白の世界
私を照し包み込んだ光に導かれ、たどり着いた先は、真っ白な世界だった。
そこに髭を蓄えてはいるが、なぜか胸の大きな人?がいて、私を見るなり「あぁ貴女はこちらに…」。
言われた瞬間目の前に綺麗な人が現れた。
「あぁ、起きたのね。」周りは見た事もない世界が広がり……!
見た事もないはずなのに記憶の端に漁村で過ごしていた頃に見た、良く似た陶磁器の壺がここにある。
私は目の前に現れた綺麗なその人を触ろうと手を伸ばす……。
[??!]前に出した腕や手のひらが小さい事に気づく。[体が小さくなってる?]
「あぁうぁ」?上手く喋れない……。
「どうしたの?蛍雪」[けいせつ?……私の名前?]
私は夢でも見ているのだろうか。
聞き覚えの無い名前で私を呼ぶ綺麗な人は、優しく微笑んで、安心させようと私を抱っこした。
私は少しずつ眠くなってきた……。
(ドン)突然の扉が開く音が!!「王女様!早く御逃げください。」
「もう来てしまったのか!」
慌てた様子で簡単に荷物をまとめ、その部屋から私を抱え飛び出した。
「王女様!川向うに船を用意しております故、船で下流に…」
橋の上は人が行き交い混雑している様だ。
「そこの者止まれ!」
男の声が後ろから聞こえる。その声を無視して私を抱えたまま橋に向かって走る……。
橋の中程に来た辺りで向かい側からやって来た馬車にひかれそうになり、バランスを崩した。
「あぁ‼蛍雪!!」
私は橋の上から川に落ち、少しずつ川底に沈んで行く……。
真っ暗になりしばらくして一筋の光にまた包み込まれ、連れられ白い世界に…。