Chapter06 第一歩
次の日
まだ夜明けで薄暗いし肌寒いけど準備万端で私たち三人は学園の前に立っていた。
「馬車が来たよ。」
そう言って学園の裏から一人出てきた。
「うん、旅の始まりだ。」
学院長や学院先生に見送られながら私たちは荷物用の馬車に乗った。馬車はいつもは工房で作ったものを運んでもらう人に頼んでを出してもらったものだ。
「うぅう〜目から涙が。」
「我慢することないよ、鈴。ほらハンカチで拭いて。」
「ミッシェルありがとう、別れって辛いね。」
その後、暫くして私は昨日夜あまり寝れなかったせいか寝落ちしてしまった。気付いたらもう首都に着いていた。ちなみにここでは王国の名前は首都とは基本一緒。
「ここがギルシア王国の首都。人もいっぱいいるし賑やか。」
こんなところに来たの前世ぶり。時代で言うと中世くらいだから高層ビルとかはないけど店たくさん並んでるし、市場もある。
「学園は町外れの所にあったからね。それにしても本当人多いね。」
「そうだ、アリーナまずは服を買いに行かないといけないよね。この羽織りワンドも隠せるし便利だけど逆に怪しい。」
「そうだね。さっそく行こう。」
でもやっぱり人多くて歩きにくいし逸れそう。だからと言って裏道は危なそうだし。色々慣れないなぁ。
「やっとついた。ってここ武装屋じゃん。ふざけないでよ、アリーナ。」
「ふざけてないよ。私たちはがこれからするのは冒険、少なからず冒険と同じくらいのリスクを追う旅。ある程度身を守らないと、軽くだから大目に見てね。」
言われてみれば確かに。
「お邪魔します。」
へぇー、流石異世界本物の鎧、武器も普通に売ってる。
「すみませんおじさん、軽装備のものを探しているのですが。」
やっぱりアリーナは詳しいね。
「軽装備は全部ここだ。」
十五分後
「なかなか決まらないね。そもそもどう選ぶのかが分からない。」
「問題はそこじゃないミッシェル。どれも今一なんだよ。値段の割にはと言うか。」
「そこの嬢ちゃんなんか言ったか。」
さっきのおじさんまさか聞こえたのか。
「はい、言いました値段の割には今一ですと。」
「なに!喧嘩売ってるのか?」
「私はあくまで本当のことを言っただけです。」
「嬢ちゃんに何が分かるっていうんだ。」
駄目だ止めないと。
「こう見えても私職人です。」
「相当自信があるみたいだな。なら勝負をしよう、負けても泣くなよ。」
「望むところだ、何だったやってやる。」
旅初日に喧嘩して勝負なんてこれからどうしよう。
「言ったな後悔しても知らんぞ。準備するから少し時間をくれ。一時過ぎに戻ってこい。」
そう言われて私たちは店を出た。
「装備は買えなかったし、いきなり勝負始めるしどうするの。ねぇ、アリーナ。」
「分かってる、さっきは頭に血が登って。勝負は私が勝つから大丈夫。ほらまだ時間あるんだしなんか食べに行こう。」
私にこう言ってアリーナは歩き出した。
「この店なんかどうかな?」
ミッシェルは頃く歩いた後にある店を指して言った。手軽に食べられる物があったら私は何でもいいけど。
「まず入ってみよう。」
店は客でいっぱいだったけどたまたま空いていた隅っこのテーブルに私達は座った。
「結構この店人気みたいだね。」
「鈴、なんか暑い羽織り脱いでいい?」
アリーナは羽織りを脱ごうとしていた。
「何考えてるのアリーナ、ここは魔法使いだってバレたら終わりの所だよ。あと昨日は言い忘れてたけど、公共の場では絶対魔法使っちゃ駄目だからね。」
「そうだね、分かった。」
そもそも羽織りを着ようって言ったのアリーナなのに。
「二人とも早くご飯頼もう。」
何のメニューがあるかな?キノコのクリームスープこれにしよう。今世初めてのレストランだ。
「二人はこういう店でご飯食べたことある?」
私の唐突な質問に二人はちょっととまっどた。
「私は学園に来る前のこと覚えてないけど多分ない。」
「私は一回だけ私の誕生日に家族で祝った思い出があるね。」
アリーナは学園に来る前のことは覚えてないのか。ミッシェルは楽しそうだな。私はそんなことなかったなぁ。家では魔法が使える前からちょっと気味悪がられてたから。
「あ、ご飯来たよ。」
ミッシェルはそれぞれが頼んだ物を並べてくれた。
「キノコスープ美味しそう。」
疲れてお腹が空いたからか朝食べてないせいか私達は黙々と食べた。そのまま食べ終わってから私たちは店を出た。今まであまり気にしていなかったけどやっぱり異世界の通貨は金貨、銀貨なんだなぁ。
「アリーナはものづくりのときに魔法使わないの?」
なに鈴?そんなの使うに決まってるじゃん。
魔法禁止なのに勝負に乗ったのか。
「魔法を使わないでどうやって勝負に勝つと思ったの。」
「あ、考えてなかった。」
考えてなかったじゃない、ほんとにどうしよう。
「魔法を使ってるところを見られなかっらいいんでしょ、だったら考えがある。」
ミッシェル救いの手をありがとう。その後布を買った私たちは武装屋に戻った。
「おぉ、嬢ちゃんたち戻ってきたか、準備できてるぞ。」
私たちは店の奥に案内された。
「早速勝負を始めよう。」
「受けて立つ。」
アリーナ張り切ってる。
「おじさん私たちの製作方法は秘伝なのでこの部屋の真ん中に布をかけますね。」
ミッシェルほんとに何から何まで感謝してる。
「あたしはすることがあるのでこれで。頑張ってね。」
って急にどっか行った。じゃあ、私はアリーナの職人技を拝見させてもらおかな。