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奈落

いらっしゃい

「実験の予測と大きくかけ離れていますね」

「…大きな介入があったと見るべきでしょうか」

奈落に力を与えられそうになった劣の神は大きく距離を取った。

「最高神すら無力となれば、私に為す術は無いですね」

「…おや?」

劣の神は過去の異変に気が付き、恐怖する。

「破滅の神との記憶が…」

姿形が人間となった自身に驚いて、弾かれたように天国へ急ぐ。


ーーー


灯りの神は奈落の中で光を失いつつあった。

弱まる灯りに消え掛けた天使が女神を連れて集う。

奉仕によって生き長らえた女神は灯りの神へ加護を施し、今一度強く身を照らす。

その光は奈落に呑まれ、邪気に穢れる。

懺悔の祈りすら効力を持たず、奈落の外へ通ずる道を開く事叶わず。

名も無き神々は無抵抗にその光景を眺め続ける。

栄光に生きた神々が奈落で命を落とす。

拾う神すら訪れない奈落に名も無き神々は新たな名を考えた。


「神々の墓場なんてどう?」

「いいね!」

「拾う神が決して訪れる事が出来ないもんね」

「輪廻という概念すら通じないもんね」

「邪神すら存在を歪め知性も知能も行動力も全てを失って奈落の道具に成り下がったもんね」

「全ての空間で正常に活動できる僕たちだけが、奈落で活動できる」

「ほんと、神権制限がなきゃいくらでも…ね?」

「次は何時になると思う?」

「さぁ、今回は抵抗し続けてるし、いつもより長い気がするね」

「そろそろ眠ろうか、暇だし」

ーーー

「私は全てを知っている」

「原初の地も知っているのかい?」

「…知らない事を知っている」

「そうかい、この空間は矛盾を強要し続けるから、全てができる君には少し刺激が強すぎると思うんだけど」

「故に原初の地の始まりを知りたいのです」

「たしか、昔にも同じ事を聞いてきたね」

「はい」

「それで?」

「……全知全能は無力です」

「そうだね、君はそれをまだ知らなかった」

「ですが、既に知り得ました」

「さすがだね」

「今度教えてあげるよ、原初の地の誕生を…無限の時をもう少し重ねたら教えてあげる」

「ありがとうございます」

お疲れ様です

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