前兆
いらっしゃいませ。
ある男が手を振りあげ魔法を発生させ、その威力を爆発の余波、風圧で証明する。
「これが人に与えられた権利の1つです」
有識者が集う会場で男の声が響く。
「誰が人に権利を与えたのでしょうか」
女性が疑問を告げる。
「神様です」
決まった答えを口にする。
「人の権利とはなんなのでしょうか」
女性よりはるか後方に立ち尽くす一人の男が声を上げる。
「良い質問ですね」
散った魔力を感じ取った1番手前の女性が目を閉ざす。
「人は神によって賢も愚も或いは善も悪もその限りを尽くし己が信ずる神の為に生きる権利を与えられたのです」
「では、我々のような神を信じぬものにその権利を行使する事は出来ない、と言うことでしょうか」
そう言って魔法を発動させてみせる。
「簡単な事です。我々は人である限り権利がある」
何かを言いかけた人を手で制した男は言葉を続ける。
「ただ、人の身で出来てしまうが故に権利と違えた主張をする者共が居ることは確かです。総じて彼らは犯罪者と呼ばれ、忌み嫌われていますね」
一息ついて、制した手を下ろして話を続ける。
「人の身でことを起こす事が出来ながら権利では無いものが確かに存在します」
質問がないことを確認した後話を続ける。
「それは、偏る事、正義であり続ける事は悪ではないが悪の権利を有する者共を、神より与えられた権利を奪うとは許されない」
会場が濡れ始める。
「雨が降ってきたのでここまでにしましょう」
そのセリフを待たずして黙々と解散する人々を尻目に男もまた背を向ける。
ーーー
「うわぁ」
「それはないよぉー」
「えぇー」
名も無き神、定められた運命にイタズラをする事で人知れず感謝され生き長らえる存在、或いは憎まれ、嫌悪され、拒まれ、嫌われる事で生存している存在でもある。
1人の女性が眠り転けた為に、低体温症で死の淵に立たされているのだが、運命ではまだあと5年は生きる。
「不味いよ不味いよ!」
「だって、おきるとおもうじゃん!」
昼夜逆転した生活が彼らの計算を狂わせた。
「みんなで話し合わないで勝手に雨降らせるからこうなるんだよー」「うぅ」「反省してるの?してないなぁー」「おもしろー」
既に興味を失われた女性はそれこそ運命にその生死を委ねることとなる。それもまた運命と笑う運命の神は唯一の娯楽を堪能するのだった。
ーーー
世界が芽吹く。
世界樹の存在は神々にとって全くの未知である。
宇宙の意思が、それを作り出したのだと理解する。
お疲れ様です




