果実の崩壊
いらっしゃいませ
時空間の歪み、過去に亀裂が入る。事実の変化。
事実の変化は真実の変革へと繋がる。
過去へ関する未来の姿形が変化する。
時間は意味を失って過去も未来もその両方が崩壊する。
神々の力の及ぶ現在のみその崩壊を逃れる。
森羅万象を無作為に切り離しその代わりとして世界樹は拡大するのである。これもまた宇宙が容認する現象である。
秩序を慮る存在にとって秩序を知らぬ上に力の有る存在は脅威となる。無論のこと排除の対象であり、敵対者と見做す以外にない。神々にしても同じである。秩序の崩壊はそのまま死に直結する。概念の死はそれを含む秩序や文化、或いは正義や悪の崩壊を意味し、それはある程度まで連鎖する。
「…既に崩壊しているのか?」
憶測の域を出ない発言であるが、真実らしいことは容易に分かる程度にまで天界の上位は危機感を募らせていた。
「管轄外だ…」
「されど分かるだろう?」
「天界が世界樹に呑まれた」
「関連性は不明だが転生者が減っている」
「我々とは無関係に現在も星が生まれている」
「観測神の凶変も世界樹の仕業かもしれん」
「何においても確定が出来ない現状…」
ーーー
「…よく分かりませんが教えが素晴らしいと部屋を出てきません」
「…そんな馬鹿なことを吐かすとは」
「今世界で熱狂しているらしいです」
「成果も結果も何も示さずして己が意志が善いと判断した物に縋るとは…そんなことだから無能なのだ」
「しかし、世界の最先端を取り入れようという意志は…っ」
「お主もか!擁護するならもう少し考えろ、たく、最先端を取り入れる?それに嵌っては利用出来るもんも出来んだろうが」
「確かに…」
「そもそも何がとは言わんが合理性に富んだ物が多いが、縛りも多い」
「合理性…?」
「我々とは無関係な合理性よ」
「無関係…」
「兎に角、無関係な合理性に囚われた無能を引っ張り出してこい!」
「はい!」
ドカンと王座に座った王様は酷く疲れていた。
「王様…お疲れ様でした」
「あぁ、」
話す余裕すらなくなった王様はその場で目を瞑り眠り始める。
それを守る様に立っている戦闘経験ゼロの男は与えられた武器を腰に下げてくしゃみを噛み殺していた。
ーーー
果実は奈落の底で根を腐らせている。
果実はその矛盾性が崩壊して奈落の底で果てる。
奈落は果実を分解してゆっくりと成長する。
宇宙は混沌と満ちることを選択したのである。
お疲れ様でした。




