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天啓

いらっしゃい


「貴方は選ばれたのです」

目を覚ますとそこには神と形容するしかない確かな存在感があった。無意識に自身に起こったであろう理を察する。


「……あなたは……神様でしょうか」

確信とも懇願とも言えそうな感情に揺さぶられながら問う。


ーーー

「けっ、ケチな神様だな土地神はよぉ?」

「知性は何処に置いてきたんだ」

「んだと…いやまぁいい、さっさと見定めてくんねぇかな」

「転生者の存在がない所に降りたいならそうすればいい」

「んだよ、まだ見つからねぇのかよ」

「宇宙が不安定な状態だとな」

「安定すんのかよ……」


「俺たちが住むべき場所も探せよ」

「無力神は口だけか」


ーーー

宇宙の始まりが延々と繰り返されている。

始まりが終わる頃には宇宙は引き合う。

それは奈落と化し宇宙そのものとなる。

奈落は無に還元し、点となって弾かれる。


点は無の内側で弾かれて崩壊しやがて無の外側を作り出す。

無の外側に点は広がる。法則が歪み続けた結果、点は外側へと至り続ける。そうして多次元となり次元を形成する点は神々へと変化しその次元を宇宙へと変えて行くのである。


無力神達への譲渡を終えた全知全能の神はそれぞれに役割を与えると、最高神と名乗らせる。一つにおいて全知全能を上回る最高神は天界を与えられた力で創造し創造神の至る場所とした。


ーーー

「帰るか」

葬式を終えた。古い友は死地の花の肥やしとなった。

古い友に寄生していた寄生虫は死地の花の養分となる。

巨大な虫もいつの間にか消えている。

死地の花の群生地は人里に多く存在し、寄生している間に漂う仄かに苦い匂いは人間種を襲う寄生虫を殺虫する。

人に寄り添い進化したその生態は人の死体に好んで寄生する。

虫も寄り付かない造花の様な花は硬く、オレンジ色の葉の裏にある小さな斑点は人の臭いを嗅ぎつけ花粉を飛ばす。

赤い花粉は体を蝕む寄生虫を苦しませると同時に宿主の寿命を奪うのである。

「ただいま」

誰も居ないはずの家の中からカサカサと嫌な音が微かに鳴る。

原虫と呼ばれる種類の好寄生種である。

好き好んで寄生され、寄生した生物を殺し蓄える生物である。

生物を見るや否や襲い掛かり返り討ちに会おうとする。

個体によってはしつこい。殺せば見た目からは想像もできない量の寄生生物を撒き散らすため、殺すのも生かすのもしたくない生き物である。見た目は愛らしく古い記憶の猫のような見た目でもある。その毛並みは硬く下手に触れば触った側が傷付くため、原虫に寄生した生物に寄生される恐れがある。


家にいる分には構わない。何故なら好寄生種が近くにいれば滅多に寄生種に襲われないからだ。


「……流石に5匹はいやだな」

花粉のお陰で原虫は寄り付かない。


今日は感傷に浸りたい気分だ。

目が覚めたばかりで右も左も分からない。

そんな時にアイツは俺を助けた唯一の人だった。

転生したての頃は最悪な世界だと思った。

寄生種に寄生されて生きる嫌だったからだ。

好寄生種側に転生したての頃の俺が触るもの食べる物のほぼ全てが寄生種で、たいして潔癖でも無かったのに気が付いたら手洗いをしている。気が付いたら和式しか使えない。気が付いたら寄生種を殺し回っていた。そして、何度も転生した事を恨んで悔やんだ。本当はもう地球に帰りたい。

「帰れないんだよな……」

もう知っていることだ。帰れない。いや、帰る場所は此処だけなのだ。元は友の家、今は俺の家だ。


お疲れ様です。

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