女公爵は新たな献上品を探す
皇女殿下は無邪気
ベアトリス皇女にコント・ド・フェ・アレキサンドライトを献上しに皇宮へ行くアンジェリクとリュカ。アンジェリクは我らがお姫様に会えるととてもご機嫌である。
「ベアトリス皇女殿下におかれましてはご機嫌麗しく。本日は献上品をお持ち致しました」
「ご機嫌よう、アン!会いに来てくれてとても嬉しいわ!さあ、畏まった挨拶はこれくらいにして、お茶会にしましょう?」
「はい、ベアトリス皇女殿下」
にこにこと微笑むベアトリス皇女はアンジェリクの手を取って中庭に向かう。それを微笑ましげに受け入れるアンジェリク。
「今紅茶を淹れさせるわね。ああ、貴女たち、お茶菓子も持ってきてちょうだい。とっておきのおやつよ」
「ベアトリス皇女殿下。ありがとうございます」
「いいの!大切なお友達のためだもの!」
「ご寵愛を賜れることを誇りに思います」
「もう、アンったら!ご寵愛じゃなくて友情よ!」
「では、そんな我が君にこちらを」
「あ、この間お願いしたアレキサンドライトね!…わあ…人々の祈りと呪いが共存していてとても不思議…綺麗ね…」
「お気に召していただけたなら幸いです」
「とっても気に入ったわ!ありがとう、アン!早速魔封じを施してアクセサリーにしましょう。今度お茶をする時にはそのアクセサリーを着けてみるわね?」
「楽しみにしております」
「ところで、アン。こんな噂を知っているかしら?」
「なんでしょうか?」
「ラピスラズリの鏡。装飾にラピスラズリが用いられた可愛らしい鏡があるのだけれど、それがまた曰く付きなの。なんでも、それを飾ると幽霊が出るんですって!とっても素敵だと思わない?」
「それはとても面白いですね」
「ね!今は何処にあるのかわからないから、手に入らないの。でも、とっても欲しいわ!」
「では、僭越ながら私が探して参ります」
「え?いいの?本当に?」
「はい、もちろんです」
「やったー!アン、ありがとう!大好きよ!」
「私も敬愛しております、ベアトリス皇女殿下」
「ふふ!あ、そうだ。今回の献上品、とても気に入っていると他の貴族のみんなにも自慢しておくわね?みんなまたすごい顔をしそうね!」
「ありがとうございます、ベアトリス皇女殿下」
「いいのよ。アンの忠誠に対して、私はそれくらいしか出来ないもの」
「充分過ぎるほどです」
「ふふ。ありがとう、アン。そう言ってくれてとても嬉しいわ!」
そうしてベアトリス皇女と二人だけのお茶会を楽しんだ後、皇宮を後にするアンジェリクとその供をするリュカ。今度はラピスラズリの鏡を探すこととなるが、アンジェリクは面倒くさがるどころか笑顔だ。
「うふふ、ラピスラズリの鏡…どこにあるのかしら?ああ、早く見つけ出して、我らがお姫様を笑顔にしなければ」
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