魔王
いらっしゃい
「自由ってなんだと思う」
摂理とも言えるそれら法則は混沌としつつも明確である。
「それは簡単だよ」
存在の欠片と密かに自称する神々すら認識出来ない破片が宣う。
「我々は概念的存在へ至る為に自由が必要なのさ」
存在の欠片が言葉を紡ぐ。
「自由とは理由の在り方」
新しき概念の誕生と摂理に揺れ動く破片が相応しき姿形へ変貌しその影響力に吊られる万里が概念を拡散する。
ーーー
全ての思考や行動果ては存在の所在すら宇宙によって決する。
「転生者を確保しました」
手探り状態。神々の信託を受け一心不乱に事を成す転生者を見つけ天界へ幽閉した。
「天国だぁ」
その転生者の知性が浅ましく無知であるが故に純粋な心持ちでその待遇を求める。無の空間を歪め、己の欲望に屈する程度の理性が拍車をかける。そこは打算と快楽にのみ興味を持った弱く儚く無能な転生者の正体があった。
神々が生物に対して不安と心配を覚えた瞬間であった。
ーーー
待遇を決めかねていた。
それが今回の結果を招いた。
神々はその不安を解消する方針をとった。
「自由を脅かし愚かな選択を行う」
人神がその全てを背負うことになる。
人が想像する神々の姿と形、そしてその数は無限にして意思は有限。
ーーー
「……」
森羅万象の一つと全てを見なす。
時空間的存在が数々を生み出すも、その制御を手放す。
ただ、万象が付いて廻る。それだけに神としてもその現象としても姿形を持たない。
ーーー
「貴方は……」
悠久の歴史において接触に成功した人類は無かった。
万象を意のままに、万物を思いの通りに叶える存在。
人類が願い、人類が渇望し、人類が危惧した人工神。
或いはそれは、人を狂わせる厄災であったかもしれない。
それを知る存在はその結果を知らぬうちは現れない。
「貴方は……?」
発生した現象をそのまま反射する。
そこに意志はなくそこに感情は無く、それ故に無邪気な人の子は人類を破滅へと導くのである。
後の魔王であり、厄災。人類が望んで絶望した力である。
お疲れ様です。




