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女公爵のなんでもない日常

たまには何もない日もある

リュカがアンジェリクの部屋のカーテンを開けた。今日もアンジェリクの一日が暖かな日の光を浴びて始まる。


「ご主人様、おはようございます」


「んん…おはよう、リュカ」


「洗顔水とタオルです」


「ありがとう」


洗顔をしてさっぱりとすると、次は着替えだ。


「ではお着替えをいたしますね」


リュカがアンジェリクの着替えを手伝う。


「御髪を整えさせていただきますね」


そういうとリュカはアンジェリクの綺麗な烏の濡れ羽色の髪を梳かす。アンジェリクの紅い瞳は、鏡越しにリュカの銀に近い金髪と翠の瞳を映していた。アンジェリクはとてもこの時間が好きだ。


「ではご主人様。朝食にいたしましょう」


「ええ」


ー…


「それで?今日はどんな予定があるのかしら?」


「本日は各レジャー施設を担当する皆様との会議があります。その後は執務を行なっていただきたく思います」


「執務…リュカがやってくれない?」


「いけません。その分今日のおやつはエルドラド公爵家の使用人たるシェフたちが腕によりをかけて作ったガトーショコラをご用意致しますので」


「俄然やる気が出てきたわ」


「それは良かった」


応接室にてレジャー施設の担当者を待つアンジェリク。担当者が揃うと早速会議が行われる。花畑の花の植え替えの予算、遊園地の新しい目玉アトラクション、動物園の展示の仕方の大幅な変更、水族館に新しく迎え入れる深海魚の展示方法、カジノの大幅な改装、ホテルの従業員の研修費用などなど今日一日でより良いおもてなしのための予算が決定された。その全てを計算するとかなりの額である。もちろんその費用の負担は、これまで得られたレジャー施設の収入と比べれば大したことはない。より良いおもてなしを実現することでより多くの客が得られるのであれば当然黒字になるはず。それに、お金を使えば使うだけ領民へ流れる。領内の経済活動が活発になればそれだけ税金も納めてもらえる。いくら出費が大きかろうと何の問題もないのだ。


ー…


「…」


アンジェリクはとても集中している。執務の最中なのだ。面倒だがこれも仕事。ガトーショコラのために頑張る他ない。


「ご主人様」


「あら、リュカ」


「本日のお茶とお茶菓子をお持ち致しました」


「ありがとう。まあ、すごく美味しそうね」


「ええ。お茶もガトーショコラに合うものをご用意させていただきました」


「うふふ。ああ、これこれ。疲れた時には糖分ね!」


「ええ。そうですね」


「ふふ。この後少しだけ、中庭に行ってもいいかしら?」


「…ええ、構いませんよ」


「ありがとう。ご馳走様でした。行ってくるわね」


「はい、ご主人様」

貴族の一日って優雅なのか忙しいのかどっちなんですかね

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