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転生の利

いらっしゃいませ

「転移者はどうなっている」

「転移先で果物によるアレルギー反応に苦しんでいます」

「…そうじゃろうな、アレルギー持ちを自覚していても転移を望んだのだから仕方あるまい」

「今どきいるんですね…転移を望む地球人」

「遺伝子組み換えによって限界まで肉体能力が引き出されている事に誇りを持っていただろうから仕方あるまい」

「後天性アレルギーの存在も知っているでしょうに」

「転移者の立ち振る舞いや影響力を調べる為だったが…何も事を起こさずに死なれては困るな」

「早速、複数の影響が出ましたね」

「特定の果物の価値が暴落し、生産者には冒涜が」

「転移者の病状を理由に神の存在を否定」

「貴族としての地位が与えられましたね」

「…転移者の存在が権力者に知られるというだけで影響力を発揮するとは驚いた」

「我々が認識している以上に現地人からすれば異質なのでしょうね」

「転移者の肉体には最低限の細工は必要かまだ判断しかねる」

ーーー


【ルソーの誕生まで「子供の概念が存在しない」

近代以前は「小さな大人」として認識されていた。


要するに農民(大人)の夫婦の子供は「小さな農民(小さな大人)」として扱われていたという事である。

肉体的に活動可能となったら農民として労働していた。

そこに男女の差は無い。

但し、戦になれば男は戦士として重労働する。

女と小さな大人は引き続き農民として労働する。

そして戦が終われば戦士は農民として女と労働する。


村人の多くは農民である為、村全体が「子供よりも小さな大人を必要としている」ので、子供特有の要求は悪質な利己行動(我儘)として大人に対応される。無論、戦争による痛みで麻痺している大人の暴力は子供にとって致命的な攻撃力を有している。


小さな大人は戦という重労働に耐えられる肉体を有していることを条件に"大人"と判断される。】

(異世界ではどうなんでしょうね?近代以前には子供の概念が必要でなかったことから、"子供時代を経験している転生者が異世界で子供時代を経験できなくて強いストレスに苛まれる"可能性が高いのでは?ビンタ一つゲンコツ一つで暴力だと否定したり、騒ぎ立てたりする今のご時世。異世界に転生しても地球基準の暴力をスキンシップとして或いは躾として日常的に受けていたら愛を感じられなくて自殺するんじゃなかろうかと心配になってしまう)



ーーー

「子供なんだぞ!」

ある昼下がりの散歩道で聞き慣れない言葉を耳にした。

「コドモ?」

初めて耳にした単語である筈なのにすんなりと意味を理解できた。興味が湧いた俺は野次馬の方へ駆け寄ると若い男が殴り飛ばされた乞食を庇っていた。

野次馬が群がっている理由を考えれば若い男の奇妙な言葉と言動に興味を惹かれたからに過ぎないという事が分かるだろう。

「何を言っているんだお前は?」

殴り飛ばした男の反応は野次馬の総意である。


「俺はさっきから見ていたぞ!怯える様に後をついていく子供を突然殴りつけるのを!お前はちゃんとした服を着てるのに子供には汚いローブだけか!ちゃんとご飯もあげてないんだろう!」

その言い分には盛大な勘違いがある事が分かる。

それゆえに殴り飛ばした男もそして俺を含めた野次馬も笑いを堪える事ができなかった。

……

………

その盛大な勘違いを若い男が自覚出来るよう大きな声で笑い合って更に若い男のセリフを強調して復唱する親切な人も現れた。

ただ残念なのは、若い男は何が起きたのか理解できずに静かに泣いていた事だろうか。

それに気が付いて初めてこの場の殆どの人から心配されることになった。


乞食達だけがこの状況を利用して財布を盗みに動く。

そして財布を盗まれた野次馬は若い男に石を投げ付ける。

心配していた野次馬も次第に若い男に石を投げ始めた。


俺は一人、若い男の才能を惜しんだが、衛兵の到着までには周りの興味は無くならないだろうと察して乞食だけでも逃げられる様に道を開けてやる。コドモらしいからな。


後日、若い男は取り調べで乞食達とは接点がなかった事が明らかになった。若い男には才能などなかったようだ。

ーーー





お疲れ様でした。


(転生する星の文明レベルによって地球を遥かに超えている可能性もあります。ルソーに関する事は読んだ本の解釈が正しければ事実です。農民の子は農民になるし、靴屋の子供は靴屋になる。

そのメカニズムは子供を小さな大人として扱って技術を伝承していたからである)

(今の時代は暴力を正当化する必要があるが、昔は正当化する必要があるほど悪ではなかった。というのも事実である。超有名どころであればスパルタだろう。戦争が絶えない国は暴力を肯定的に捉えている節がある。逆に暴力を悪と捉えているのは近代以降でもある。他には侵略者に対しての尋問(拷問)などだろうか)





(若い男が石を投げられた理由は、単純です。乞食達を率いて大規模な窃盗をさせ、その囮として若い男が野次馬を集めて注意を引く発言と言動をしたと誤解されたからです。…男が惜しんだ才能とは、「知能の低いとされる乞食達を統率してまとめ上げ、作戦を実行させる能力」のことです)

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