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3-5

 ところがどっこい。

 この受託が、まさかの展開を見せたのである。


「キヒリが……来る?」

 知ってるどころか、ナコクの使者ですとか言われた日には、なんだそれ。

「ナコクより二人の使者が参っております。こちらから名をキヒリかと問うと、驚き、平伏したのです」

 報告するタバナは、ちょっと嬉しそうだ。神託が相手の出鼻をくじくのに役立ったとはビックリだわ。

 でも、まさかのそんな意味合いで頭に浮かんだ名前じゃなさそうだったんだけどな? 使者が来るってぇ感じじゃなく、本当に名前を思い出しただけだったんだもん。

 もしくは、まぁ、これが受託なのかな?


「しかしながらキヒリなる者は奴隷であり、(あるじ)たる男がナコクの使者であると、目通りを願っております」

 と、タバナ。

 今、使者はオサの管轄する建屋に滞在しているらしい。宿舎があるのか。

「宿舎」

 へ〜……と感心して、ふと思った。

 そろそろいっぺん、ヤマタイを視察したいかも。

 社に引きこもったまま色んな話を聞くだけなので、クニのイメージがまだ掴めていないのだ。

 雨乞いが成功してからの、皆の暮らしぶりも気になる。本当に水は足りてるのかな。問題なく暮らせてるのかな。

 タバナは大丈夫だって言ってくれるけど、自分で見たい。

 ナコクの使者が滞在できる程度には裕福ってことで、良いんだろうか。


「ナコクはどうして、ヤマタイに来たの?」

「ナコク王のご意向は、ヤマタイ女王に直接お伝えせねばならないと。口を閉ざしております」

「じゃあ会わなきゃいけないね」

「ミコ様」

 タバナが座りなおす。カラナって言い改めないってことは、ミコ様向けの発言だ。

「ナコクは現在、内乱を抱えております。昨今の日照りは、かの国にも飢饉をもたらした様子。今回の訪問はおそらく敵情視察と、物資の調達がどれほど可能かを確認に来たのでしょう」

「調べたの?」

 むろん。

 と、タバナが頷く。

 わぁ……政治の駆け引きっぽい。

「じゃあナコクはその確認をして、ヤマタイから安く仕入れたいってことかな」

「おそらくは」

 物資の調達っていうんなら、取り引きしたいってとこだよね。私なら在庫確認するんなら、安く買えるのかを見る。いっぱいあるなら買える。少ないなら、ヤマタイも飢饉で弱ってて買えるものが何もないなら……逆に……潰せる?

「うわ」

「ミコ様?」

「いや、いいの。えげつない想像しただけ」

 まさか、戦争の下見ってことはあるまい。

 うち宿舎があって使者をねぎらえてるんなら、そんな待遇を受けて戦争しようとはならないでしょ。向こうも飢饉で大変なんだったら、戦争してる場合じゃないよね。

「えげつない?」

 とタバナが首をかしげるってことは、これも標準語じゃないらしい。


「ミコ様はまずナコクの使者をねぎらい、和平を口になさって下さい。であれば先方は、王の言葉と献上物を掲げるはず。こちらから先方を問いただしてはなりません」

 こっちからはカードを切らない。って感じ?

「オッケー」

「は?」

 さすがに和訳? してくれないのか。どこまで、どんな風に皆と言葉が通じてるのか、謎だわ。

「わかりました」

 真面目顔を作って頷いたけど、ちょっと口元が緩んでしまった。だって雨乞いした後の毎日は、社にこもってダラダラしてただけだからね。新しいイベントだもん。緊張するけど、ちょっとワクワクもしちゃってる。

 それにカラナの記憶にあったらしい、キヒリという人物。会えば、何かが分かるのかも知れない。

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