消費者として暮らせる。

消費者としてなら、生産者の努力を労わらずともその成果物を受け取ることができる。


そして、消費者の態度が肥大化すれば、それだけ金に対する民衆の価値観は通貨に依存する。


通貨を経由した物品のやり取りは社会制度の発達及び各種産業の同意が必要である。


通貨を経由した物流は、生産者に成れない消費者に優しい政策である。


ーーーこれが通貨"金"の存在。


金は、生産者同士の物々交換の不成立を減らし、無能が生活出来る様になる異世界の政策。


「まだ、考えるべき事はウンザリする程ありますね」

ーーー


数多の天界を経由して、宇宙の意思を探す。


全知全能の神が原初の地より出て幾星霜の時を掛けて"知る"為に行動をする。

宇宙の矛盾に抵抗出来ないのもまた宇宙の致す所である。


ーーー

無力神が脆弱な空間で会議室に突然現れた存在を連れ込んでいた。正しくは、居着いている。

「本当に、どんな存在なのさ」

無力神の能力が無力化され続ける現状に無力神が混乱する。

無神へと至る一歩手前であった。

お疲れ様でした。

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