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何も判らなかった……。
私の育った所は小さな島の漁村で、村人たち10数名で静かに暮らしていた。
私が3歳の頃、島の外から見た事がない人達が、見た事もない船に乗り、私達の舟、家、田畑を荒らし、村人たちに危害を加えて行く…。
母は私を連れて村の西、森の中に有る洞窟まで逃げ、通路の最奥にある重い扉の中に私だけを入れ、最後に「エモルカ、ごめんね。」と言う言葉を残し扉を閉める…。
扉を叩いても声をあげても、いくら扉を開けようとしても扉が開く事はなかった。
小さな灯りは有ったが、やがてその灯りも消え、奥に続いていた道すら見えなくなり、私はただ闇の中に一人座り込む。
いつの間にか眠ってしまったのか眼を覚ます。
しかし周りは闇なので眼を開けているのかつぶっているのかさえ判らなくなってきた。
そんな時……、一筋の光が私を照し包み込んで……。