Chapter03 パニック
「ふうー疲れた。」
いくら信用してるからって担当の講義を人に任せるだなんて。私も普通の人なんだから疲れるのに都合のいいときに使いやがってまったくこの学園の教師は。
「鈴、今から工房だよね。一緒に行こう。」
「ミッシェルもこれから工房なの?珍しいね。いいよ、一緒行こう。」
学園は必要なお金を得るためにに工房でものを作って売っている。工房と言っても学園の中の大きめの部屋使ってるだけだけど。そして売るときはもちろん魔法使いが魔法で作ったことを隠さないといけない。得たお金は食費などに使われる。ちなみにこれを提案したのは私。前世で似たことをやったからそれを参考にできたお陰できた。
「なんか手伝ってほしい事があるらしいから。でもいつもはずっと講義しっぱなしだから気分転換にはいいかも。」
ミッシェルが呼ばれるなんてなんか嫌な予感しかしない。
「見えてきたよ。あれ、誰か出てきた。」
「だずけっくだでさいぃ。」
工房から後輩が一人泣きながら出てきた。嫌な予感がすると思ったらやっぱり。
「泣かないで。」
ミッシェルやっぱり面倒見のいいおねえさんだ。
「ここでずっと立ってるのもなんだし、まず工房に入ろう。」
「でどうしたの?」
「予定に間に合わないんです。今日締切のものがまだ全然作れてません。今日の朝そこら辺から注文表が出できて。」
「きっと大丈夫だよ。私たちにできることがあったらなんでも手伝うよ。」
なんで予定表が締切の朝に出てくる。しっかり予定を立ててやるべきなのに。
「ありがとうございます。」
「あと何がどれくらい足りないの?」
「ステンドグラス一枚と教会のベンチ数十脚。もう絶対今日中には間に合わない。」
ベンチ三十個は別としてステンドグラスを一日に作るなんて無理。でもやるしかない。
「とりあえずやってみよう。椅子は担当する手順を決めて作業すること。残りの人は私とミッシェルとステンドグラスを手伝って。」
浮遊魔法、熱魔法で組み立てや変形をうまくやっていけばなんとかなるはず。
夜十時
やっとできた。これなら明日の朝には向こうに届く。
「鈴さん、ミッシェルさん本当にありがとうございます。
「いいえ、このくらいなんとも。でも明日の朝に間に合えばいいと確認取れて良かったね。」
「お二人がいなかったら何日もかかるところでした。残りは私たちがやりますのでお二人はもうゆっくり休んで下さい。」
「ありがとう。頑張ってね。」
よし、やっと帰れる。
「疲れたね。こんなに魔法使ったの久しぶり。」
「ミッシェルは講義専門だもんね。」
「今はね。」
え?
「これからは変わっちゃうの?」
「ううん、そうじゃなくてほら前に鈴が旅に出るって言ってたじゃんそれであたしも一緒に行こうかなって思って。勝手に自分で考えてただけだけど鈴はいいかな?」
「私はてっきりミッシェルがしばらく学園に残ると思ってったけど一緒に来てくれるなんて嬉しい。」
「鈴ならこう言ってくれると思った。」
二ヶ月後に誕生日待ちきれるかな。前世にもこんな友達いたらよかったなぁ。あまり気が合う人がいなかったから結構寂しかった気がする。