下天
いらっしゃい
「……」
「5つの天界が下天しています」
「下天はどうなった?」
「崩壊の道を辿っています」
「発展は?」
「文明の発展は下天した神々によって探求され、奈落の理が変化することで滅びと発展を繰り返しています」
「近いうちに我々も同じ道を辿るやもしれん」
「であるならば、下天後に備え、どうにか……」
「奈落の齎す理を推測することは?」
「予言の神すら、信用に値しない」
「毎秒言葉を違え続けては、対策など」
「原初へ逃げるべきでは?」
「全面戦争など出来るか」
「不可侵の地は?」
「無に帰しました」
「やはり、我々には……」
「数多の神々を統べる我々が無力」
「なっ……」
「空白……」
「過去の一部が消えた」
「過去すら消すのか」
「過去に起きた現象の消失」
「この空間は?」
「理解すら及ばぬ現象」
「理の転覆、それは可能だが、代償を伴うはず」
「代償は無いのでは?」
「奈落は神ではないのだ」
「然り、奈落が呑み込む全てが代償として支払われている」
「権限を持った現象なら?」
「神ですら、権限の制御には困難を極める」
「神ですらないのならば或いは容易い」
「始まりを以て終焉を齎す」
「それが奈落と?」
「終わりに抗うことは…」
「下天する」
「5つの天界は抗う事によって延命を?」
「しかし、いつその法則が変化するか」
「……」
「そうだ」
「理解したな」
「過去の消失は抗わぬ天界の末路」
「抗い、理がねじ曲がって下天する」
「さぁ、どうする?」
「下天…しよう」
「断る!醜く死ぬぞ」
「では、天界ごと消失するぞ!」
「落ち着け!奈落に呑まれる前に天界が堕ちる」
「挑むか」
「既に奈落へ身を投げた最高神が何名か報告されている」
「敗れたか」
「抱えきれぬ」
「転生者は何万人送り込んでも変わらなかった」
「死すら厭わぬ民族は滅びたな」
「無念、そういう概念に満ちている、変化はあった」
「抗わぬ」
「望むか?終焉を」
「で、あらば如何する」
「挑め」
「承知」
ーーー
「奈落ってなんなの?」
「宇宙を上書きする新たな」
「聞くが、何度繰り返された」
「全知全能と奴のみ知るところ」
「総じて下天が少ないのは何故だ」
「下天した天界が惑星へと在り方を移す最中で理の矛盾によって消滅したのかと」
「では、改めて聞くが奈落とはなんだ」
「我々を終焉へ導く由緒正しき現象」
「ならば、受け入れるべきか」
「この天界の存在理由に反しない限り」
「であるならば……受け入れるほかあるまい」
「御意」
ーーー
ここは、下天した天界。
終焉によって成り果てた神の目的もなく彷徨う地。
土地神の不在によって、秩序も法も生命も法則も概念も失い、人より醜く今を緩やかに衰退する下落した神々が、ポツリと祈ってはかつての朧気な神の存在に縋る。
お疲れ様でした




