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欠落

いらっしゃいませ

宇宙の人格が定まりつつある。


それは調和された混沌を望む宇宙の矛盾となる。


「伝達内容…」


「…違う」


統一された秩序が生まれつつある。


「…」 


世界を確定する意思が働く傾向にある。

それは何と矛盾するか。

「不変…」

ーーー


「神と名乗る不届き者が我々を如何とする」

その声は低く唸って空間を満たした。

「…自称神からして貴様と同様と思われるのは些か不快だ」

「なればこそ、その先を我らが頂こうではないか」

「叛逆か、或いは下剋上でも突きつけるか?」

「…人の世を収めるのは天皇か天下人で無ければならん」

「同意するが、仮に本物であれば仕えるは道理となる」

「本物…であればな」


神は彼ら二人を見下ろして思考する。

先程まで殺し合っていた犬猿の仲の二人が異常な状態をすんなり受け入れ、剰え神の座とやらを手に入れようとしている。

概ね、黄泉から帰り天下人となるべく神の力を振るうのだろう。

彼ら二人の実力は彼らのいた国からすれば凡人として認められる。無論、武士としてではあるが。

殺しを神聖視する精神性でありながら殺しに躊躇いなく、死を穢れと認識している。自殺に関しては尊く思っている。

彼ら二人は武士としては凡人であるが、それでも一応に武士である。彼らの精神性は他の時代の日本からは逸脱している。

死を恐れず、当たり前として認識しているのだ。

女ばかりが死を恐れると信じているし、死を恐れない女は男勝りとか肝が座っているとか、強かな女とか好印象に思われる傾向にある。無論、死を恐れる男は女々しいとして貶される。

彼ら二人の価値観は似通っていてかつ完成されているのだ。


だからこそ、文明のまだ定まっておらずかつ未発達な世界に放り込んでその異常性を遠慮なく発揮して欲しいと考えるわけだ。

武芸百般。彼らは武士として求められる様々な武器を扱える。

転生者としてこれ程までに適した人材があろうか。

下手な加護を与えて人格に弊害が出る心配もない。

神の力を借りていないが為に、その技術は正統に受け継がれる。

何故ならば神に対する適性がなくとも習得が可能だからだ。

加護の神が四六時中見張る必要がない。

独自に発展する上に何より退屈な世界には成りづらい。

神の加護によって安全圏が確保され、意図的に生かされている未熟な人類の救済となるのがこの二人だ。


「だんまりか!」

「…貴様が煽るからだ!」

「なんだと…!呼び出して名乗りを上げてそれっきりの神がっ」

「…はぁまこと、これが地獄であるならば困ったな」


言語が発達した頃に送り出そう。


ーーー

強い光の後、自分が転移したのを強く認識した。

「廊下の次はなんだここは…草原か?」

長い長い廊下を踏破した男は風が吹き荒れる草原に立たされた。

「…なんのつもりだこれは」

神になると息巻いていた事を思い出す。

「これが試練か」

「だぁー!!!」

男は考えるのをやめて歩き回ることにした。

既に路頭に迷っていた。


ーーー


実験の結果。

ー接続部破損。

ー細胞分裂の停止。

ー適正化の失敗。


男は死んだ男を見下ろす。

キメラのなり損ない。

既に見慣れた光景を隠蔽する為に唯一の成功例を活用する。

「食らいなさい」

1匹の猿がグチャグチャと音を立てて腕の一部を切り離して溶かし始める。男はキメラのような死体が浄化される光景を見る。

やがて純粋な水となって、そこには大きな水溜まりが出来上がった。

 

「いつもどおりに」

そういうと猿はその液体を飲むと姿を絡ませる。

「人間の適正率が低い…?」


ーーー


神々は天使を量産し続けている。

量産した数だけ悪魔を世界樹に押し戻せる。

これは神と世界樹の宇宙の奪い合いである。  



お疲れ様でした

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