エモルカに産まれる
円の中心から出た眩しい光が私を包み込む、その中で懐しさを感じる。
[私の過去の記録]
そこは光に充ちて真っ白な世界。その中心に格好良い男性の姿が…。
「我の名はバルドル。そなたには使命を与える、まだ産まれたばかりのトラピストに有る七つの星の一つ、エモルカに行き…時を待って導いて貰おう。……では」
そう言われ、光の波に乗りエモルカに有る洞窟の中に咲く白い花から私は産まれ出た。
何をするでも無くただ産まれ出た花の側でフヨフヨ浮いて居た。
そう、私は神バルドル様から命を受け、使命を与えられてエモルカに来た聖霊だった。
しばらく……いやどれ程の時が流れたのか……。
突然の地鳴りと共に周りの土や岩が崩れ、私は身動きが出来ない状態に。
かなりの時が流れて、明るい世界に…。
目の前に少し年老いた男の人が。
「おぉ有ったぞ、こっちだ。」そう言って若い女性を呼んだ。
「バルドル様から教えてもらった通りですね。」
どうやらバルドル様が導いてくれた方々の様だ。
しかし私は明るい外に出たはずだが、体が動かせない。
改めて自身を確めてみる。
両手を胸の前で組み、聖霊の翼が左右に広がった状態で透明なクリスタルの中に閉じ込められている…、私自らが光って周りを明るく出来るが私自身は動く事が出来ない…。
「良し!早速だが神聖教会に連絡してくれ!」男性はそう女性に支持を出す。
私は透明なクリスタルに閉じ込められた状態のまま神聖教会に… 。
「おぉ間違いない!バルドル様から伺った通りのクリスタルだな。」見た事のない建物の中にバルドル様の彫像が有り、その中で髭を蓄えたお爺さんが待っていた。
どうやら私がこの状態になる事はバルドル様もわかっていた様だけど…。
長く閉じ込められた状態だったから私自身から出る光は少し弱くなっていた。