親和性
いらっしゃいませ
土地神が降り立った地は世界と呼ぶにはまだ不完全な状態であった。土も水も、光も何も無い。
それらを与えなければ脆弱な生物は存在すら許されない。
加護の効果範囲は容易に宇宙まで届くが、それもまた生物の生存可能な状況でないことを示唆している。
無生物の地。
本来ならば、星とすら認識されない程度の小さな地である。
されど、宇宙によってその地は異常なまでに星として存在している。土地神が降り立った理由はその教えに従ったに過ぎないのである。
求められるのは、生物が跋扈する世界。
或いはこのまま生物に侵されぬよう見守ること。
やはり、ほかの神々の介入に無抵抗であり続けて、世界と呼ぶにふさわしい星へ至らしめること。
それもこれも地に足を付ければ自ずと応えは分かる。
あまりにも小さい地に触れる。
すると神々がこの星を土地神の名のもとに認知する様になる。
足をつければ、神体が蒸発し、地が紅く染り始める。
「おいおい、こんな場所でいいのかよ」
外野が少し騒がしくあるが、星と融合するまでの間は外界への干渉が不可能である事を外野が思い出してくれさえすれば、多少は静かになるだろうと期待する。
「。」
舞い込んできた魂が融合したばかりの土地神に触れる。
宇宙の仕向けた魂であろうか。
「ふむ、分からんな」
突然のことに困惑するのは自我を一時的に取り戻した魂である。
「やっぱり分からん」
続々と続く魂の列を見やり、意識を取り戻した魂が己だけであると理解し、再び混乱する。
「ニンゲン。何故導かれる」
その言葉はニンゲンには何も残らない。
「無力な神では、その意向を聞き出せはしまい」
「然り」
漠然と魂が知るのは此処が恐らく天国や地獄、或いは死後の世界とは別の状況に置かれているということ。
「なんら強制力もない高位の存在」
「おう、俺になんか用か?ニンゲン」
「…」
「土地神よ何も今の魂を無に還す必要なかったろ」
「何を言う、無気力神に取って代わろうとする意志を示した段階で驚異として加護に排斥されるのはしかたなかろう。」
ーーー
その夢は、再び起こる可能性。
世界樹が天界を侵食し、ついに門の裏側が崩壊する。
その夢は、既に起きている可能性。
世界樹が宇宙を模倣し、無に触れて、宇宙が崩壊した。
その夢は、これから先も起こりえない可能性。
宇宙が、全てが安定する。
その夢は…常に起こりうる可能性。
宇宙が終焉を迎える。
ーーー
石段に見えた其れは踏めば沈み、階が上がればそれだけ、次段が遠くなる。
お疲れ様でした。




