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不適格な利口

いらっしゃいませ。


侵入者の末路は語らずとも歴史が物語っている。

されど、しばしば歴史の慣習に反して歓迎される事がある。

「何だその格好は!」

社会的地位や社会的影響力、財力を一挙に示す一つの指標が、服装や姿形である。

「ーーーーー」

例えば、言語が通じずとも、それなりの外見であれば見返りを求めて何らかの形で、害する行為を抑制することも出来る。

「まぁ、よい、丁重に扱えよ」

社交性の発達した環境に身を置く常識人は相手の外装から相手の地位を予測して行動する概算的な行動を是とする傾向にある。

また、其れを利用した暗殺も手口として存在する為に、最高権力者が直接相対する愚行は当然避ける。

暗殺のほぼ全てが初見殺しであり、身分を偽った人間の取る行動が想定を下回ることは基本ない。

何より、侵入者が1人とは確定していない段階で、外に出た事が先ずもって失態である。


「やけにおとなしいな…」

囚われる事を目的としている可能性。

厄介ごとの種であり、大した利益が得られない可能性。

或いは、内通者が既にいて、後々脱走騒ぎになる可能性。

遮蔽物の多いエリアは複数の侵入者の割り出しに適している。

「ーーーー!」

「言語のなのだろうな…?はて、分かるものはいるか?」

当然名乗り出る者はないし、側近たちは実に忠実に実務をこなしている。

「客室を模した牢にでも放り込んでおけ」

無言で側近が動き、彼と対話を試みている衛兵が下がる。

これで、謎の男は様々な取り調べを牢で受ける事になるだろう。

問題があるとすれば、彼が処理されるまでの間、客室牢が使用不能なことだろうか。彼が利益を齎してくれるのならば大歓迎なのだが。

「ーーあーーー、ー」

「ーーーー」

何か一瞬、単語が聞こえた様な…勘違いだったようだ。

有無を言わさず女性の使用人が腕を引いて歩き出した。

やはり、どんな男であっても、美女の前に永く抵抗し続けるというのは不可能らしい。


「それで、領主様、如何様に?」

「さぁな、情報を可能な限り絞り出したら、殺処分でいい」

「我々にとって有益な情報を持っていた場合は、どの様な扱いを?」「情報次第、許可があるまでは現状維持だ」


有益な情報の種類や数、傾向によってはこちら側に引き込む準備も必要になるだろう。女で縛れるならどれほど楽か。

それらが出鱈目であれば、非常に不味い状況となるが。

こちらが欲しい情報を相手が握っている事が示唆されれば、交渉ごとに際して後手後手になってしまう。

理想を言うならば、全て杞憂で、大した情報をあの男が知らず、速やかに処分される事である。

「お部屋に…」

周囲の索敵も厳格に管理され、負傷者や行方不明者が発生すれば即座に臨戦体制となれる様に訓練されている。

「さて、食堂の食器や食材、果ては調理器具から掃除用具と水質を検め、毒物が検出された場合は村々を周り、不審者の聞き込み調査と僅かばかりの減税を伝え、廃棄した材料を買い足せ」


ここまで徹底して先代は毒殺された。

ゆえに私は、同じ釜の飯を全ての側近と料理人に食わせている。食器類は信頼できる人物に預けてあるし、盛り付けも担当している。


ーーー

「この人類をどう役立てるか」

「或いはどう処理するか」

「さぁ、我々に求められている成果は誰に捧げるべきか」

「さぁ、我々が求める結末をどの様に成果とするか」

「人類に我々の存在を明かすべきか」




お疲れ様でした。

どんな奇天烈な外見をしてたら上等な牢に招待されるのか。

私にはわかりません。

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